着物作家・山田貢作品の買取方法は?基本情報から高く売るコツまで徹底解説!
人間国宝の「友禅」技術保持者である、山田貢(みつぎ)は、独自の製作技法を生み出し、その後の染織界に大きく影響を与えた人物として有名な着物作家です。
山田貢の着物をお持ちであれば、その着物の価値を知りたいという方は多いと思います。
ただし、着物を買取に出す場合は、相場の理解や、高く売るために必要な方法を知っておかないと損をしてしまう可能性があります。
本記事では、山田貢に関する経歴・作品の特徴・売るために必要な買取相場や知識をご紹介します。
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目次
山田貢はなぜ人間国宝に認定されたのか?
山田貢は、岐阜県出身の染色家であり、無形文化遺産「友禅」の保持者として、人間国宝に認定されています。
友禅とは、日本で最も代表的と言われている、布に模様を染める技法のことです。 山田貢は、どのような事柄を成し遂げて、人間国宝になれたのでしょうか。
15歳で弟子入りする
山田貢は15歳になった1926年、叔父の紹介により、名古屋・松坂屋で友禅制作をする中村勝馬に師事しました。 山田貢は中村勝馬の基で、手描き友禅や模様部分を、ろうで防染して染色する「ろうけつ染め」の技法を学びました。
その後、中村勝馬と一緒に上京しますが、1945年に山梨県に疎開しました。
疎開後も積極的な創作活動を続ける
疎開先で移住しながら創作活動を続けた山田貢は、1947年より二科展(日本の美術家団体が開催する展示会)で、連続入賞を遂げました。 その後、山田貢は、1951年に友禅作家として独り立ちしました。
70年代以降、山田貢は創作活動を続けながら、東京芸術大学美術学部や金沢美術工芸大学にて、作家の卵たちの指導に尽力します。
これらの時期に制作した作品である、友禅染着物「夕凪(ゆうなぎ)」と友禅訪問着「波」は、後に山田貢の代表作として知名度を上げます。
山田貢の活躍は、作家活動や、学生への指導だけにとどまりませんでした。
1981年に日本工芸会が主催した「茶屋染帷子(ちゃやぞめかたびら)」という、伝統的な染め方である麻着物の復元事業に参加し、糸目糊(いとめのり)担当として指導も行うほどでした。
卓越した友禅技術が実を結び重要無形文化財保持者に認定
そしてついに、山田貢は作品の受賞歴に加え、卓越した友禅技術が実を結び、1984年に「友禅」で重要無形文化財保持者に認定されました。
1990年には、第2回・茶屋染帷子の復元事業にも参加し、糸目糊の研究に専念します。 そして94年、95年には復元事業の「友禅」伝承者養成の講師として、伝統技法の保存・公開・育成に尽力していました。
山田貢は2002年に惜しまれながら90歳で亡くなりますが、日本伝統工芸展の審査委員を長年務め、様々な方法で友禅を伝えてきた功績は現在でも偉大です。
以下表は、山田貢の受賞歴や功績をまとめたものです。
1947年 | 第32回二科展工芸部に初入選 以後連続入選を果たす |
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1957年 | 日本伝統工芸展に出品 |
1968年 | 日本工芸会常任理事、染織部会長に就く |
1977年 | 第24回日本伝統工芸展で友禅染着物「夕凪」が日本工芸会賞(奨励賞)受賞 (能装束の鱗文をヒントに網干の三角模様を連続させた風景模様を描いた作品) |
1981年 | 第28回日本伝統工芸展に友禅訪問着「波」を出品 日本工芸会が主催「茶屋染帷子」の復元事業に参加し、糸目糊の担当として指導 |
1982年 | 世田谷区特別文化功労賞 |
1983年 | 勲四等瑞宝章を受章 |
1984年 | 重要無形文化財「友禅」保持者に認定 |
1985年 | 日本工芸会参与に就任 |
1995年 | 小田急百貨店で個展開催 |
1998年 | 岐阜市ふるさと文化賞受賞 |
