菱屋善兵衛の帯の特徴と買取相場とは

2024.02.05

着物買取 コラム
菱屋善兵衛の帯の特徴と買取相場とは
菱屋善兵衛の帯を持っています。いくらになりますか?
保存状態や何代目の帯かによって買取価格が変わりますので一度拝見いたします。お電話・メールよりお問合せ下さい。
祖母から菱屋善兵衛の帯を譲り受けました。価値ってありますか?

菱屋善兵衛(ひしやぜんべえ)は、帯だけでなく、帯地を作る技術を用いてバッグやベルトを製作したことで、さまざまな世代の人に知られた老舗織物の会社です。

菱屋善兵衛の帯は人気のある西陣織であるため、高い値段で買い取ってもらえる傾向がありますが、扱い方次第では買取価格が低くなってしまう可能性も。

菱屋善兵衛の帯の買取をご検討されているとのことでしたら、菱屋善兵衛の歴史と帯の特徴、高い値段で買い取ってもらうためのコツをしっかりと押さえましょう。

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※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

菱屋善兵衛とは

菱屋善兵衛とは

菱屋善兵衛は分化元年(1804年)に創業した、200年以上の歴史をもつ京都・西陣織の老舗ブランドです。

菱屋善兵衛は、着物や帯の制作だけではなく、西陣織の帯地を使った和柄をベルトやバッグや雑貨などに用いたりして、様々な世代や国外からも人気を得ています。

なぜ菱屋善兵衛が様々な世代から人気を得るようになったのか、まずは菱屋善兵衛の誕生からこれまでの取り組みについてお伝えします。

菱屋善兵衛200年の歴史

初代は、尾張から京都に生活拠点を移した久我中納言(こがちゅうなごん)の供頭を務めた木野善八とされています。

菱屋善兵衛が創業されたのは、2代目の木野善兵衛からです。

善兵衛は江戸後期に、『丸屋』と西陣織の機業を二分していた『菱屋』に入り、西陣織の基礎技術を学んだのち独立、菱屋善兵衛と名乗り、分化元年(1804年)に今の京都市上京区に本社を創業します。

菱屋善兵衛の跡取りを務めたのは、2代目も3代目も次男でした。

次男が菱屋善兵衛を継承した理由は、善兵衛が西陣織を学んだ主屋の『菱屋』の跡取りがおらず、代わりとして木野家(善兵衛の家系)の長男が『菱屋』を継いでいたためです。

そのため、長男がいなくなった木野家は、次男に菱屋善兵衛を継がせました。

菱屋善兵衛が大切にしている、時代に合わせた商品作成

菱屋善兵衛が創業から200年以上続いている理由に、創業当時から帯地以外にも事業を展開していたことが挙げられます。

例えば、創業当時は力士が特別な行事の際に身に着ける、化粧まわしなども制作していました。

また、跡継ぎによっても事業展開の方向を大きく変えています。

明治19年(1886年)に家業を継いだ4代目は帯地の制作に注力し、当時では新しい機織りのジャカード織機を導入し、様々な種類の丸帯を織りました。

順調に独自の西陣織を世に出していた菱屋善兵衛でしたが、大正9年(1920年)の戦後恐慌のあおりを受けて、厳しい経済状況を経験することとなります。

そして、第二次世界大戦後の昭和28年(1948年)に、跡継ぎとなった6代目の考え方が今の菱屋善兵衛を支える根幹となっています。

それは、「自己の力に応じた、背伸びをしない経営」を念頭に置き「質の良い商品を安く提供する」という考えです。

現在も、6代目の堅実経営の考えは受け継がれながらも、菱屋善兵衛が培ってきた技術を土台に、現代に求められるデザインや、帯以外のファッションアイテムを制作しています。

菱屋善兵衛が掲げるコンセプト『守・破・離』の考えとは

菱屋善兵衛が掲げるコンセプト『守・破・離』の考えとは

『守・破・離(しゅ・は・り)』とは、日本の茶道や武道、芸術などにおける師弟関係のあり方です。

『守』と『破』と『離』で、3段階のプロセスを表しており、日本の芸事の文化が、独自性をもって発展と進化を続けてきた土台となった思想です。

『守・破・離』の由来は、千利休の訓がまとめられた『利休道歌』の1つの、「規矩作法(きくさほう)守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」を引用したものであるとされています。

※規矩作法:基本的な作法という意味。

師弟関係のあり方ですから、弟子は師匠に言われた、型を忠実に学ぶことをルールとして守りながら技を磨いていき、これが『守』にあたります。

師匠の型を学び、自身で応用するためのベースとなる知識や技術を習得することを大切にする考え方です。

師匠の型を学んだ後は、師匠の型を自身に合った、より良い型にするために研究する『破』の段階で、既存の型を破り、自身が作った新しい型へと昇華していきます。

自身の新しい型ができ、個人として独立できるようになった弟子は、独自の技に磨きをかけるために師匠の元から離れていくので、これを『離』と呼びます

菱屋善兵衛はこの『守・破・離』の考えを代々繰り返して、今では和物以外の製品にも和風のデザインを持ち込み、独自性のある商品の制作をしています。

菱屋善兵衛が復活させた明治時代の帯

菱屋善兵衛が復活させた明治時代の帯

菱屋善兵衛の帯は、現代にも受け入れられるデザインをシリーズ別に展開しています。

さまざまなシリーズの中には、『守・破・離』の考えを大切にしていることを象徴している商品があります。

それは、高い人気を誇る『蔵』というシリーズの帯です。

『蔵』シリーズは明治・大正時代に製造していた生地や図案を参考に、現代に復刻させた帯です。

『蔵』は、職人が創業200年の記念となる帯の制作の参考を探そうと、菱屋善兵衛が所蔵する蔵を整理していたところ、明治・大正時代の記事や図案が多く発見されたことがきっかけで作られました。

