岡田三郎助作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

岡田三郎助(おかださぶろうすけ)は、女性像で有名な日本の洋画家です。
日本的な情緒と西洋の写実性が融合した優雅で上品な表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、岡田三郎助作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい岡田三郎助作品の特徴、岡田三郎助の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
岡田三郎助とは
岡田三郎助(1869-1939)は、明治から昭和にかけて活躍した日本の洋画家です。
日本における近代洋画の代表的な作家の1人として知られており、1937年には第1回文化勲章を受章しました。
現在の佐賀県佐賀市に生まれた岡田三郎助は幼少期から絵画に興味を持っていたといいます。
家族とともに上京すると、東京帝国大学助教授であった曽山幸彦(そやまさちひこ 1860-1892)の画塾に入門し、洋画の基礎を学びました。
1896年には、同世代の画家である黒田清輝(くろだせいき 1866-1924)、久米桂一郎(くめけいいちろう 1866-1934)らとともに洋画団体「白馬会」の創立に参加します。
また、同年には新設された東京美術学校西洋画科の助教授に就任するなど、頭角を現していきました。
1897年には文部省の留学生としてフランスに渡り、ラファエル・コラン(1850-1916)に師事しました。
コランからは穏やかで明るい色調の作風を学び、クラシックなリアリズムを基礎としつつ、外光派の表現を取り入れた独自の画風を確立しました。
1902年に帰国した後は東京美術学校の教授となり、後進の指導に尽力し、日本洋画の発展に貢献しました。
そのような功績が認められ、1937年に第1回文化勲章を受章しました。
岡田三郎助の作風と代表的なモチーフ
岡田三郎助は「美人画の岡田」とも呼ばれるほど、女性像を得意としました。
岡田三郎助の描く女性は大きな瞳と卵形のきれいな輪郭が特徴で、雑誌の表紙やポスターなどを通じて「岡田調の美人」として広く知られ、当時の人々の憧れの的となりました。
ラファエル・コランに師事したことで得た、穏やかで明るい色調と繊細な筆使いが、女性の柔らかな肌や、きものなどの装いを優雅に表現することに活かされています。
また、岡田三郎助の女性像には、指先の描写など細部にわたる優雅で上品な表現にもこだわりが見られます。
優雅で繊細で、そして日本的な情緒と西洋の写実性が融合しているという点が岡田三郎助作品の大きな特徴だと言えるでしょう。
また岡田三郎助は、現存する作品のほぼ半分は風景画が占めるというほど、風景画を多く描いた画家でもあります。
岡田三郎助の作品の種類
岡田三郎助が得意とするのは女性像や風景を描いた油彩画ですが、ほかにもデッサンやパステル画といった作品も残しています。
価値が高いものには油彩画が多いですが、デッサンやパステル画も美術品買取市場で人気が高くなっています。
岡田三郎助作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
文化勲章受章者でもある岡田三郎助には、美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くあります。
そのため、買取市場で出会いやすい作家とは言えないのですが、作品が買取市場に出てきたときには高い買取価格がつきやすいとも言えます。
岡田三郎助作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、やはり油彩画の女性像でしょう。
優美で上品な雰囲気を持つ婦人像や裸婦像などは、買取市場でも非常に人気の高いモチーフであり、買取価格も高くなりやすいと言えます。
また、もう1つの得意分野である風景画も、有名作品を中心に高く買取されるケースがあります。
岡田三郎助だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など西洋画の買取相場や高く売るためのポイントなど、西洋画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
バイセルでの絵画の買取実績は?
