伊藤小坡の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

伊藤小坡の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

伊藤小坡(いとうしょうは)は、描かれる人物の内面から滲み出るような静かな存在感が感じられる人物画で有名な日本画家です。

表情や手の仕草などの繊細な描写による、登場人物の心理や個性などの表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。

本記事では、伊藤小坡作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい伊藤小坡作品の特徴、伊藤小坡の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。

※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

伊藤小坡とは

伊藤小坡(1877-1968)は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家です。

特に、風俗画や美人画などの人物画を得意としました。

伊藤小坡は1877年、三重県伊勢市の猿田彦神社の宮司の娘として生まれました。

女子の進学率が低かった明治時代にあって、古典文学や茶の湯を習うなどの本格的な教育を受けて育ったといいます。

そんな中で1895年には、郷土の画家である磯部百麟(いそべひゃくりん 1836-1906)に師事し、歴史人物画を描くようになりました。

1898年には画家になることを決意し、京都へ移ります。

京都では森川曽文(もりかわそぶん 1847-1902)や谷口香嶠(たにぐちこうきょう 1864-1915)に師事し、谷口香嶠からは「小坡」の雅号を授かりました。

1915年に第9回文展で初入選を果たすと一躍脚光を浴び、上村松園に次ぐ女流画家として知られるようになります。

その後も官展を中心に活躍し、晩年まで精力的に制作を続けました。

伊藤小坡が残した作品や関連資料は、出身地である三重県伊勢市の伊藤小坡美術館など、いくつもの美術館で収蔵・展示されています。

伊藤小坡の作風

伊藤小坡は、一貫して人物画を追求し続けたことで知られています。

描く人物のモチーフは、時期によって変遷があります。

伊藤小坡の画業の初期(明治時代後期)には、主に日本の古典や歴史上の人物を題材とした重厚な歴史画に取り組みました。

登場人物をクローズアップし、表情や手の仕草などから人物の心理や場面の状況を巧みに表現したのがこの時期の特徴です。

中期(大正時代)には、身近な風俗画や等身大の女性像を題材にしました。

自身の結婚・出産といった経験も反映された、身近な女性の日常的な情景における情愛あふれる等身大の女性像を温かく描きました。

後期(昭和時代)には、再び歴史・古典を題材とした、格調高い「歴史美人画」が中心となります。

源氏物語絵巻などを深く研究し、古典的な表現も取り入れながら、シャープな線描と独特な色彩感覚で、凛とした品格を漂わせる女性像を描き出しています。

このように時代を通じて作風も変化しましたが、登場人物の表情や手の仕草など、繊細な描写を通じて人物の心理を深く巧みに表現している点は、伊藤小坡の画業全体を通しての特徴と言えます。

また、作者自身の登場人物への温かいまなざしと情愛が、すべての作品に一貫して流れています。

そして、描かれる女性の内面から滲み出るような静かな存在感が、伊藤小坡作品の大きな魅力と言えるでしょう。

伊藤小坡の作品の種類

伊藤小坡の作品には、通常の紙本・絹本の日本画作品のほかに、掛け軸・版画・水彩などの作品もあります。

掛け軸作品は小型で扱いやすく、版画作品は比較的希少性が低いことから、掛け軸作品や版画作品は美術品買取市場でも多く取引されています。

伊藤小坡作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは

独特の温かみがある人物画で高く評価されている伊藤小坡の作品は、美術品買取市場でも高い人気があります。

美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くありますが、掛け軸作品や版画作品などを中心に買取市場での取引例も見られます。

伊藤小坡作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、やはり得意とした女性像です。

特に、昭和期に描かれた作者の円熟期の作品は買取市場でも人気が高く、高い価値がつく可能性があります。


伊藤小坡だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。

以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした日本画・掛け軸の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。

参考までにぜひご参照ください。



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バイセルでの日本画の買取実績は?

