麻生三郎の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

麻生三郎の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

麻生三郎(あそうさぶろう)は、抽象化された人物像を多く描いたことで知られる日本の洋画家です。

暗い色彩と厚くて重い質感によって描かれる人間の内面や本質の表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。

本記事では、麻生三郎作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい麻生三郎作品の特徴、麻生三郎の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。

※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

麻生三郎とは

麻生三郎(1913-2000)は、昭和初期から平成にかけて活躍した日本の洋画家です。

独自のリアリズムを追求した暗く重い色合いの油彩画で知られています。

麻生三郎は1913年、現在の東京都中央区に生まれました。

15歳のころから絵を学び始め、17歳で太平洋美術学校に入学すると松本竣介(まつもとしゅんすけ 1912-1948)らと出会い、本格的に画家の道を歩み始めました。

1938年にはヨーロッパ各地をまわる旅に出ますが、第二次世界大戦下の緊迫した情勢によって半年ほどで帰国を余儀なくされます。

帰国後は1939年に美術文化協会(前衛芸術の団体)の結成に参加、1943年には松本竣介・靉光(あいみつ 1907-1946)らと新人画会するなど、戦時下にあっても精力的な画業は変わりませんでした。

戦後は日本国際美術展で優秀賞、そして芸術選奨文部大臣賞を受賞するなど、日本画壇における麻生三郎の評価は高まっていきます。

また、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)の教授として後進の育成にも尽力するなど、指導者としても大きな貢献をしました。

麻生三郎の作風と代表的なモチーフ

麻生三郎作品の大きな特徴になっているのが、茶色・黒・赤を中心とした暗い色彩です。

それも、油絵具を何層にも塗り重ねて、削り、再び塗りつけるといった手法によって厚くて重い質感を表現しているのが特徴です。

これによって画面は焼けただれたような、焦げ付いたような、ゴツゴツとした独特の質感を持ちます。

この重厚な絵肌が、戦中・戦後の困難な時代や、描かれた人物の存在の重さを感じさせます。

モチーフとしては、麻生三郎は自身の妻や娘を繰り返し描きました。

麻生三郎の人物像は具体的な個人の肖像でありながら、顔の細部を特定せず、面や線、陰影で構成された解体・デフォルメされた姿で描かれます。

これは人物の外面的な描写よりも、内面的な苦悩、極限状態での人間の本質的な孤独、生命の尊厳を表現しようとしたためです。

風景を描く場合でも、麻生三郎の風景画は単なる景色ではなく、「人間と、人間のいる風景」を描いています。

風景の中に時代や社会の状況を内包しており、風景も人間の内面が拡大されたものとして捉えています。

麻生三郎作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは

メッセージ性の強い作品で多くのファンから支持される麻生三郎には、美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くあります。

美術品買取市場でも麻生三郎作品の人気は高く、高価買取されるケースもあります。

麻生三郎作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、得意とした油彩画の人物像で、麻生三郎らしい暗く重い色合いの作品です。

特に、麻生三郎の画業の円熟期であり、時代の空気としても麻生三郎の画風にマッチしていた戦後復興期(1950年代〜1960年代)の作品が人気で、買取価格も高くなりやすいと言えるでしょう。


麻生三郎だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。

以下のページでは、有名作家の作品など西洋画の買取相場や高く売るためのポイントなど、西洋画の買取情報について記載してございます。

参考までにぜひご参照ください。


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バイセルでの絵画の買取実績は?

バイセルには、西洋画をはじめとした絵画の買取実績が数多くございます。

以下の各ページでは、西洋画をはじめとした絵画の買取相場や、バイセルでの実際の買取例について記載してございます。

参考までにぜひご覧ください。

麻生三郎の代表作

人物の内面的な苦悩や本質的な孤独、生命の尊厳を力強く描く麻生三郎作品は多くの美術ファンを魅了しています。

ここでは、麻生三郎の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。

「赤い空」シリーズ

「赤い空」シリーズは、1950年代半ばから描かれた、麻生三郎の画業を代表する最も重要な連作です。

シリーズ内の作品は、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、横須賀美術館などに所蔵されています。

描かれているのは、建物や煙突などの都会の風景と、その中に立つ人物像です。

人物は明確な肖像ではなく、デフォルメされた形態で描かれます。

麻生三郎らしい濃い赤・黒など暗褐色を基調とした、非常に重く暗い色調が特徴です。

絵具は厚く塗り重ねられ、ざらつき、焦げ付いたような重厚な絵肌となっています。

麻生三郎は「赤い空は風景であるが、人間像が拡大されたのだ」と語っており、空の色や都市の構造といった要素が、そこに生きる人々の内面的な苦悩や感情を映し出していると考えられます。

