浦上玉堂の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

浦上玉堂(うらかみぎょくどう)は、自身の心象を託した心象風景としての水墨の山水画で有名な日本画家です。
力強い筆致と渇筆の技法で描かれる自然の迫力や、その中にいる人間の心象などの表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、浦上玉堂作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい浦上玉堂作品の特徴、浦上玉堂の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
浦上玉堂とは
浦上玉堂(1745-1820)は、江戸時代後期に活躍した日本画家です。
特に、玉堂自身の心象を託した水墨の山水画が有名です。
浦上玉堂は1745年、岡山藩の支藩である鴨方藩(現在の岡山県浅口市)の藩邸に、播磨・備前の戦国大名であった浦上氏の末裔として生まれます。
わずか7歳で家督を継ぐと武士として順調に出世を重ね、藩主の側近として大目付(藩士の監察や藩政の監督などを行う役職)を務めました。
その傍らで儒学や医学などを学び、詩や七絃琴(しちげんきん)に熱中するなど、若いころから文人としての様々な分野に興味を持っていたようです。
特に琴にはよく親しみ、35歳の時に入手した「玉堂清韻」と銘された七弦琴にちなんで、自らを「玉堂」と名乗ったほどです。
そんな浦上玉堂が画家としての活動を始めたのは40歳を過ぎてからと遅かったのですが、そののめりこみ方には凄まじいものがありました。
ついに50歳のときには武士としての地位を捨てて脱藩し、琴と画筆を携えて全国を旅する放浪の生活を送りました。
そうして諸国を遍歴した後、晩年は京都に居を構え、多くの文人たちと交流しながら創作活動を続けました。
1820年に75歳で亡くなるまで、国宝に指定されている「東雲篩雪図」など、数々の名作を残しています。
浦上玉堂の作風
浦上玉堂の代名詞とも言えるのが、水墨による山水画です。
そして、浦上玉堂の山水画は、特定の場所を描いたものではなく玉堂自身の内面や感情を投影した「心象風景」であることが特徴です。
自然の中に身を置く孤独な心境や、漂泊の人生で感じた心情が、画面全体に静かに力強く表現されています。
このような自然と一体化しようとする玉堂自身を表すかのように、浦上玉堂の作品には広大な山水の中に小さく描かれた人物がよく登場します。
この人物が居ることによって、自然の中にいる玉堂の孤独感や静寂さを感じさせます。
技術的な面での特徴としては、墨をつけた筆を擦るようにして描く「渇筆(かっぴつ)」や「擦筆(さっぴつ)」を多用した力強い筆致が挙げられます。
この技術により、岩肌のゴツゴツとした質感や、乾いた大気の肌ざわりのようなものが見事に表現されています。
また、玉堂は墨の濃淡を巧みに使い分け、山や木々を何度も重ねて描くことで、深みのある空間を作り出しました。
浦上玉堂の作品の種類
浦上玉堂の作品には、通常の紙本・絹本の日本画作品のほかに、掛け軸作品も多くあります。
特に掛け軸作品は小型で扱いやすいものが多いことから、美術品買取市場でも人気が高くなっています。
浦上玉堂作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
自身の心象を託した山水画で高く評価されている浦上玉堂の作品は、美術品買取市場でも高い人気があります。
国宝や重要文化財に指定されているものなど貴重な作品も多くありますが、掛け軸作品などを中心に買取市場での取引例も見られます。
浦上玉堂作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、円熟して独自の境地を確立した後の晩年の作品です。
60歳以降、特に70歳を超えてからの作品は最も評価が高く、買取市場でも高い価値がつく可能性があります。
浦上玉堂だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした日本画・掛け軸の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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浦上玉堂の代表作
自身の心象を巧みに描きこんだ、浦上玉堂の水墨による山水画は多くの美術ファンを魅了しています。
ここでは、浦上玉堂の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
東雲篩雪図(とううんしせつず)
「東雲篩雪図」(制作年不明、60代末の制作と推定される)は、国宝にも指定されている浦上玉堂の代表作です。
ノーベル賞作家・川端康成が生前に愛好した作品で、現在は川端康成記念会に所蔵されています。
描かれているのは、雪に埋もれた冬の山の風景です。
玉堂が東北地方を旅した際の心象が反映されていると言われています。
「東雲篩雪」とは「凍るような雲が、ふるい(篩)にかけたように雪を降らせる」という意味合いです。
画面上部には怪しいほどに墨を重ねて描かれた「凍雲」が広がり、その下には雪に覆われた山々が描かれています。