1999年 | 文化学園服飾博物館で「友禅 東京派五〇年の軌跡 —中村勝馬・山田貢・田島比呂子・中村光哉—」展を開催 |
制作活動を続けながら、未来の着物作家志望へ友禅の技法を教え、まさに友禅の人間国宝として認定されている山田貢は、友禅のために尽力した生涯と言えます。
山田貢の代表作
それでは、数ある山田貢作品の中でも有名な友禅着物「美香里」と点連線糸目友禅着物「凪」の2作品についてご紹介します。
また、その他にも有名な作品は数多くありますので、お持ちになられている着物が山田貢作品かどうか確認してみましょう。
■友禅訪問着「宵凪」■点糸目糊揚着物「麦」
■よろけ麻布染屏風「ともえ文」
■友禅染着物「夕凪」
友禅着物「美香里」
友禅着物「美香里」は、2001年 第48回日本伝統工芸展に出展され、入選を果たした作品です。
山田貢が得意としていた麦の柄をふんだんにあしらっている着物で、とても見応えがあります。
2002年に没した山田貢が世に生み出した最後の友禅着物のため、非常に高い価値があると言えるでしょう。
点連線糸目友禅着物「凪」
点連線糸目友禅着物「凪」は、1995年 第42回日本伝統工芸展に出展され、入選を果たした作品です。
網干の風景を描いた「凪」では、藍色との対比でくっきり浮かぶ無数の白線が実に見事に表現されています。
また、糸目糊で描かれた線は文字通り糸のように細く、見るものを圧巻させる緻密さです。
そんな「凪」を一から制作する様子を描いた映画『山田貢の友禅—凪—』が公開されたこともあり、山田貢の代表的な作品であると言えるでしょう。
山田貢作品にある3つの特徴
染織界に大きな影響を与えたと言われる山田貢ですが、彼の作品のどのような所が魅力的なのでしょうか。 以下、大きく3つの特徴に分けて、ご紹介します。
- 手の込んだ独自の制作過程
- 持ち前の探求心を活かした糸目模様
- 代表作が後世に残されるほど価値が高い
手の込んだ独自の制作過程
山田貢作品は、大胆な構図を細い線で、緻密に表現しているところが特徴です。 山田貢作品は、制作過程にも信念があります。 通常、手描き友禅作家は分業制で制作しますが、山田貢は「好きな線を引くため」と全工程を一人で行っていました。
制作は、下絵から糊置きまでに5回の線を引きます。 下絵の段階で4回も線を重ねる訳は、自らの手に「線」の感覚を研ぎ澄ますことで、山田自身が理想とする線を再現するためには必要な作業でした。
また、良質な友禅染めとは「糊の質と糊置きが仕上がりを決める」とも言われています。
たとえ、良い図案でも糊を置いた「糸目(いとめ)」が良くなければ、完成品の価値は下がってしまうからです。
山田貢の手による下絵と糊置きによって、絵の輪郭に力強さが表れるのは、独自に作られた技法として高い評価を得ています。
持ち前の探求心を活かした糸目模様
山田貢は友禅作家として独立した後、装束(しょうぞく)の品格を理想として能装束・狂言装束のデザインと模様の研究を行いました。
抽象画や紋章、ふるさとである岐阜県をイメージした作品を作るなどして、作風の幅を広げていきました。
山田貢の探求心は作品にも反映され、写生を基にした波模様・麦穂模様(むぎほ)・魚網模様(ぎょもう)など、自然のものや古典的な模様を題材となっていました。
伝統的なもち米糊による、糸目・堰出し(せき)・たたきの手法を用いて染色していく作風で、山田貢は「糸目糊の達人」と評されています。
代表作が後世に残されるほど価値が高い
山田貢独自の技法は、後の染織界に大きな影響を与えました。 その証明として、山田貢の代表作である「朝凪・夕凪」は、後世に残すべき美術工芸品として国が買い上げ、東京国立近代美術館に保存されています。
また、他にも山田貢作品は、文化庁・東京芸術大学などにも収蔵されています。 故郷・岐阜では代表的な作家として挙げられており、今日まで功績が語り継がれています。
2002年に山田貢が亡くなってから年月が経っていることから、保存状態の良い着物は少ないため、きれいな着物であるほど希少価値も高まっていることでしょう。
山田貢作品の買取相場とは?
