今村紫紅の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

今村紫紅(いまむらしこう)は、古今東西の様々な要素を取り入れた革新的な作風で知られる日本画家です。
大胆な構図や鮮やかで対比的な色彩など、独創性際立つ画風の風景画は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、今村紫紅作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい今村紫紅作品の特徴、今村紫紅の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
今村紫紅とは
今村紫紅(1880-1916)は、明治後期から大正初期にかけて活動した日本画家です。
短い生涯の中で、日本画の革新に大きな貢献をした画家として知られています。
今村紫紅は1880年、神奈川県横浜市に生まれました。
本名は今村寿三郎(とみさぶろう)です。
17歳の頃、歴史画の大家であった松本楓湖(まつもとふうこ 1840-1923)の画塾に入り、やまと絵の模写を徹底的に行うなど伝統的な日本画の技法、特に人物画を学びました。
すると、18歳の時には早くも日本美術協会展で初入選を果たします。
そして、1901年には盟友の安田靫彦(やすだゆきひこ 1884-1978)ら若手画家たちと美術研究団体「紅児会」を結成し、新しい歴史画の創造などに努めました。
そんな中で今村紫紅は、師から学んだ伝統的なやまと絵のほか、伝統にとらわれない画風で一世を風靡した江戸時代の画家・俵屋宗達の絵画、中国の南画、西洋の後期印象派の表現なども取り入れ、革新的な独自の画風を確立していきます。
その独創的で革新的な作品は当時の画壇に大きな刺激を与え、本人も「日本画を破壊する」と豪語するなど、今村紫紅は若くして革新者として知られるようになりました。
今村紫紅の活動は、速水御舟(はやみぎょしゅう 1894-1935)ら後進の画家に多大な影響を与えたとされています。
わずか35歳で夭折した今村紫紅ですが、その短い生涯の中で、確かに日本画壇に大きな影響を残しました。
今村紫紅の作風
今村紫紅は、伝統的な日本画をベースとしながらも、時期によって次々に新しい要素を取り入れながら画風を変化させていきました。
初期(~1900年代後半)は、師から学んだ伝統的なやまと絵の技法を使った歴史画を中心に描いていました。
それが中期(1900年代後半~1910年ごろ)には、横山大観(よこやまたいかん 1868-1958)や菱田春草(ひしだしゅんそう 1874-1911)らの影響を受け、朦朧体(もうろうたい:輪郭線を用いずに描く技法)を取り入れるようになりました。
また、中国の南画の筆遣いをやまと絵の伝統に融合させた「新南画」と呼ばれる新しいスタイルを生み出しました。
後期(1910年代)は、日本の伝統的な絵画技法をベースに古今東西の要素を柔軟に取り入れ、風景画で次々と傑作を発表した時期です。
この時期には、伝統的な絵画には見られない大胆な切り取り方や構図を用い、鮮やかで対比的な色彩を積極的に使用しました。
大和絵の伝統的な色彩や装飾性に加え、俵屋宗達の造形、南画の筆遣い、後期印象派の色彩や点描表現までを融合させ、独創性が際立つ画風を確立します。
この今村紫紅が確立した画風は当時の画壇に大きな衝撃を与え、「日本画の革命児」とも評されました。
今村紫紅の作品の種類
今村紫紅の作品には、通常の紙本・絹本の日本画作品のほかに、掛け軸・版画などの作品もあります。
掛け軸作品は小型で扱いやすく、版画作品は比較的希少性が低いことから、掛け軸作品や版画作品は美術品買取市場でも多く取引されています。
今村紫紅作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
革命と言われるほどの独創性際立つ表現で高く評価されている今村紫紅の作品は、美術品買取市場でも高い人気があります。
美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くありますが、掛け軸作品や版画作品などを中心に買取市場での取引例も見られます。
今村紫紅作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、今村紫紅ならではの革新的な画風を確立した後期の作品です。
特に、晩年に得意とした風景画の作品は買取市場でも人気が高く、高い価値がつく可能性があります。
今村紫紅だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした日本画・掛け軸の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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今村紫紅の代表作
独創性際立つ画風と多彩な表現技法が光る今村紫紅の絵画は、多くの美術ファンを魅了しています。
ここでは、今村紫紅の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
近江八景
「近江八景」(1912)は、国の重要文化財にも指定されている今村紫紅の代表作です。
東京国立博物館に所蔵されています。
「近江八景」は、江戸時代からの伝統的な風景画の画題である琵琶湖畔の名勝八景を、今村紫紅らしい新しい様式で描いたもので、8幅から成る連作です。
長い歴史の中で定型化されていたこの画題ですが、今村紫紅は実際に現地を旅行し、そこで得た印象と写生に基づいて風景を再構築しました。
