棗(なつめ)の種類とは?茶道具の使い方も解説

棗(なつめ)の種類とは?茶道具の使い方も解説

茶道を嗜まれていた経験があると、お教室やご自宅に茶道具を一式揃えられている方も多いのではないでしょうか。

しかし茶道具と言っても、お抹茶をいただく器のお茶碗からお湯を沸かすための茶釜、お茶の温度を調節したり茶道具をすすいだりするときに使う水差しなど、茶器の種類はさまざまです。

その中から、本記事では「棗(なつめ)」という茶道具について詳しくご紹介します。

難しい漢字ですが、この機会にぜひ読み方も覚えてみましょう。

※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

棗(なつめ)とは

茶道具の棗とは、抹茶を入れるために使う茶器のことです。

その名のとおり、円筒形をした実の植物「棗」に形が似ていることから名付けられました。

抹茶には「濃茶」と「薄茶」の2種類があり、棗には「薄茶」を入れてます。

一般的に飲まれている抹茶は薄茶であることが多いので、目にする機会があると思います。

また、棗にもいくつか種類があり、濃茶を入れて使用できるものもあります。

棗の塗り方

棗の塗り方には、複数の技法があります。

ここでは定番の塗り方をいくつかご紹介します。

漆塗り

漆塗りの塗料は、漆の木から採った樹液を乾燥材や油などと混ぜて作ります。

その塗料を器に塗ることを漆塗りといいます。

一般的に棗は木製で無地の黒塗りが定番です。

黒だけで塗られたものは「真塗り」と呼ばれ、漆の下が見えないほど黒く塗られています。

赤い漆で塗られると「朱漆塗り」、白い漆で塗られると「白漆塗り」と呼ばれます。

溜塗り

溜塗りは棗に朱色の下地を塗って、上から半透明の透き漆を塗ったものです。

溜塗りを使用すると朱色が見えるようになってきます。

溜塗りに用いる朱色は、茶色く透き通った朱合漆(しゅあいうるし)を塗り重ねています。

そのため、完成した棗は透け感がある飴色が特徴です。

変塗り

変塗りとは漆に工夫を凝らして塗る技法で、いくつか種類があります。

漆に豆腐を混ぜて、ハケで波の模様を描いた「波塗り」、釉薬の日々を卵白を塗って塗って表現した「貫入塗り」、鉄のサビのような模様を描いた「錆塗り」があります。

一閑張り

一閑張り(いっかん)は、木の枠組みに和紙を張って乾燥させ、枠組みを外して和紙に柿渋を塗る技法です。

名前は江戸時代の漆職人である飛来一閑(ひらいいっかん)から取っており、中国から日本に亡命した際に広まった技法といわれています。

一閑張りのされた棗は水がかかっても変化せず、汚れも目立ちづらいことが特徴です。

蒔絵

蒔絵(まきえ)は、漆工芸の代表的な加飾技法です。

塗り終わった本体に漆で絵や文様を描いて、固まらないうちに金粉などを蒔き、表面に付着させます。

漆を使った技法には沈金(ちんきん)や螺鈿(らでん)などがあり、蒔絵が施されているものが定番です。

拭き漆

拭き漆は、木目に生漆を塗って布で拭き取る作業を繰り返す技法です。

漆を塗り重ねる過程で、余分な漆が出てきたら拭き取るため拭き漆といわれています。

棗の種類

一言に棗と言っても、種類はさまざまです。大きさ、形状、素材に分けて詳しくご紹介します。

大きさ

棗には、大きく分けて3種類の大きさがあります。

「大棗」」「中棗」「小棗」と区別して呼ばれることが一般的です。

大棗と中棗は歴史が古く、サイズが決められています。対して小棗は厳密な決まりはありません。

中棗以下のサイズを小棗と呼び、そのサイズは棗によって異なることがあります。

一般的に、それぞれの棗のサイズは下記のとおりです。

  1. 大棗…二寸六分半(約8cm)
  2. 中棗…二寸二分(約6.5cm)
  3. 小棗…一寸六分半(約5.0cm)

大棗は薄茶専用ですが、中棗は濃茶用としても兼用することができます。

小棗は濃茶を入れて使用することが多い茶器です。

形状

一般的に円筒形をしている棗ですが、細かく見ると形状はさまざまです。

代表的な形状と特徴は下記のとおりです。

利休棗 蓋の甲が少し丸みを帯びている一般的な形状
長棗 小棗を縦長に引き延ばした細長い形状
平棗 大棗の背が低く平べったい形状
丸棗 球体に近い形状
珠光棗 茶桶形で底が丸い形状(切合わせの下が朱塗り)
紹鴎棗 蓋と底が平で太く見える形状
中次 面取りされており丸みを帯びない形状
茶桶 中次の蓋を浅くした形状
吹雪 上下が面取りされている形状

素材

棗に使用される素材は、一般的に木、竹、象牙であることがほとんどです。

稀に、金属や陶磁器を用いることもあります。

表面は漆塗りがされていることが多く、無地のものから、凝った絵巻物で華やかな柄のものまでさまざまです。

黒漆で仕上げた黒塗りは初期の頃の棗に多く見られ、本体に柄がなく無地黒塗のものを「真塗」と呼びます。

時代が進むと、朱色の下地を塗った溜塗、次に、漆で色付けや絵付けを行い金粉や銀粉を施した蒔絵などが登場します。

歴史ある棗は、装飾の特徴から制作された年代を知ることもできるでしょう。

茶道具の棗の使い方

棗の種類が分かったところで、実際にどのように使われるものなのかをご紹介します。

棗は、茶道で一般的に薄茶(うすちゃ)のお点前に使用されます。薄茶とは、抹茶を少量のお湯で溶いたもののことです。

棗と似た道具で、「茶入」があります。

こちらは主に薄茶の2倍の量の抹茶を使用する濃茶(こいちゃ)を入れるときに使用する、焼き物でできた入れ物です。

薄茶は棗、濃茶は茶入を使用することがほとんどですが、中棗・小棗を濃茶用に使用することもあります。

お点前の基本的な作法をご紹介します。

1.棗の蓋は、ひっくり返さずに置く
2.茶杓で棗から抹茶をすくい、茶碗に入れる
3.棗の蓋を閉め、上に茶杓を置く
4.茶釜から柄杓でお湯を注ぎ、抹茶を溶く

棗の価値はどれくらい?

棗にはどのくらいの価値があるのでしょうか。

査定で棗の価値は素材、形状、製作年代、作家、状態などによって異なります。

茶道の歴史は長く、製作年代が古い作品でかつ状態が良いと価値が高くなりやすいでしょう。

査定に出す際には購入時についてきた棗を入れる仕覆(しふく:茶道具を入れる巾着)や箱などの付属品も一緒に出すことをおすすめします。

付属品が全てそろっていると再販価値が上がりやすくなり、査定で評価されやすくなります。

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