風景と人物という具象的なモチーフを持ちながら、「高度経済成長へと向かいながらも目に見えない精神的な重圧や閉塞感がある」という時代の雰囲気を、色彩や素材の質感で表現した、抽象と具象の境界にあるスタイルの作品と言えるでしょう。

母子のいる風景

「母子のいる風景」(1954)は、麻生三郎が「風景と一体になった人物像」という表現スタイルを確立した重要な作品です。

三重県立美術館に所蔵されています。

描かれているのは、直立した母と子の姿です。

2人は強く大地に立ち、正面を向いているかのような力強い存在感を持っています。

背景は街や建物が、黒や暗い赤色、そして錯綜した線や斑で描かれています。

画面全体を覆う暗い赤と黒の色彩、厚く塗り重ねられたマチエールは非常に重苦しく、見る者は息苦しささえ覚えます。

これは、戦後の混乱と窮乏や、復興期特有の重圧感を象徴していると言えるでしょう。

ひとり

「ひとり」(1951)は、麻生三郎が描き続けたテーマの1つである「人間の本質的な孤独」を最もよく表す代表作の1つです。

広島市現代美術館に所蔵されています。

描かれているのは、暗く重厚な色彩の中で、2人の人物が向かい合い抱き合っているような姿です。

2人の人物が描かれているにもかかわらず、「ひとり」というタイトルが付けられている点が目を惹きます。

この作品は文字通りの「ひとり」を描いたのではなく、「人間はたとえ誰かと寄り添い、愛し合っている瞬間でさえ、魂の奥底では孤独を抱えている」という人間存在の根源的なテーマを突きつけていると考えられます。

描かれた人物は、麻生がこの時期に繰り返し描いた妻と娘がモデルであるとされ、最も親密な関係であるはずの家族の姿を通して、かえって人間の逃れられない孤独を強調しています。

胴体

「胴体」(1966)は、麻生三郎の人物像の表現が極限まで普遍化され、抽象表現の領域に踏み込んだ1960年代の代表作です。

東京都の板橋区立美術館に所蔵されています。

描かれているのは、顔が省略された人間の胴体です。

文字通り人間の中心となる部分のみを描くことで、人間存在の最も根源的な部分、生命の核心のようなものを描き出そうとしたと考えられます。

胴体はデフォルメされて肉塊あるいは岩塊のように描かれており、人体と背景の境界が曖昧になっています。

そのため、背景の重厚な絵肌の中に人物が埋没、あるいは浮かび上がっているように見えます。

一見グロテスクにも見えますが、麻生三郎は「生命を否定した絵は絶対に1枚も描いていない」と述べています。

「胴体」は、生命が持つ原始的な力強さと根源的なエネルギーを表現しているものと言えるでしょう。

まだまだある麻生三郎の有名作品

これまでに挙げたもののほかにも、麻生三郎にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。

燃える人自画像裸婦母子
大きい手まるいかたちうつぶせりょうはしの人
ヨコノ人人物子供

ここに名前を挙げたような麻生三郎作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。

具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。

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麻生三郎の絵画を高価買取してもらうためのポイント

人物の内面的な苦悩や本質的な孤独、生命の尊厳を力強く描く作品で多くの美術ファンを魅了する麻生三郎の絵画は、美術品買取市場でも高い需要があります。

では、麻生三郎の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。

麻生三郎作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

  1. 綺麗な状態で保存しておく
  2. 鑑定書などの付属品を揃えておく
  3. 入手経路などの来歴を明確にしておく

綺麗な状態で保存しておく

麻生三郎を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。

反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。

麻生三郎のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。

作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。

鑑定書などの付属品を揃えておく

麻生三郎のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。

麻生三郎作品の場合、作品の右下や左下、あるいはキャンバスの裏などに「ASO」とアルファベットで署名されていることが多いです。

また、「ASO 1951」のように制作年が添えられることもあります。

これらのサインは作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。

鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。

これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。

鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。

なお、麻生三郎作品について信頼度の高い鑑定機関としては、東美鑑定評価機構鑑定委員会が挙げられます。

入手経路などの来歴を明確にしておく

麻生三郎をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。

例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。

そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。

入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。

麻生三郎作品を売るなら買取実績豊富なバイセルへ

麻生三郎の絵画の買取をお考えなら、骨董品買取のバイセルにお任せください。

バイセルは日本全国で骨董品・美術品などの買取サービスをご提供し、たくさんのお客様・リピーター様からご指名をいただいてまいりました。

バイセルの査定士は、高い専門知識と豊富な査定経験を生かして、麻生三郎作品をはじめとした絵画1点1点の価値をしっかりと見極め、正確に鑑定します。

バイセルの出張買取ならお電話1本、手数料完全無料で日本全国への出張買取に対応しております。

「試しに価値がどれくらいか聞いてみたい」「傷や汚れがあって売れるか不安」といった場合にも無料でご相談いただけます。

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