刑部人の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

刑部人(おさかべじん)は、雪景色、山や渓谷など日本の風景を描き続けたことで知られる日本の洋画家です。
ペインティングナイフを活用した独自の技法で描く、刻一刻と変化する自然の表情や光の表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、刑部人作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい刑部人作品の特徴、刑部人の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
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刑部人とは
刑部人(1906-1978)は、昭和期に活躍した日本の洋画家です。
特に、ペインティングナイフを活用した独自の技法で日本各地の風景を描いたことで知られています。
1906年、現在の栃木県都賀町に生まれた刑部人は、幼少期から日本画家の川端龍子(かわばたりゅうし 1885-1966)に絵画を学びました。
1924年には東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科に入学し、和田英作(わだえいさく 1874-1959)に師事して西洋画を学びます。
すると、東京美術学校在学中に第9回帝展(1928年)で初入選を果たすなど、若くして頭角を現し始めます。
東京美術学校を卒業後は官展(帝展・文展・日展など)を主な舞台として活躍するとともに、東京高等工芸学校(現・千葉大学工学部)で教鞭をとりました。
特に戦後の活躍は目覚ましく、第1回日展(1946年)・第4回日展(1948年)で特選を受賞するなど、日展の常連として数々の受賞歴があります。
そのような功績が称えられ、没後には勲四等瑞宝章を受章しました。
刑部人の作風と代表的なモチーフ
刑部人は生涯にわたり、ひたすら日本の風景を描くことに情熱を注ぎました。
日本各地の情景、特に雪景色、山や渓谷の風景を得意とし、日本の自然が持つ静謐で透明感のある空気を表現したことで知られています。
制作スタイルは写実性を重視する現場主義で、各地を旅して写生を行い、刻一刻と変化する自然の表情をキャンバスに再現しようとする姿勢を貫きました。
刑部人の特徴として、ペインティングナイフを積極的に活用して絵具を塗り重ねる技法があります。
この技法によって生まれる独特の絵肌と質感は大きな特徴で、風景の刻々と変化する光や生命感を表現する、躍動感あふれる独自のタッチが確立されています。
また、円熟期には絵具をキャンバスの上で直接混ぜていく印象派的な表現方法も取り入れ、現場で感じた光の塊としての情景を瞬時に描き出すことを追求しました。
このため、刑部人は「光の画家」とも呼ばれています。
画面全体を包み込む内省的な光と空気の表現が、刑部人独自の静謐な画面構成を生み出しています。
刑部人の作品は、油絵というヨーロッパの画法を用いながらも、その表現は日本の風土と光に対する深い洞察に根ざした、日本人ならではの叙情性を湛えています。
そして、日本の風景に加えてもう1つ、刑部人が好んで描いたモチーフがあります。
隣人で画家の緑敏(ろくびん 1902-1989)がバラづくりを趣味としていたこともあり、刑部人は緑敏のバラを好んで描きました。
風景とともにバラも、刑部人作品の中で人気の高いモチーフです。
刑部人作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
刻一刻と変化する自然の表情や光を捉えた表現で日本の美しい風景を描く刑部人の絵画には、多くの美術ファンからの高い支持があります。
美術品買取市場でも刑部人作品の人気は高く、高価買取されるケースもあります。
刑部人作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、渓流や雪景色の日本の風景画、そしてバラなどの人気モチーフが描かれた作品です。
特に、風景画では刑部人の独自技法であるペインティングナイフによる独特な絵肌が表れたものが、バラの絵では花瓶まで美しく描き込まれたものが高く評価されやすいでしょう。
刑部人だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など西洋画の買取相場や高く売るためのポイントなど、西洋画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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刑部人の代表作
ペインティングナイフを活用した独自の技法で刻一刻と変化する自然の表情や光を捉えた刑部人の絵画は、多くの美術ファンを魅了しています。
ここでは、刑部人の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
冬の軽井沢
「冬の軽井沢」(1946)は第1回日展で特選を受賞した、刑部人の画業にとって非常に重要な作品です。
描かれているのは、軽井沢の雪景色です。
雪に覆われた街路や木々がしんとした静けさと共に描かれ、日本の冬の持つ静かで透明感のある空気が見事に捉えられています。
曇り空の下で雪に反射する微妙な光や、影の色の深さが画面全体にリアリティと奥行きを与えており、刑部人の代名詞とも言える光の表現がこの頃から明確に現れています。
