江戸の人々が愛した粋な風合い!唐桟織の歴史と特徴
細かい縞模様と独特の光沢が特徴的な「唐桟織」は、さらりとして柔らかい肌触りを持つ反物です。
今回は、江戸の人々の心を虜にした唐桟織の歴史と、その特徴についてまとめてみました。
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唐桟織の歴史
唐桟織とは、独特の細かい縦縞と、艶やかな質感が特徴的な反物です。
安土桃山時代に、唐桟織の原型となる織物はインドからオランダ船によって日本に運び込まれ、その鮮やかな色彩と縞模様が人々の注目を集めました。
しかし、当時の技術では、細い木綿糸を製造することができなかったため、特徴的な縞模様を表現することはできませんでした。
ところが、安政の開国以降は欧米諸国から良質な細い木綿糸を大量に輸入することが可能になり、日本でも細かい縞模様を表現できるようになりました。
江戸時代には、人々の贅沢を禁止する「天保の改革」が発令され、絹織物を使用した着物を着用することが出来なくなったこともあり、それに代わる粋な織物として唐桟織は人々の間で流行しました。
当時の唐桟織は、埼玉県川越市、博多、西陣、堺などでさかんに製造されていました。
唐桟織ができるまで
細い木綿糸から唐桟織が完成するまでは、およそ10の工程に分けて作業が進められます。
まず、原料となる細い木綿糸を植物染めしていきます。使用する染料は、藍や山桃の皮を煮詰めたものです。
糸に染料が入りやすくなるよう、沸騰したお湯に木綿糸を入れて、煮詰めていきます。
糸を染料で染める際には白糸の風合いを守るため、40度程度の染液に浸けながら糸を揉んでいきます。
染料に付けた糸を乾燥させ、小粋と呼ばれる糸巻きに巻いたら、経糸の本数を調整していきます。
糸を専用の装置に通し、高機と呼ばれる機械にかけたら、いよいよ唐桟織を織っていきます。
織りあがった反物は、糊を落とすために湯に通され、平らな石の上で木杭を打ち込むなどして仕上げていきます。
最後にもう一度湯に通し、汚れや余計な艶を落とすと完成です。
唐桟織の特徴
唐桟織の特徴は、細やかな縞模様と絹のように艶やかな質感です。
細やかな縞模様を表現するために使用される木綿糸が細いため、織物表面の質感も滑らかに仕上がります。
唐桟織は樫の木杭を打ち込まれて仕上げを行っていきますが、これは表面に滑らかな艶を与える効果があるとされています。
唐桟織の華やかな縞模様と艶やかな質感は、天保の改革によって絹を着用できなくなってしまった人々のおしゃれ心を掴み、江戸の文化の1つとして発展を遂げました。
平成21年、現代の産地として技術を受け継ぐ千葉県館山市では、唐桟織が無形文化遺産として登録されました。その鮮やかな色柄や艶やかな質感は、現代でも多くの人々に愛されています。
江戸人が愛した唐桟織
江戸時代に多くの人々に愛された唐桟織は、現代でも着物や浴衣、和小物など幅広い製品に使用されています。
江戸時代には大衆着物に使用されることも多かった唐桟織は、作り手の減少に伴い、現代では希少価値の高いものとなっています。
使用していない唐桟織製品があった場合は、一度買取査定に出してみるのも良いでしょう。
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