バイセルには、日本画をはじめとした絵画の買取実績が数多くございます。

以下の各ページでは、日本画をはじめとした絵画のバイセルでの実際の買取例について記載してございます。

参考までにぜひご覧ください。


伊藤小坡の代表作

繊細な描写を通じて人物の心理を深く巧みに表現する伊藤小坡の人物画は、多くの美術ファンを魅了しています。

ここでは、伊藤小坡の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。

ふたば

「ふたば」(1918)は、伊藤小坡の代表作の1つで、大正時代における伊藤小坡の画風を象徴する重要な作品です。

三重県立美術館に所蔵されています。

描かれているのは、母と子が庭先の一隅で朝顔の苗を植え替えている様子です。

日常のごく庶民的な情景の中に流れる母と子の愛情、そして生命の成長への願いが描かれています。

描かれている母親は伊藤小坡自身が、母親に朝顔の苗を見せながら話しかけている女の子は伊藤小坡の三女がモデルになっているとされています。

髪の生え際や顔の輪郭の墨色をぼかすなどの技法が特徴的で、人物の表情が優しく穏やかに描き出され、作品全体が清澄な雰囲気に満ちています。

製作の前

「製作の前」(1915)は、第9回文展で初入選を果たした、伊藤小坡の出世作と言える作品です。

残念ながら、文展出品時の本画は現存しないとされていますが、同じ構図の下絵などが残されています。

描かれているのは、筆や絵の具などの画材を前にして、あるいは手帖を広げて、これから描く作品の構想を練っている女性の姿です。

女性が持つ手帖には、櫛やかんざし、蝶といったモチーフの写生が描かれています。

この女性のモデルは、夫との結婚・出産を経て創作活動を再開した伊藤小坡自身だとされています。

伊藤小坡の大正期の画風である「妻や母としての体験に基づいた温かみのある日常風俗画」を確立した重要な作品であり、「描くことへの誠実さ」や「創作に臨む女性の内面」を表現した、作者自身の決意表明ともいえる作品です。

秋好中宮図(あきこのむちゅうぐうず)

「秋好中宮図」(1929)は、昭和期の伊藤小坡が確立した「格調高い歴史美人画」における代表作の1つです。

三重県の伊藤小坡美術館に所蔵されています。

描かれているのは、「源氏物語」の登場人物である秋好中宮が、十二単衣をまとって座る雅びやかな姿です。

画面全体に色づいた紅葉の葉が散っており、秋の美しさが前面に表現されています。

また、中宮の周囲には女郎花(おみなえし)、菊、桔梗などの秋草が配され、秋の情趣を漂わせています。

画面全体に金箔が貼られていてきらびやかではあるのですが、その上に墨と日本顔料を重ねることで、重厚で深みのある品格も感じられます。

伊藤小坡の昭和期の画風である「格調高い歴史美人画」を確立した、重要な作品であると言えるでしょう。

伊賀のつぼね

「伊賀のつぼね」(1930)は、伊藤小坡の昭和期の画風である「格調高い歴史美人画」の1つの完成形とも言える傑作です。

三重県の伊藤小坡美術館に所蔵されています。

「伊賀のつぼね」は、後醍醐天皇(1288-1339)の寵妃であった阿野廉子(あののれんし 1301-1359)に仕えた、伊賀局(生年不明-1384)の豪胆な逸話を題材としています。

その逸話というのが、「阿野廉子の御所に出るという亡霊を裏庭で歌を歌いながら待ち、実際に鬼の姿をした霊が現れると伊賀局はそれを一喝、阿野廉子のために命を落とした藤原基任の霊であることを突き止めて供養のきっかけを作った」というものです。

伊藤小坡の「伊賀のつぼね」では、この逸話の肝であるところの亡霊をあえて描かず、伊賀局の気丈な姿を強調しているのが大きな独自性です。

ただし、画面に描かれた庭は一見美しいものの、笹や薄がざわめき、局の髪がぬらりと揺らめくなど、ただならぬ妖気が感じられます。

女性の強さと内面の複雑さを背景の雰囲気や人物の表情から読み取らせる、奥行きのある表現が特徴と言えるでしょう。

まだまだある伊藤小坡の有名作品

これまでに挙げたもののほかにも、伊藤小坡にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。

烈女形名の妻春宵晩秋化粧平家太宰府落図
つゞきもの虫売り観菊立雛秋草と宮仕へせる女達
山内一豊の妻初春梅かほる紅葉狩青葉の頃
初なつの婦人幻想   

ここに名前を挙げた伊藤小坡作品は、どれも価値の高いものばかりです。

また、ここに名前のない作品であっても、伊藤小坡の絵画作品であれば保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。

お持ちの伊藤小坡作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。

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伊藤小坡の絵画を高価買取してもらうためのポイント

描かれた人物の内面から滲み出るような静かな存在感が大きな魅力となっている伊藤小坡の人物画は、美術品買取市場でも高く評価されています。

では、伊藤小坡の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。

伊藤小坡作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

  1. 綺麗な状態で保存しておく
  2. 鑑定書などの付属品を揃えておく
  3. 入手経路などの来歴を明確にしておく

綺麗な状態で保存しておく

伊藤小坡を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。

反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。

伊藤小坡のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。

作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。

鑑定書などの付属品を揃えておく

伊藤小坡のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。

伊藤小坡作品の場合、作品の右下や左下などに、「小坡」のサインと朱色の印章が押されているものが多いです。

これらのサインや印章は作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。

鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。

これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。

鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。

入手経路などの来歴を明確にしておく

伊藤小坡をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。

例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。

そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。

入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。

伊藤小坡作品を売るなら買取実績豊富なバイセルへ

伊藤小坡の絵画の買取をお考えなら、骨董品買取のバイセルにお任せください。

バイセルは日本全国で骨董品・美術品などの買取サービスをご提供し、たくさんのお客様・リピーター様からご指名をいただいてまいりました。

バイセルの査定士は、高い専門知識と豊富な査定経験を生かして、伊藤小坡作品をはじめとした絵画1点1点の価値をしっかりと見極め、正確に鑑定します。

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