靉光作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

靉光(あいみつ)は、シュールレアリズムの影響を受けた前衛的で特異な画風で有名な日本の洋画家です。
見る者の想像力をかき立て、不思議な世界へと誘い込むような表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、靉光作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい靉光作品の特徴、靉光の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
靉光とは
靉光(1907-1946)は、昭和前期に活躍した日本の洋画家です。
本名は石村日郎(いしむらにちろう)といいますが、画業を始めた17歳の頃から靉川光郎(あいかわみつろう)と名乗り、それを略した靉光の名で知られています。
現在の広島県北広島町京に生まれた靉光は、17歳の頃に大阪に出て天彩画塾で学び、画家を志しました。
18歳で上京すると太平洋画会研究所で学び、19歳の時には二科展で初入選を果たしています。
23歳ごろからはフランス近代絵画の影響もあり、シュールレアリズム風、宋元画風など画風がめまぐるしく変化していきます。
その中で、靉光ならではの前衛的で特異な画風にたどり着き、二科展、中央美術展、独立美術展などで多くの賞を得る作家となりました。
日中戦争が始まり、戦争画を描く事を当局から迫られると、靉光は「わしにゃあ、戦争画は描けん。どがあしたら、ええんかい」と悩んだといいます。
戦争を忌避しながら自画像などを描き続けていた靉光ですが、ついに1944年には戦地に送られてしまいます。
そして中国・上海の地で終戦を迎えますが、そこでマラリアとアメーバ赤痢によって38歳という短い生涯を終えることになってしまいました。
また、残念なことに、出征するにあたって故郷・広島に残してきた作品も、原子爆弾によって多くが消失していまっています。
靉光の作風
靉光が得意としたのは、西洋画の中でも油絵です。
画風としては、シュールレアリズムの影響を受けた象徴的な表現が特徴と言えるでしょう。
例えば、代表作の1つである「眼のある風景」は、一見すると風景画のように見えるものの、よく見ると中央に描かれているのは得体のしれない塊であり、その塊にはこちらを鋭く見つめる「眼」がついていることが分かります。
そこには不気味さと同時に、存在の根源を問いかけるような鋭さが感じられます。
色彩の上では、油絵具を幾層にも塗り重ねた厚いマチエール(絵肌)による暗く重厚な色彩が特徴と言えます。
靉光作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
前衛的で特異な画風から熱狂的なファンも多い靉光には、美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くあります。
買取市場でも作品に出会うことはありますが、現存する作品の少なさから希少価値が高く、高価買取されやすい作家であると言えます。
なかでも戦時中、特に1940年代前半に描かれた作品には高く評価されやすい傾向があります。
靉光の画業として最も成熟した時期のものであり、当時の情勢から社会の閉塞感や個人の内面的な葛藤を強く反映した作品が多く、美術史的な重要性も高いためです。
靉光だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など西洋画の買取相場や高く売るためのポイントなど、西洋画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
バイセルでの絵画の買取実績は?
バイセルには、西洋画をはじめとした絵画の買取実績が数多くございます。
以下の各ページでは、西洋画をはじめとした絵画の買取相場や、バイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
靉光の代表作
靉光独自の前衛的で特異な画風で描かれる絵画は多くの美術ファンを魅了し、高い支持を集めています。
ここでは、靉光の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
眼のある風景
「眼のある風景」(1938)は、独立美術協会賞を受賞した靉光の代表作の1つです。
東京国立近代美術館に所蔵されています。
「風景」と題され、実際に一目見たときには風景画のようにも見えるのですが、作品の中央には植物とも動物とも岩などの無機物ともつかない不定形な塊があります。
そしてその塊には、こちらを鋭く見つめる「眼」がついています。
この不気味な「眼」は、人間の内面や存在そのもの、あるいは監視する社会の目などを象徴しているのではないかと解釈されています。
「眼のある風景」は単なる風景画ではなく、見る者の想像力をかき立て、人間に内在する不安や社会の不条理を問いかける、深く哲学的な作品として高く評価されています。
自画像
靉光は生涯にわたり複数の自画像を描きました。
特に有名なのは1944年に制作されたもので、タイトルもそのまま「自画像」です。
東京国立近代美術館に所蔵されています。
描かれている靉光の顔は、鋭い眼差しで見る者を見つめ、口元は固く閉じられています。
画面は全体として暗く重い色彩で覆われており、靉光の顔にも強い意志と同時に、深い内省や苦悩が感じられます。
この「自画像」では画家としての内面的な葛藤と向き合った靉光自身の姿が捉えられており、戦時下という極限状況の中での芸術家の精神的な肖像画として重要な作品とされています。
花園
「花園」(1940)は、靉光の独特な世界観が凝縮された、1つの到達点とも言える重要な作品です。
岐阜県美術館に所蔵されています。
茶褐色で統一された画面には、繁茂する植物のようなイメージが、絵の具の塗りと削りを繰り返すことによって描かれています。
半透明の油絵具が重層的に塗られることで、むせかえるような生命力をもって植物が闇の中からうごめき浮かび上がるような印象を与えます。
その中で、混沌とした全体とは対照的に、画面右側には一羽の蝶が、極めて写実的に白く浮かび上がっているのが印象的です。
生と死、幻想と写実などの対立する要素が、花園というには余りに暗い植物の茂みと、唯一明るい色彩を持った蝶との間で絶えず交錯し、反転するような不思議な世界へと見る者を誘い込みます。
まだまだある靉光の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、靉光にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
編み物をする女 | 帽子をかぶる自画像 | 景色 | 曠野社 |
梢のある自画像 | 白衣の自画像 | 白壁 | 女 |
静物(ランプのある) | 花(やまあららぎ) | シシ | 馬 |
不安の肖像 | 蝶 |
ここに名前を挙げた靉光作品は、どれも価値の高いものばかりです。
また、ここに名前のない作品であっても、靉光の絵画であれば保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
お持ちの靉光作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ靉光の絵画を高価買取してもらうためのポイント
特異な画風から熱狂的なファンが多く、作品の現存数から希少価値もある靉光の絵画は、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、靉光の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
靉光作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
靉光を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
靉光のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
靉光のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
靉光作品の場合、画面右下、あるいはキャンバスの裏側などに「靉光」とサインが入っていることが多いです。
初期の作品では、「靉川光郎」のサインが入ったものもあります。
これらのサインと、鑑定書などの付属品は、買取の場面でも作品の価値を証明するのに役立つでしょう。
買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められ、より高い価格での売却にもつながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて買取前に揃えておきましょう。
なお、靉光作品について信頼度の高い鑑定機関としては、「日本洋画商協同組合鑑定登録委員会」や「東美鑑定評価機構鑑定委員会」があります。
入手経路などの来歴を明確にしておく
靉光をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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