山腹には小さな家屋や人物が見え、広大な自然の中に人間が慎ましく存在している様子が表現されています。
浦上玉堂が得意とする渇筆が多用されており、山肌の質感や冬の空気感、そして大自然の寂寥感が見事に表現されています。
山中結廬図(さんちゅうけつろず)
「山中結廬図」(1792)は、浦上玉堂が脱藩する前に描かれた作品で、初期の代表作と評価されています。
国の重要文化財に指定されており、現在は東京国立博物館に所蔵されています。
「山中結廬図」は浦上玉堂作品の中では珍しく、絹に描かれています。
晩年の作品のような力強い渇筆とは異なり、朱や藍といった淡い彩色を用いた繊細な筆致が特徴です。
画面の静謐で穏やかな雰囲気は、武士としての安定した生活を送っていた玉堂が、画家としての道を歩み始める直前の心情を反映しているかのようにも見えます。
浦上玉堂の画風が確立される途上の作品として、美術史的にも重要な作品です。
秋色半分図(しゅうしょくはんぶんず)
「秋色半分図」(1818)は、浦上玉堂の画業の集大成ともいえる最晩年の傑作です。
国の重要文化財に指定されており、現在は愛知県美術館に所蔵されています。
「秋色半分図」では画面が円形になっているのが特徴で、丸い画面の中には巧みに遠近を分けた山水が描かれています。
「秋色半分」とは「秋の気配がいまだ半分」という意味で、季節の移ろいの様子を捉えたものと解釈できます。
浦上玉堂らしい水気の少ない墨と渇筆が多用され、荒々しくこすりつけるような筆致が顕著に見られ、これによって重厚で深みのある秋の自然が力強く表現されています。
浦上玉堂の芸術世界が最もよく表れた作品の1つと言えるでしょう。
山雨染衣図(さんうせんいず)
「山雨染衣図」(制作年不明、60代半ば頃の制作と推定される)は、浦上玉堂の技術と精神性が凝縮された作品として高い評価を受ける名作です。
国の重要文化財に指定されており、現在は岡山県立美術館に所蔵されています。
「山雨染衣図」では、「晴雨二つの景観」が見事に描き分けています。
つまり、前景は雨が上がったばかりの情景で、木々や地面が淡い墨で丁寧に描かれているのに対して、遠景にはまだ雨が煙っており、霧や雲に包まれた山々の様子が描かれています。
荒々しい渇筆が特徴の浦上玉堂作品ですが、前景では潤筆(筆に十分な墨を含ませて描くこと)も巧みに使い分け、雨後の樹木や岩肌が描かれています。
「山雨染衣」とは「山中の雨が衣を濡らす」という意味で、自然の厳しさと、その中にある静謐な美しさが詩情豊かに表現されています。
双峰挿雲図(そうほうそううんず)
「双峰挿雲図」(制作年不明、60代後半の制作と推定される)は、浦上玉堂の力強くダイナミックな画風が結実した傑作です。
国の重要文化財に指定されており、現在は東京都の出光美術館に所蔵されています。
「双峰挿雲図」では、中国の景勝地である西湖(せいこ)を取り囲む、北高峰と南高峰の二つの峰が描かれています。
「双峰挿雲」とは、「そびえ立つ2つの峰に雲が挿まれている」という意味合いです。
雄大な山水の中に、玉堂らしい力強い筆遣いが発揮されており、特に墨の濃淡の変化と動きのある表現は、晩年の円熟した技術が遺憾なく発揮されています。
画面上部には雲を挿み込むようにそびえる2つの峰、山麓には旅人や漁師が描かれ、広大な自然と人間の対比が示されています。
ここに紹介したもののほかにも、浦上玉堂には重要文化財に指定されている「煙霞帖」「酔雲醒月」「籠煙惹滋図」など数多くの有名作品があります。
これらの作品はあまりに貴重なため買取市場に出てくることはありませんが、浦上玉堂の作品であれば代表作と呼ばれるものでなくても、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
お持ちの浦上玉堂作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ浦上玉堂の絵画を高価買取してもらうためのポイント
自身の心象を巧みに表現する浦上玉堂の山水画は、美術品買取市場でも高く評価されています。
では、浦上玉堂の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
浦上玉堂作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
浦上玉堂を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
浦上玉堂のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
浦上玉堂のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
浦上玉堂作品の場合、自身の号である「玉堂」や「玉堂琴士」などの署名と、朱色の印章が押されているものが多いです。
これらのサインや印章は作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
入手経路などの来歴を明確にしておく
浦上玉堂をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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