大橋翠石作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

大橋翠石(おおはしすいせき)は、まるで写真を見ているかのように精緻に描いた虎の絵で有名な日本画家です。
虎という生き物の生命力や威厳、野生の迫力が見事に捉えられた表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、大橋翠石作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい大橋翠石作品の特徴、大橋翠石の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
大橋翠石とは
大橋翠石(1865-1945)は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家です。
虎の絵は特に有名で、「虎の翠石」という異名でも知られています。
慶応元年(1865年)に現在の岐阜県大垣市で生まれた大橋翠石(本名は大橋卯三郎)は幼い頃から絵を好み、15歳で地元の画家である戸田葆堂(とだほどう)に師事して絵画の道に入ります。
その後は京都で天野方壺(あまのほうこ 1828-1894)、東京で渡辺小華(わたなべしょうか 1835-1887)に学び、模写や写生を通して画技を磨きました。
大橋翠石が虎と出会ったのは1892年のことです。
前年にあった濃尾大震災で大垣は大きな被害を受け、大橋翠石の父も亡くなりました。
そんな失意の中ではありましたが、震災の焼け跡で虎の見世物があり、この時に見た実際の虎を克明に写生したことが、生涯のモチーフとなる虎との出会いでした。
この経験が、大橋翠石独自の写実的な虎の画法の確立につながります。
虎を描き始めた大橋翠石は、1895年に京都で開催された第四回内国勧業博覧会で銀牌を受賞すると、これを皮切りに国内外の様々な展覧会で立て続けに受賞を重ねます。
1900年のパリ万国博覧会では日本人画家として唯一の金メダル(金牌)、1904年のセントルイス万国博覧会、1910年の日英博覧会でも金メダルを受賞し、名実ともに世界で最も高く評価された日本画家の一人となりました。
後半生は結核の療養で兵庫県の須磨に移り住んだこともあり、中央画壇との関わりをもつことは無くなったものの、その卓越した描写力に対する評価が衰えることはありませんでした。
大橋翠石の作風
大橋翠石の絵のモチーフといえば、なんといっても虎です。
大橋翠石の虎は、まるで写真を見ているかのような精緻な描写が特徴です。
特に、自ら開発した刷毛のような特殊な筆を使って、虎の毛並みの1本1本、骨格、筋肉、光の当たり方による陰影までを丹念に描き込んだリアルな質感やボリューム感は大橋翠石ならではと言えるでしょう。
大橋翠石の描く虎には、獲物を狙う鋭い眼光、獲物に飛びかかる直前の緊張感、あるいは悠然と佇む姿など、生命力や威厳、野生の迫力が見事に捉えられています。
特に、眼の描写は高く評価されており、生き生きとした光を宿した虎の強い眼差しは、大橋翠石作品の大きな魅力の一つです。
また、須磨に移り住んでからは、虎の背景も濃密で立体的な描写をするようになります。
遠近感や立体感のある山林、樹木、岩山、笹、雲などが細かく描かれるようになり、この晩年の作風は「須磨様式」と呼ばれます。
大橋翠石作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
パリ万博での金メダルなど世界的にも高く評価される大橋翠石の作品は、美術品買取市場でも非常に高い人気があります。
美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くありますが、掛け軸作品や通常の日本画作品など、買取市場での取引例も多く見られます。
大橋翠石作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、やはり虎を描いた作品です。
特に、鋭い眼光、筋肉の隆起、毛並みの緻密さなど、生命力や迫力がより強く感じられるものは高く評価されやすいでしょう。
大橋翠石だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした日本画・掛け軸の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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大橋翠石の代表作
精緻な描写で虎の生命力や威厳、野生の迫力を見事に捉えた大橋翠石の絵画は多くの美術ファンを魅了し、美術品買取市場でも高い支持を集めています。
ここでは、買取市場で出会うことのあるものから美術館に所蔵されているものまで、大橋翠石の代表作をご紹介します。
猛虎図(もうこず)
「猛虎図」は、1900年のパリ万国博覧会で金メダルを受賞した、大橋翠石の代表作の1つです。
大橋翠石の名を世界に知らしめた象徴的な作品であり、この作品の成功を機に明治天皇への献上作品を制作する栄誉を与えられるなど、大橋翠石のその後の画業にも大きな影響を与えました。
「猛虎図」は大橋翠石らしい徹底した写実性が特徴です。
骨格・筋肉・毛並み・そして獲物を狙う鋭い眼光が驚くほど克明に描写されており、特に緻密な毛並みの描き込みは「毛描き」と呼ばれ、大橋翠石の代名詞とも言える技法になっています。
