荻原碌山の彫刻作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

荻原碌山の彫刻作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

荻原碌山(おぎわらろくざん)は、日本に西洋の近代的な塑像の技術を広めたことで知られる日本の彫刻家です。

単にモデルの形を写し取ったものではなく、人間の内なる葛藤・苦悩・情熱といった強い感情の表現は、多くの美術ファンから高く評価されています。

美術品買取市場に出てくるケースは多くありませんが、もし出てくれば高い価値がつくでしょう。

本記事では、荻原碌山作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい荻原碌山の作品の特徴、荻原碌山の彫刻作品を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。

※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

荻原碌山とは

荻原碌山(1879-1910)は、明治時代に活躍した日本の彫刻家です。

本名は荻原守衛(もりえ)です。

荻原碌山は1879年、現在の長野県安曇野市で生まれます。

1899年に上京すると、はじめは洋画家を目指して小山正太郎(こやましょうたろう 1857-1916年)に学びました。

1901年にはアメリカのニューヨークへ渡り、さらにパリに渡って絵画を学びますが、パリで見たオーギュスト・ロダン(1840-1917)の作品に深く感動したことから彫刻に転向します。

その後は再びニューヨークへ戻って解剖学や石膏像の写生などを学び、彫刻の基礎を築くと、1906年には再びパリへ渡ります。

そしてオーギュスト・ロダンを訪問し、師事しました。

号を「碌山」としたのもこの時期です。

1908年に帰国すると、帰国後第1作である「文覚」が第2回文展で入賞を果たし、彫刻家としての評価を獲得します。

しかし、1910年の4月に急逝し、30歳という若さでこの世を去りました。

パリで本格的に彫刻家としての活動を始めてから、わずか4年後のことでした。

荻原碌山の作風

荻原碌山はわずか4年という彫刻家としてのキャリアのなかで、15点の彫刻作品を制作しました。

その多くが人物像なのですが、荻原碌山の作品は単に人物の形を写し取ったものではなく、人間の内なる感情と生命力を爆発的に表現しているのが特徴です。

その作風は荻原碌山の師になぞらえて、「東洋のロダン」とも称されます。

荻原碌山の彫刻は、従来の日本の彫刻の主流であった静けさや装飾性を持つ木彫りなどの彫刻作品とは一線を画し、人間の魂の葛藤・苦悩・情熱といった強い感情を粘土などで表現した塑像です。

作品の表面には、作者の手による粘土の捏ね跡や、粗いタッチがそのまま残されており、これが彫刻に強い生命感と瞬間的な動きを与えています。

彫刻家自身の個性や内的な体験を作品に直結させるという手法は、近代芸術の基本的な姿勢を日本の彫刻界に強く打ち立て、高村光太郎(たかむらこうたろう、1883-1956)をはじめとする後進の彫刻家たちに決定的な影響を与えました。

また、粘土の像をもとに石膏やブロンズに鋳造するという西洋の塑像の技法を日本に本格的に導入したという点でも、荻原碌山の影響は非常に大きいと言えます。

荻原碌山の作風を支えた人間関係

荻原碌山の彫刻に強く表れている葛藤・苦悩・情熱の源になったのが、地元の先輩で、新宿中村屋の創業者である相馬愛蔵(そうまあいぞう 1870-1954)と、その妻である相馬黒光(そうまこっこう 1876-1955)との関係でした。

相馬夫妻は荻原碌山の才能を高く評価し、留学費用の援助や、帰国後アトリエを建てる際の支援など、荻原碌山にとって多大な協力をしてくれた恩人でした。

その一方で、荻原碌山は相馬黒光に恋しており、「お世話になっている先輩の妻に恋している」という葛藤に苦しみました。

しかしながら、この満たされない恋愛感情が荻原碌山の制作活動のエネルギー源の一つとなり、作品に深い情熱と悲劇性を与えたとも言えます。

たとえば、荻原碌山の絶作である「女」は、相馬黒光の姿を重ねて制作されたと言われています。

荻原碌山の彫刻作品の買取価格は高い?

