岩橋英遠の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

岩橋英遠(いわはしえいえん)は、北海道の広大な自然をモチーフにした風景画で知られる日本画家です。
自然物や自然現象を時間経過も含めて描くことで、生命や物事の本質にまで迫る表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、岩橋英遠作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい岩橋英遠作品の特徴、岩橋英遠の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
岩橋英遠とは
岩橋英遠(1903-1999)は、昭和から平成にかけて活躍した日本画家です。
本名は岩橋英遠(いわはしひでとお)です。
故郷・北海道の広大な自然をモチーフにした風景画や花鳥画で知られています。
岩橋英遠は1903年、現在の北海道滝川市に屯田兵の息子として生まれました。
20歳頃までは、故郷で農業に携わりながら独学で絵を描いていたといいます。
そして1924年に上京すると日本画家の山内多門(やまうちたもん 1878-1932)に師事し、本格的に日本画家としての道を歩み始めました。
師の死がありながらも院展(公益財団法人日本美術院が主催する、国内最大規模の日本画の公募展)に出品を続け、1934年には「新宿うら」で初入選を果たします。
また、1937年には歴史を題材とした日本画を得意とする日本画家・安田靫彦(やすだゆきひこ 1884-1978)の門下に集う「火曜会」に入会します。
日本画の新時代を築き上げるメンバーの一員として精力的に作品を発表していきました。
岩橋英遠は長年にわたり院展で活躍し、大観賞・文部大臣賞などを受賞、さらには日本美術院の理事も務めました。
また指導者としても、東京芸術大学で教授・名誉教授として後進の育成に尽力しました。
そのような功績が認められ、1989年には文化功労者に認定され、1994年には文化勲章を受章しています。
岩橋英遠の作風
岩橋英遠が生涯を通じて描き続けたモチーフとして、故郷・北海道の自然があります。
生まれ育った北海道の雄大な自然と、その力強い営みや、宇宙的な広がりと神秘性を表現しています。
北海道の自然の中でも、特に多く描かれたのが鶴です。
鶴は岩橋英遠にとって、雄大な自然の中で飛翔する「生命の象徴」のような存在だったようです。
岩橋英遠の絵画は、目に見える景色を描きながらも、描かれているのは深い洞察に基づいた心象風景であることが多く、叙情的ながらも骨太で精神性の高い表現が特徴です。
また、代表作の1つである「庭石」(「雪」「雨」「月」「水」の4作から成る連作)に見られるように1つのモチーフを複数の視点や時間の移ろいで捉え直すなど、物事の本質を深く洞察する姿勢が示されています。
技法的には伝統的な日本画の技法を受け継ぎながらも、西洋画の手法やシュルレアリスムなどの要素を取り入れているのが特徴です。
これにより、岩橋英遠の作品には従来の日本画にはなかったモダンな感覚や開放性が生まれています。
また、風景を描くにあたって、日本画の伝統的な画材である岩絵具を駆使しながらも、従来の日本画にはない幻想的な色彩や独特のマチエール(絵肌)を生み出しました。
特に晩年の「空」の作品群に見られる、鮮やかで奥行きのある表現は特筆すべきです。
岩橋英遠の作風は「北方ロマンの雄」とも称され、写実と幻想が交錯する独自の絵画世界を築きました。
岩橋英遠の作品の種類
岩橋英遠の作品には、肉筆の日本画作品のほかに、木版・リトグラフなどの版画作品もあります。
特に版画作品は比較的希少性が低いことから、美術品買取市場でも多く取引されています。
岩橋英遠作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
北海道の雄大な自然の力強い営みを描くことで生命の本質にまで迫る奥行きを持つ岩橋英遠の作品には、多くの美術ファンからの高い人気があります。
美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くありますが、買取市場に出てきた時には高い買取価格がつくケースは多いでしょう。
岩橋英遠作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、やはり北海道の雄大な自然を描いた作品です。
特に鶴を描いたものは人気が高く、鶴の動きや生命力が感じられる作品には高い買取価格がつきやすい傾向があります。
また、版画作品よりも肉筆の日本画の方が希少性が高くなりやすいです。
岩橋英遠だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした日本画の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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岩橋英遠の代表作
従来の日本画にはなかったモダンな感覚で北海道の雄大な自然を描いた岩橋英遠の絵画は、多くの美術ファンを魅了しています。
ここでは、岩橋英遠の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
道産子追憶之巻
「道産子追憶之巻」(1978-1982)は、岩橋英遠が79歳で完成させた、画業の集大成と言える大作です。
北海道立近代美術館に所蔵されています。
「道産子追憶之巻」は全長約29メートルにも及ぶ絵巻物です。
故郷である北海道への追憶と、そこで繰り広げられる壮大な自然の営みと人間の暮らしを描いています。