発見された当時の生地は、糸の込み具合や織り込みの細かさなど、現代の技術では復刻することが難しいものが多くありました。

しかし、「先代から残された貴重な生地を現代に復活させたい」という思いから、研究が始まります。

研究には、図案や配色、素材など生地のすべてにおいて吟味が重ねられ、3年の歳月をかけて、明治時代の技術を現代に復刻させることに成功しました。

先代から受け継がれた生地や図案を参考に、『蔵』という新しい形で現代に復活させたことは、菱屋善兵衛の『守・破・離』の精神が伺える出来事です。

菱屋善兵衛の帯

研究を重ねて、現代に蘇った明治・大正時代の菱屋善兵衛の帯は、現代のニーズに合ったデザインを盛り込み、『蔵』シリーズという新しい帯として菱屋善兵衛を代表する作品になりました。

菱屋善兵衛は他にも、古くから伝わる図案集をもとに、おしゃれ着として制作された『俄(にわか)』シリーズがあります。

『俄』シリーズでは、経糸、緯糸の両方に紬糸(つむぎいと)を使い、引き箔には焼き箔を使用していることが特徴も帯です。

菱屋善兵衛の帯の買取相場とは

菱屋善兵衛の帯の買取相場とは

菱屋善兵衛の帯は、近年の着物買取市場の傾向では7,000円前後で買取される傾向にあります。

ジャカード織機で制作していることもあり、1から手作業で制作されている帯に比べると安価な買取価格になりやすいです。

しかし、これは過去の買取相場の傾向を元にした目安ですので、実際 に査定すると状態によってはより高額で買い取られる場合もあります。

無論、着用したことによる締め跡が残っていたり、仕立てが古かったりすると買取価格は低くなる可能性があることに注意しましょう。

実際の買取価格は現物を査定しないと算出しづらいので、まずは信頼できる着物買取業者に任せて買取価格を出してもらいましょう。

菱屋善兵衛作品を高く売るコツ

菱屋善兵衛を高く売るコツ

菱屋善兵衛の制作している西陣織の帯は京都の伝統工芸品であり、高い人気を誇るため比較的高い価格で買い取りしてもらえます。

しかし、人気のある西陣織の帯であっても、保存方法などの扱い方を注意しないと買取価格を落とす原因となってしまいます。

菱屋善兵衛の帯の買取をご検討されているとのことでしたら、菱屋善兵衛の買取価格を下げない方法を押さえておきましょう。

菱屋善兵衛の帯

帯を巻く腰回りは、和服を着用したときに最も汗をかく場所ですので、汗が原因でシミや汚れが生じやすい傾向にあります。

着用した際は、布地を傷めない帯のクリーニングや、陰干しをして、収納する前に帯をきれいな状態に保つことを意識しましょう。

なお、帯の素材によってはクリーニングが難しいものも多くあるので、クリーニングの可否を含めた保存方法については、購入したお店からアドバイスを聞くことが大切です。

無理な補修はしない

買取を検討している帯にシミや汚れなどが生じていたとしても、無理な補修はせずにそのままの状態で買取を依頼しましょう。

無理にしみ抜きなどの補修を行うと、素材の色合いが損なわれたり、帯にキズをつけてしまう可能性があるためです。

不要なら早めに買取依頼をする

帯はデリケートな素材でできているので、たとえ箪笥(タンス)の奥に大切にしまっていたとしても、湿気などが原因でシミやカビが生じます。

また、防虫対策をしていないと、気づかないうちに虫に帯を食われてしまうかもしれません。

帯を大切にしまっているつもりでも、様々な要因で価値を下げる可能性があるので、今後着用する予定のない帯は、なるべく早く買取依頼をすることが高い値段で売るためのコツです。

菱屋善兵衛の帯の特徴と買取相場とは:まとめ

菱屋善兵衛の帯の特徴と、買取価格について:まとめ

菱屋善兵衛の帯について、200年以上の歴史を誇る歴史を中心にご紹介いたしました。

代々引き継がれる伝統的な技術を大切にしながらも、時代に合った作品を作り続ける菱屋善兵衛は、帯だけではなくバッグやベルトなどの別の形で世代や国を超えて愛されています。

もちろん、帯の制作にも余念はありません。

代々大切にしてきた蔵の中から発見された大切な生地や図案をもとに、明治・大正時代の菱屋善兵衛の帯を現代に蘇らせたのは、並々ならぬ情熱がなせる業です。

またもしご自宅に着用しない菱屋善兵衛の帯があるなら、価値の再認識も含め一度買取査定に出してみてはいかがでしょうか。

思わぬ高値がつくかもしれません。