山田貢の着物の買取相場は、状態にもよりますが、数万円ほどとされています。 高いものであれば、十万円を超えることもあります。
山田貢をはじめとする「人間国宝」の着物は、一般的な着物に比べてブランド力があり、手の込んだ繊細な作りなため、高い価値がつく傾向にあります。
また、着物の付属品として、和装バッグ・草履・帯締め・扇子などがあります。 一つ一つの買取金額は微々たるものかもしれませんが、着物と一緒に付属品を査定に出すと、買取金額に加算される可能性があります。
着物の状態によって、買取価格は変わってくるので、お持ちの着物や帯の正確な価値が知りたい場合は、着物買取のバイセルにご相談ください。
山田貢作品を少しでも高く売るための方法
山田貢を含む着物を買取に出す際、どうせなら少しでも高く売りたいと考えますよね。
そのためには、どこでどのようにして着物を買取に出せばいいのか、3つのポイントをご説明します。
- 着物買取のバイセルに査定を依頼する
- 証紙も一緒に買取へ出す
- 着物の状態をきれいに保つ
着物買取のバイセルに査定を依頼する
山田貢作品は、着物買取のバイセルに査定をご依頼ください。 着物の買取査定は、見る箇所が細かく「作家」「素材」「製作時期」「着物の状態」などを考慮しながら、買取金額を算出しています。
着物買取のバイセルは、着物についての専門知識や、買取経験が豊富な査定士が多く在籍しています。
一般的な買取業者の場合、査定スタッフが着物に詳しくない可能性があります。 お手持ちの山田貢作品の価値を見抜けずに、買取価格を低く見積もられてしまうかもしれません。
バイセルは、利用者が買取に出すまで大切にしていた着物の、本来もつ価値を見出します。
証紙も一緒に買取へ出す
着物を買取に出す際には、購入した際に付属していた証紙も一緒に出しましょう。
証紙とは、産地・織り方・素材・伝統工芸品マークなどが確認できる「着物の価値を示す証明書」のことです。 証紙は、特に作家物や高級着物に付属していることが多いです。
証紙を一緒に買取査定へ出すと、「本物」である証拠にもなり、査定時間の短縮にもなりやすいです。
また、専門買取業者は、証紙がなくてもお手持ちの着物の価値を見極められるかと思います。 しかし、次に購入する人からすると「証紙がついていたほうが安心して買いやすい」と言うことが多いです。
このようなことから、着物の買取査定時に証紙があるかないかで、買取金額が左右されてしまいます。
山田貢の着物は、買取市場でも価値のあるものとされているのに、証紙がないというだけで買取金額が下がってしまったら、とてももったいないですよね。
証紙は普段使わないので捨ててしまいがちですが、買取を検討している場合は、着物と一緒に保管しておくと良いでしょう。
複数の着物買取業者に査定してもらう
着物を買取に出す場合、複数の業者に査定してもらうこともポイントになります。
理由は、同じ着物を売りに出す場合でも、同じ金額になるとは限らないためです。
買取業者の在庫状況によって需要が高まったり低くなったりすることもあるため、少しずつ買取金額が変わってくることを押さえておきましょう。
そのため、買取を希望する際には複数の業者に査定を依頼し、その中から自分に合った業者を選択するのがおすすめの方法です。
着物の状態をきれいに保つ
着物は、保存状態が良いほど高値がつきやすいため、状態をきれいに保つ事が大事と言えます。
着物の素材で多い絹は、湿気を含みやすいです。 そのため、防湿対策をしっかりしないと、カビの発生・型崩れの原因になります。
着物をしまう場所として好ましいのは、湿気を吸収する桐箪笥の中です。 桐箪笥は、湿度が高くなると湿気を吸い取って膨らみ、低くなると湿気を逃がして収縮する優れものです。
さらに、防虫剤を入れておくと、虫食い対策ができます。 ただし防虫剤の中の薬剤が着物に触れてしまうと、着物が変色してしまうので、注意してください。
また着終わった着物は、たたむ前に風通しのいい日陰で数時間干し、溜まった湿気を飛ばします。 次に、柔らかい素材のタオルをブラシ代わりにして、着物に付いているホコリを優しく払うと、より清潔感が上がります。
強くこすりすぎてしまうと、逆に傷つけてしまうかもしれないので、気をつけましょう。 干した着物は折り目に沿って丁寧にたたみ、たとう紙に包んで、シワ予防もしっかりするといいです。
山田貢を高く買い取ってもらうために必要なことまとめ
山田貢は「友禅」の「人間国宝」として認定された、着物の有名作家です。 山田貢作品は、東京国立近代美術館に保存されているほど評価されており、買取市場でも価値の高い着物です。
山田貢作品の相場は、状態にもよりますが、数万円ほどとされています。
山田貢の着物を買取に出す際には、着物の本来もつ価値を見出すことができる、バイセルの無料査定をご利用ください。
また、着物を買取に出す前に、証紙を用意し、着物のお手入れをしてなるべくきれいな状態を保つことが重要です。
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