技法としてはやまと絵や琳派(俵屋宗達など)の装飾的な感覚を土台に、南画の伸びやかで自由な筆遣い、後期印象派の鮮烈な色彩感覚や点描法などを、日本画の岩絵具の表現に取り入れています。
風景を細かい点や色の塊として捉え、光と空気の表現に重点を置いているのが特徴です。
従来の落ち着いた日本画の色使いとは一線を画し、鮮やかで明瞭な色彩が対比的に用いられています。
熱国之巻
「熱国之巻」(1914)は、「近江八景」と同じく国の重要文化財に指定されている今村紫紅の代表作です。
東京国立博物館に所蔵されています。
「熱国之巻」は1914年に行ったインド旅行での取材やスケッチをもとに熱帯地方の自然や人々の生活を描写したもので、「朝之巻」と「暮之巻」の2巻から成ります。
伝統的な絵巻という形式を用いながらも、その表現は極めて大胆かつ独創的なものになっています。
描かれているのは、高床式の家屋で暮らす水上生活者や牛車など、当時の日本人にとって未知の異国の風景です。
それらのモチーフが、対象の写実性よりもその場の雰囲気や強烈な視覚的印象を優先し、点描を思わせるような筆致で描かれています。
色彩の面では、従来の日本画では見られなかった明るく強い色づかいで、熱帯地方の強烈な太陽光、色鮮やかな自然、人々の衣装を表現しているのが特徴です。
また、画面全体に金砂子(きんすなご:金箔や銀箔を粉末状にしたもの)がふんだんに用いられ、熱帯の目映いばかりの光と輝きを表現しています。
風神雷神
「風神雷神」(1911)は、今村紫紅が傾倒していた俵屋宗達の名作「風神雷神図屏風」の主題に挑戦した、意欲的な作品です。
東京国立博物館に所蔵されています。
今村紫紅の「風神雷神」では俵屋宗達の「風神雷神図屏風」と同じく、両神が左右に対となる形で配置されています。
今村紫紅の「風神雷神」では、神々の身体や雲の形がより単純化され、装飾性と表現の力強さが強調されている傾向があります。
俵屋宗達の作品よりもさらにユーモラスで、躍動的な表現が特徴と言えるでしょう。
俵屋宗達の作品が持つ特質を理解した上で、独自の解釈と新しい表現を取り入れた点に、歴史的な意義があります。
伊達政宗
「伊達政宗」(1910)は、今村紫紅が革新的な風景画を描くようになる直前の、歴史人物画の分野における集大成とも言える作品です。
神奈川県の横浜美術館に所蔵されています。
描かれているのは、伊達政宗が豊臣秀吉の不審を買って上洛した際、死に値する過失と認めて、金箔を貼った磔刑の柱で死の覚悟を派手に示したとされる場面です。
しかし、背後の派手な十字架は全体を描かず、伊達政宗の穏やかで動じない風格ある姿をメインに描いているのが特徴です。
色彩の面では、十字架の金色に渋い色目の衣、そして脇差に濃い緑色を差すなど、それぞれの色が響き合い引き立て合うような鋭い色彩感覚が見られます。
まだまだある今村紫紅の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、今村紫紅にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
護花鈴 | 細雨 | 達磨 | 夏山雨霽 | 清水寺の春 |
箏を弾く宮人 | 髙士逍遙 | 双禽図 | 布袋 | 宇津の山路 |
仲秋之図 | 槍持奴 | 夏日野径 | 細雪 | 平親王 |
時宗 | 龍虎 | 南風 | 沙魚 | 早春 |
ここに名前を挙げた今村紫紅作品は、どれも価値の高いものばかりです。
また、ここに名前のない作品であっても、今村紫紅の絵画作品であれば保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
お持ちの今村紫紅作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ今村紫紅の絵画を高価買取してもらうためのポイント
古今東西の要素を柔軟に取り入れ、独創性際立つ画風の今村紫紅の絵画は、美術品買取市場でも高く評価されています。
では、今村紫紅の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
今村紫紅作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
今村紫紅を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
今村紫紅のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
今村紫紅のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
今村紫紅作品の場合、作品の右下や左下などに、「紫紅」のサインと朱色の印章が押されているものが多いです。
これらのサインや印章は作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
なお、今村紫紅作品について信頼度の高い鑑定機関としては、東美鑑定評価機構鑑定委員会が挙げられます。
入手経路などの来歴を明確にしておく
今村紫紅をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「今村紫紅のパトロンでもあった美術品収集家の原三溪(はらさんけい 1868-1939)が所有していた」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、過去の所有者といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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