日本の彫刻界に大きな影響を残した荻原碌山の作品には、多くの美術ファンからの高い人気があります。

美術館への収蔵が多いことなどもあって美術品買取市場での取引例は多くないのですが、一点物でないブロンズ鋳造の像などは買取市場にも出てくる可能性があるでしょう。

荻原碌山は活動期間が短かったこともあって作品数が少なく、買取市場に出てきた場合にはその希少性から高い価値がつくことも考えられます。

荻原碌山作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、ブロンズで鋳造された像です。

荻原碌山の彫刻は多くが没後に鋳造されているため、美術館や著名な鋳造家など信頼できる人物の管理下で作られた公式なブロンズ像であれば、高く評価されやすいでしょう。


荻原碌山だけでなく、彫刻作品の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。

以下の各ページでは、有名作家の作品を中心としたブロンズ像の買取相場や、彫刻作品を高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。

参考までにぜひご参照ください。



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バイセルでの彫刻作品の買取実績は?

バイセルには、ブロンズ像など彫刻作品の買取実績が数多くございます。

以下の各ページでは、ブロンズ像などの彫刻の買取相場や、バイセルでの実際の買取例について記載してございます。

参考までにぜひご覧ください。


荻原碌山の代表作

人間の内なる葛藤・苦悩・情熱といった強い感情を爆発的に表現する荻原碌山の彫刻作品は、多くの美術ファンを魅了しています。

ここでは、荻原碌山の彫刻の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。

「女」(1910)は、荻原碌山の絶作になった傑作です。

石膏原型が国の重要文化財に指定されています。

ブロンズ像が東京国立近代美術館に、石膏複製が長野県の碌山美術館に所蔵されています。

「女」は、ひざまずいた女性の裸像になっています。

しかし、単なる裸婦像ではなく、強烈な内面のドラマを秘めています。

膝をついた女性は、胴体を右にひねり、さらに顔は右上の天に向かって激しくひねられています。

身体全体が螺旋状に上昇するような動きになっており、内側から湧き出る力強いエネルギーと緊張感が感じられます。

また、女性の両手は背中でしっかりと組まれているか、あるいは何かに縛られているかのように表現されています。

これは、現実の制約や苦悩に捕らわれながらも、精神的な自由や美の境地へ昇華しようとする強い意志や、もがき苦しむ魂の状態を示唆していると考えられます。

実際にモデルとなった女性は別にいたとされますが、やはり相馬黒光をこの像に投影したものと考えられています。

完成のわずか1か月後に荻原碌山は急逝しており、文字通り命を削って仕上げた絶作です。

坑夫

「坑夫」(1907)は、荻原碌山が絵画から彫刻へと転向し、オーギュスト・ロダンを師と仰ぐようになった直後に制作された作品です。

荻原碌山の芸術家としての転換点であり、日本彫刻の転換点にもなった重要な作品と言えます。

長野県の碌山美術館に所蔵されています。

モチーフになっているのは力強い労働者の肩から上の肉体です。

重労働に従事する男の強い肉体と精神を描き出しており、単純な写実を超え、厳しい現実の中で生きる人間の生命力と尊厳を表現しています。

粘土を活かした粗い肌合いや豊かな量感はロダンの手法を継承しており、像に内側から迫るような強いエネルギーを与えています。

ロダン彫刻の要素(動勢・量感・面の張り・肉付け)に加えて、内面的なテーマを扱う荻原碌山の作風がすでに表れており、その後の代表作へとつながっていく重要な作品と言えます。