色彩の面では鮮やかな色を避け、全体的に抑制された色調を用いています。
この地味な色遣いが、かえって雪景色の詩情と深みを高めています。
奥入瀬秋色
青森県の奥入瀬渓流は刑部人が好んで描いたモチーフであり、その風景は繰り返し描かれています。
その中でも代表作といえるのが、「奥入瀬秋色」(1976)です。
現在は栃木県立美術館に所蔵されています。
描かれているのは、紅葉の時期を迎えた奥入瀬渓流の情景です。
紅葉の鮮やかな赤や黄色、渓流の青や緑といった色彩が混ざり合う中に、全体として光に満ちた静謐な空気感が表現されています。
そして、ペインティングナイフによる荒々しくも深みのある絵肌によって水の流れのエネルギーが表現されており、奥入瀬の森の生命力と、その中を流れる清流の躍動が伝わってくるようです。
雪渓(塩原)
「雪渓(塩原)」(1971)は、刑部人が長年追求し続けた日本の冬の風景画における代表作です。
現在は東京藝術大学大学美術館に所蔵されています。
描かれているのは、刑部人の故郷・栃木県塩原の渓流と雪景色です。
晩年の刑部人らしい抑制された色彩と構成によって、雪に覆われた渓谷の静けさとその中を流れる水の冷たさ、そして雪に反射する淡い光が表現されています。
雪・氷・水・空の微妙な色の変化、影の部分に含まれる青や紫などの色が繊細に捉えられており、細部にまで日本の風土に対する深い愛情が感じられます また、ペインティングナイフによる厚塗りの技法も極めて洗練されており、厚く盛り上げられた絵具は単に雪や岩を描く手段ではなく、光と影の集積として機能しています。
雪の塊の質感、冷たい水の流れ、そして岩肌の凹凸が、ナイフのタッチによってリアルかつ抽象的に表現されており、画面に深い奥行きと力強さを与えています。
ばら(マジョリカ壺)
「ばら(マジョリカ壺)」(1974)は、刑部人の静物画における代表作です。
現在は栃木県立美術館に所蔵されています。
描かれているのは、マジョリカ壺(ルネサンス期にイタリアで発展した色絵陶器)に生けられたバラです。
抑えた色彩の中にもバラの花びら1枚1枚が光を浴びて生気を帯びているかのように描写されており、柔らかな花びらの質感や、その濃密な香りまでが感じられます。
そして、バラの花びらと対比をなすものとして、マジョリカ壺の陶器特有の硬質さと、それに反射する光の質感が見事に表現されています。
このような壺の描写のこだわりによって、バラの美しさや生命力が一層際立っていると言えるでしょう。
まだまだある刑部人の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、刑部人にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
| 渓流 | 十和田湖畔 | 高見順像 | 友人の肖像 | ばら(ペルシャ壺) |
| 断崖 | 自画像 | りんごの花 | 銚子海岸 | 写生する金山先生 |
| 裸体 | りんご園 | 塩尻峠 | 奈良初秋 | 暮坪の海(山形県) |
| 山畑 | 千曲川鳥瞰図 | 雪後 | 姨捨枝垂桜 | 静物(かりんとからすうり) |
| 道 | 我庭(冬) | 安茂里 早春 | 西の京の春 | 吉野山上千本 |
| 薔薇 | てっせん | 銚子港風景 | 室生新緑 | 新緑塩原渓流 |
ここに名前を挙げたような刑部人作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ刑部人の絵画を高価買取してもらうためのポイント
ペインティングナイフを活用した独自の技法で刻一刻と変化する自然の表情や光を捉えた風景画などで多くの美術ファンを魅了する刑部人の作品は、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、刑部人の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
刑部人作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
刑部人を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
刑部人のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
刑部人のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
刑部人作品の場合、作品の左下の隅などに「Jin Osakabe」と絵筆による署名が入っていることが多いです。
また、作品の裏側に、作品名とともに漢字でサインが入っていることもあります。
これらのサインは作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集め、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
入手経路などの来歴を明確にしておく
刑部人をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に大きな展覧会に出品された」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、出品された展覧会のリストや写真といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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