虎という生物の持つ本質的な強さや野生の魂が表現され、画面から今にも飛び出してきそうなほどの生命感と威圧感を放っています。
その後の大橋翠石の画業を決定づけた記念碑的作品と言えるでしょう。
双虎図(そうこず)
大橋翠石の「双虎図」はタイトルの通り、2頭の虎が描かれた作品のことです。
1903年の第五回内国勧業博覧会で2等を受賞した作品が有名ですが、大橋翠石はほかにも2頭の虎を描いた作品を多く制作しています。
大橋翠石の「双虎図」では、互いに向き合ったり、並んで進んだり、あるいは獲物を狙う際の連携を見せたりと、2頭の虎の様々な関係性が表現されます。
毛並み、鋭い眼光、隆起した筋肉などの緻密な描写はもちろんありながら、卓越した描写力によってそれぞれの虎の個性や表情までが描き分けられています。
また、一方が咆哮し、他方が静かに様子をうかがうなど、2頭の虎の動きやポーズが組み合わされることで、画面全体により強い躍動感、空間の広がり、ストーリー性が生まれます。
大虎図(たいこず)
「大虎図」(1944)は、大橋翠石が亡くなる前年に制作した晩年の大作で、母校の後身である大垣市立東小学校の講堂を飾るために寄贈された作品です。
現在は、大垣市の市重要文化財に指定されています。
「大虎図」では、草むらに横たわり、一点を見つめる雄々しい虎が描かれています。
大画面いっぱいに描かれた緻密な毛並み、鋭い眼光、そして威風堂々とした体躯は、見る者を圧倒する迫力と存在感を放っています。
また、故郷の子供たちの学び舎のために自身の集大成ともいえる作品を寄贈したという背景も、「大虎図」の人気を一層高めていると言えるでしょう。
岩上猛虎之図(いわがみもうこのず)
「岩上猛虎之図」(1924)は、大橋翠石の故郷・大垣市で行われる大垣祭の山車「菅原軕(すがわらやま)」の見送り絵として制作された作品です。
大垣祭は豪華絢爛な山車が市内を巡行するお祭りで、山車の後ろに飾られる見送り絵は祭りの重要な要素の1つとなっています。
作品の内容としてはタイトルの通り、岩肌を背景にした猛々しい虎が描かれています。
描かれた虎のサイズはほぼ原寸大で、そのスケール感は大きな魅力です。
大橋翠石が得意とする緻密な毛描きや鋭い眼光は健在で、岩の描写も力強く、虎の存在感を際立たせています。
月下虎図(げっかこず)
大橋翠石には「猛虎図」や「双虎図」の猛々しい虎とは違った、夜の情景と月明かりの中に佇む虎を描いた作品も多くあります。
これらの作品群は「月下虎図」と呼ばれ、独特の雰囲気と美しさを持っています。
「月下虎図」では満月や三日月が空に輝き、その光が虎や周囲の景色を照らす構図が特徴となっています。
月明かりによって、虎の縞模様が際立ったり、あるいは影の中に溶け込んだりすることで、昼間の虎とは異なる神秘的で幻想的な雰囲気が醸し出されます。
虎の力強さだけでなく、静寂の中の孤独感や、自然と一体化したような叙情性が表現されることが多いです。
背景には夜空・雲・山々・竹林・水辺などが描かれることが多く、これらの背景は虎の存在感を際立たせるだけでなく、作品全体の雰囲気を決定づける重要な要素となっています。
まだまだある大橋翠石の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、大橋翠石にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
白虎之図 | 遊猫の図 | 猛乕之図 | 仔猫之図 |
獣王図 | 虎図 | イソップ物語 双幅 |
ここに名前を挙げたような大橋翠石作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ大橋翠石の絵画を高価買取してもらうためのポイント
細部までの緻密な描写で虎の生命力や威厳、野生の迫力を表現する大橋翠石の絵画は、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、大橋翠石の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
大橋翠石作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
大橋翠石を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
大橋翠石のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
大橋翠石のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
大橋翠石作品の場合、作品の下部などに「翠石」「翠石画」といったサインが入っているものが多いです。
また、サインのそばには通常、朱色の印章が押されています。
これらのサインや印章は作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
なお、大橋翠石作品について信頼度の高い鑑定機関としては、「東美鑑定評価機構鑑定委員会」が挙げられます。
入手経路などの来歴を明確にしておく
大橋翠石をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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