バイセルには、西洋画をはじめとした絵画の買取実績が数多くございます。
以下の各ページでは、西洋画をはじめとした絵画の買取相場や、バイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
岡田三郎助の代表作
岡田三郎助の優雅で繊細な女性像、日本的な情緒と西洋の写実性が融合している作品は、多くの美術ファンを魅了し、美術品買取市場でも高い支持を集めています。
ここでは、岡田三郎助の人気作品のなかからごく一部ではありますが、代表作と言える有名作品をご紹介します。
あやめの衣
「あやめの衣」(1927)は、岡田三郎助の代表作中の代表作と言える作品です。
神奈川県のポーラ美術館に所蔵されています。
金屏風を思わせるシンプルな背景に、あやめ模様の着物をまとった女性の後ろ姿が描かれています。
日本の伝統的な美意識と油彩画の写実性が見事に融合した、岡田三郎助の作風が存分に楽しめる名作です。
女性の柔らかな肌の質感、着物の光沢、色彩の調和が見事で、その優雅さと品格は多くの人を魅了しています。
婦人半身像
「婦人半身像」(1936)は、岡田三郎助の晩年の代表作と言える作品です。
東京国立近代美術館に所蔵されています。
描かれているのは、中国服をまとった女性です。
女性の視線は遠くを見つめており、見る者を誘うような雰囲気を醸し出しています。
日中戦争開戦直前という状況の中で、当時の社会情勢や文化的な要素も反映させた作品と言えるでしょう。
この作品ではキャンバスの上に漆喰代わりの膠が施し、その上に岩絵の具で彩色していることから、ザラザラとした独特の質感が特徴となっています。
裸婦-水辺に立てる
岡田三郎助は裸婦像も多く手掛けていますが、「裸婦-水辺に立てる」(1931)はその中でも特に評価の高い作品です。
神奈川県のポーラ美術館に所蔵されています。
水辺に立つ女性の後ろ姿が描かれていますが、そのポーズは優雅で、全体的にやわらかく、しなやかな身体のラインが強調されています。
肌の質感や光の当たり方による陰影の表現に優れており、裸婦の身体を単なる写実にとどまらず、生命感と官能性を兼ね備えたものとして描き出しています。
西洋の裸婦像の伝統を取り入れつつも、日本の柔らかな光と空気感を取り入れた独特の表現が楽しめます。
この作品にも表れているように、岡田三郎助の裸婦像は露骨な性的な表現を避け、あくまで芸術的な美の対象として描かれているのが特徴です。
花を持てる裸婦
「花を持てる裸婦」(1903)は、岡田三郎助が多く描いた裸婦像の中でも初期の名作です。
広島県のウッドワン美術館に所蔵されています。
タイトルの通り、この作品では2人の裸婦が花を持っている、あるいは花の香りをかいでいる様子が描かれています。
花も岡田三郎助作品における重要なモチーフであり、この作品にも「花の香」という別題がついています。
視覚的な美しさだけでなく、香りという感覚的な要素までをも表現しようとした、岡田の深い探求心が伺えます。
フランス留学から帰ったばかりというタイミングで描かれたこともあり、西洋の古典的な裸婦表現の技術に、岡田三郎助ならではの繊細な筆致や優美な感性が加わっています。
矢調べ
「矢調べ」(1893)は、岡田三郎助が24歳の時に画塾の卒業制作として描かれたもので、初期の重要な作品の1つです。
佐賀県立美術館に所蔵されており、佐賀県の重要文化財にも指定されています。
描かれているのは女性像ではなく、弓矢を携えた男性が矢を吟味している様子です。
初期の作品でありながら、人物の表情、身体の構造、着物の質感、そして光の当たり方などが極めて高い写実性で表現されています。
落ち着いた色調と人物に焦点を当てた構図が特徴で、静かで思索的な雰囲気は、鑑賞者に男性の内面や弓矢に対する真摯な姿勢を感じさせます。
この他にも「萩」「某婦人の肖像」「ヨネ桃の林」など、岡田三郎助には人気の高い有名作品がまだまだあります。
そして、ここに名前を挙げたもののほかにも、保存状態などの条件によって買取市場で高い価値のつく作品は多いです。
保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
お持ちの岡田三郎助作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
岡田三郎助の絵画を高価買取してもらうためのポイント
近代日本洋画界の代表的な作家として知られる岡田三郎助の絵画は、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、岡田三郎助の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
岡田三郎助作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
岡田三郎助を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
岡田三郎助のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
岡田三郎助のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
岡田三郎助の作品には、作品の右下あるいは左下に「S. Okada」や「S. OKADA」というサインが入っているものも多いですが、それに加えて鑑定書があれば、作品の価値を証明するのに役立つでしょう。
買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められ、より高い価格での売却にもつながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて買取前に揃えておきましょう。
なお、岡田三郎助作品について信頼度の高い鑑定機関としては、日動画廊内「岡田三郎助の会」、「東美鑑定評価機構鑑定委員会」があります。
入手経路などの来歴を明確にしておく
岡田三郎助をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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