画面は絵巻物の右から左へと、北海道の厳しい冬から始まり、雪解けの春、短い夏、そして実りの秋を経て、再び長い冬へと戻る一年の巡りを描いています。
そして、四季の移り変わりだけでなく、それぞれの季節の中で夜明けから日没までの1日の時間の変化が重ねて表現されています。
特に、夕焼けに染まる田んぼの上を無数の赤トンボが渡っていく秋の情景は、幻想的で詩的な美しさがあるとして、作品の中でも人気の高い場面です。
そのような季節ごと、時間ごとの北海道の広大な原風景と、厳しくも美しい自然に寄り添いながら生きる人々の姿が細かく描き込まれており、時間の流れと空間の広がりが詩情豊かに描かれています。
庭石
「庭石」(1953)は、院展で芸能選奨文部大臣賞を受賞し、岩橋英遠の出世作となった名作です。
東京都現代美術館に所蔵されています。
「庭石」は「雪」「雨」「月」「水」という、それぞれ四季をあらわす二曲四隻(2枚1組の屏風が4組)から成る連作の屏風絵です。
作品名 | 季節 | モチーフ |
---|---|---|
庭石(雪) | 冬 | 厚く苔むした手水鉢に雪が降り積もる様子 |
庭石(雨) | 春 | 赤い石が、春の雨に濡れて鮮やかな赤色を発色している様子 |
庭石(月) | 秋 | 月光に照らされた石の姿と、その手前に投げかけられた影 |
庭石(水) | 夏 | 水面に映し出された石の対称な姿 |
小さな庭石という静物に雪・雨・月・水といった自然の普遍的な要素を結びつけることで、自然の不変性、そして時の流れの中で変化する「一瞬の相」を表現したと言えるでしょう。
壮大な風景画で知られる岩橋英遠の作品群の中で、庭石という身近な静物を通して深い自然観と精神性を表現した点で特筆すべき作品と言えます。
蝕
「蝕」(1959)は、岩橋英遠の描く自然が、より抽象的で普遍的な「宇宙のロマン」へと移行していった時期を象徴する作品です。
東京国立近代美術館に所蔵されています。
「蝕」では、実際の風景を写実的に描くのではなく、天体が欠けていくことによる独特の光と色を幻想的に表現しています。
画面全体が抑制された重厚な色彩で満たされ、壮大な自然現象の中に潜む異様なエネルギーが、迫力をもって伝えられています。
日本画の伝統的な画材である岩絵具を駆使しながらも、従来の日本画にはない幻想的な色彩や独特のマチエールで、モチーフの持つ荘厳さや神秘性を表現する技法は見事です。
虹輪
「虹輪」(1969)は、「蝕」から発展した宇宙的な広がりを持つ作品群の中で代表作に数えられるものの1つです。
北海道立近代美術館に所蔵されています。
「虹輪」は、それぞれ異なる情景を描いた3つの作品から構成されています。
作品名 | 情景 | モチーフ |
---|---|---|
虹輪(極圏を飛ぶ) | 北極と厳寒の空 | 北の極限の空に現れる虹輪と、その中を力強く飛翔する鳥の姿 |
虹輪(南溟を翔る) | 南の海と熱帯の空 | 南の海の上を翔ける鳥と虹輪 |
虹輪(来迎) | 仏教的な光と救済 | 来迎を思わせる神々しい光の輪としての虹輪 |
この三部作では、虹輪という大気現象を、画面いっぱいに広がる空と雲、そしてその中を飛翔する鳥の姿とともに描いています。
観る者を圧倒するような広大なスケールが、絵画世界に奥行きと力強さを与えています。
「虹輪」は岩橋英遠作品の中でも特に色彩が鮮やかで、幻想的な仕上がりになっています。
虹輪が持つ複雑な光のスペクトルが、岩絵具の特性を活かして豊かに表現されています。
自然の圧倒的な力に内在する美しさ、崇高なロマン、調和を描き出した名作だと言えるでしょう。
まだまだある岩橋英遠の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、岩橋英遠にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
鳴門 | 彩雲 | 歴史 | 土 | 静日 |
壁 | 鴇 | 懸泉 | 双狗 | カムイヌプリ |
暎 | 北の海 | 雲のある溪谷 | 翔鶴 | 仙 |
憂北の人 | 曙光 | 不尽翔鶴 | 飛鶴 | 牡丹 |
ここに名前を挙げたような小田切訓作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ岩橋英遠の絵画を高価買取してもらうためのポイント
北海道の雄大な自然の力強い営みを描くことで生命の本質にまで迫る奥行きを持つ岩橋英遠の絵画は、美術品買取市場でも高く評価されています。
では、岩橋英遠の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
岩橋英遠作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
岩橋英遠を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
岩橋英遠のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
岩橋英遠のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
岩橋英遠作品の場合、作品の下や墨などに「英遠」または「英遠画」などのサインと朱色の印章が押されているものが多いです。
また、版画作品ではそれに加えて、裏側にエディションナンバーが入っていることが多いです。
これらのサインやエディションナンバーは作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
入手経路などの来歴を明確にしておく
岩橋英遠をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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