文覚

「文覚」(1908)は、文展で入選を果たし、彫刻家としての荻原碌山の名を高めた重要な作品です。

長野県の碌山美術館に所蔵されています。

モチーフとなっているのは、文覚上人(生没年不明 平安~鎌倉の武士・僧)の出家までの物語です。

武士であった文覚は、人妻である袈裟御前(けさごぜん)に恋をしました。

袈裟御前は夫を殺すよう文覚に言いますが、彼は誤って愛する袈裟御前の首を斬ってしまいます。

文覚はこの事件をきっかけに出家した、という物語です。

この作品では、袈裟御前を殺めた直後の、後悔と絶望に打ちのめされる文覚の激情が表現されています。

苦悩によって大きく見開かれた眼、固く結ばれた口元、そして力強くがっしりとした体躯によって、精神的な力強さと行き場のない内面の叫びを伝えています。

荻原碌山は、愛する女性を誤って殺してしまったという文覚の激しい懊悩と、出家へと至る魂の葛藤に、自らの相馬黒光への秘めた愛と苦悩を重ね合わせていたと考えられます。

北條虎吉像

「北條虎吉像」(1909)は、荻原碌山の肖像彫刻における最高傑作の1つとして高い評価を受ける作品です。

石膏原型が国の重要文化財に指定されています。

銅像が東京国立博物館に、石膏原型が長野県の碌山美術館に所蔵されています。

モデルとなった人物は、荻原碌山の兄の友人で、実業家・教育者だった北條虎吉です。

ロダンに学んだ表現を肖像彫刻にも応用し、人間の内面を描き出すという荻原碌山の作風が最大限に発揮されています。

粘土のタッチや粗い表面の処理は、肖像に生き生きとした質感と強い存在感を与えています。

また、視線や顔のわずかな緊張感から、モデルが持つ深い思索を感じさせます。

デスペア

「デスペア」(1909)は、「絶望」という人間の普遍的な感情をテーマに、激しい苦悩の瞬間を捉えた傑作です。

長野県の碌山美術館に所蔵されています。

「デスペア」は、人物が地面に伏し、顔を両腕にうずめているポーズが特徴的です。

外部の視線から自らを遮断し、内側の深い悲しみと絶望に沈み込んでいる様子を表していると考えられます。

形よりも感情を優先するモデリングによって、体全体が苦悩で打ちひしがれている様子が力強く表現されています。

この作品でも、荻原碌山が深く愛した相馬黒光への叶わぬ思いと、それに伴う苦悩と共感が制作の大きな動機となっていると考えられます。

制作時期は、相馬黒光が夫・相馬愛蔵の女性問題に苦しみ、絶望感に苛まれていた時期と重なります。

碌山は黒光の悲しみに深く同情し、その出口のない絶望的な感情を作品に託したと解釈されています。

荻原碌山がよく口にしていた言葉に「Struggle is Beauty.(悶えは美なり)」というものがあります。

「デスペア」は、まさに人間の悶えの中から美を見出そうとする碌山の芸術観を体現したものと言えるでしょう。


ここに紹介したもののほかにも、荻原碌山には「母と病める子」「女の胴」「労働者」などの有名作品があります。

また、ここに名前のない作品であっても、荻原碌山の彫刻作品であれば保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。

お持ちの荻原碌山作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。

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荻原碌山の彫刻作品を高価買取してもらうためのポイント

人間の内なる葛藤・苦悩・情熱といった強い感情を爆発的に表現する荻原碌山の彫刻作品には、多くの美術ファンからの高い人気があります。

では、そんな荻原碌山の彫刻作品を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。

荻原碌山を含む彫刻作品の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

  1. 綺麗な状態で保存しておく
  2. 鑑定書などの付属品を揃えておく
  3. 入手経路などの来歴を明確にしておく

綺麗な状態で保存しておく

荻原碌山を含む彫刻作品の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。

反対に、欠損がある・錆が見られるなどなど保存状態が良くないと、その分だけ買取価格は下がってしまうでしょう。

彫刻の傷や欠損を防ぐために、保管時には箱に入れるなどして保護してあげましょう。

また、ブロンズ像・銅像などの錆を防ぐためには、水分がついた場合にはすぐに拭き取るなどの対策をすると良いでしょう。

鑑定書などの付属品を揃えておく

荻原碌山のような有名作家の彫刻作品をより高く売るためには、鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。

荻原碌山以外の彫刻作家の場合では、作品に刻まれている作者のサインも重要なポイントになるのですが、夭逝した荻原碌山の作品は多くが作者の死後に鋳造されたものであるため、作者本人のサインが入っていないことが多いです。

そのため、鋳造所の刻印やシリアルナンバーが、サインに代わって信頼性の証になります。

鑑定書も同様で、付いていることで作品の価値を証明でき、買取市場における信頼性が増します。

これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があるでしょう。

鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。

入手経路などの来歴を明確にしておく

荻原碌山などの美術品の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。

例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に大きな展覧会に出品された」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。

そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。

入手した経路や時期、出品された展覧会のリストや写真といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。

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バイセルは日本全国で骨董品・美術品などの買取サービスをご提供し、たくさんのお客様・リピーター様からご指名をいただいてまいりました。

バイセルの査定士は、高い専門知識と豊富な査定経験を生かして、荻原碌山をはじめとした彫刻1点1点の価値をしっかりと見極め、正確に鑑定します。

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