【ゾイドワイルド(ZOIDS WILD)】がゾイダーの心をワイルドブラスト!

2024.06.20

コラム
  ガブリゲーター

ゾイド(ZOIDS)はトミー(現タカラトミー)が1980年代以降発売している、電動やゼンマイで可動するプラスチック製組み立て式キットです。

ゾイドが世に出てから、かれこれ30年以上の月日が経過しましたが、今もなお根強いファンが存在する稀代のメカ玩具です。

さらに「ゾイドジェネシス」が2006年に終了してから実に12年ぶりとなる2018年7月、テレビアニメ「ゾイドワイルド」の放送がスタートし、それと同時に新たな商品展開がなされています。

これから新作ゾイド、「ゾイドワイルド」において発売された新キットについてご紹介していきます。

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※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

 

ゾイドワイルドは1/35スケールで新たな世界を開拓

ゾイドワイルド

ゾイドワイルドは2018年よりテレビアニメ、それと同時に商品展開もなされている新型ゾイドです。8種類のゾイドが最初に発売され、ここで特筆すべき点はスケールが1/35ということです。通常のゾイドは1/72スケールであり、過去に1/24の24ゾイドが発売されたこともありますが、1/35スケールは初めての試みです。

各社から発売されているAFVモデル(戦車などのミリタリーモデル)は1/35スケールが一般的ですが、これらの兵士や武器各種と組み合わせれば、かなりリアルな世界が広がることでしょう。

そしてもう1つ今までとの大きな違いは、コックピットが存在せず、馬乗りの状態で機体に搭乗する点です。(プロガノケリス種とブラキオサウルス種はコックピットらしき空間が存在する)

ゾイドワイルドのコンセプトとしては、地中から発掘した骨(ボーン)に外装(アーマー)を取り付けて復元する機械生命体という設定であり、封入されているキットも化石の骨のような形態です。

さらにゾイド各種ごとに「ワイルドブラスト(本能解放)」と呼ばれる独特のギミックが内蔵されており、今までのゾイドと同じように歩行、尻尾を振る、口の開閉など以外に攻撃的な動きがプラスされています。

このようにスケールや搭乗方式などに見られる新たなコンセプトに対して違和感を覚えるゾイダーの方もいらっしゃるでしょうが、今後の新たな種類のゾイドの展開が楽しみです。

ゾイドワイルド

参照元:ゾイドワイルド

古代の巨大カメ、ガノンタス(プロガノケリス種)を徹底解剖!

ゾイドワイルド
ゾイドワイルド

ガノンタスは2018年に新たに展開されたゾイドワイルドの中で、中生代三畳紀後期(約2億1,000万年前)に生息していたカメであるプロガノケリス種をモチーフとした機体です。

ガノンタスの全長は5.9メートルですが、実際に存在したプロガノケリスの全長は1メートルほどです。過去に発売されたカノントータスの全長は9.9メートルであり、ガノンタスはカノントータスに比べるとかなり小さい機体です。

キットとしては、カノントータスのスケールは1/72ですが、ガノンタスのスケールは1/35スケールの中型ゾイドであるためかなりのボリュームです。

ゾイドワイルド M1Abrams

ガノンタスやカノントータスは、現用兵器ですとM1エイブラムスに代表されるような戦車です。重心の低いフォルムや頑強な甲羅はまさに装甲の厚い戦車ですね。ガノンタスはコックピットハッチ(換気弁)や砲塔があり、カノントータスは砲塔はもちろん兵員を輸送するスペースもありますし、HMMカノントータスに至っては砲塔が回転するようになっています。

ガノンタスのパッケージ 開封すると

ゾイドワイルドのコンセプトは、地中から発掘した骨(ボーン)に外装(アーマー)を取り付けて復元の書(組み立て説明書)を使用し復元される機械生命体です。キットは以前のゾイドのようにランナーについているわけではなく、すでに各パーツごとにばらばらになっています。

電動モーター

今回の売りの一つである動力ユニットは、以前のゾイドの動力ユニットよりもかなり小型化されています。単4型乾電池1本使用です。

デカール

デカールは通常のデカールです。昔のゾイドのように様々なナンバーやロゴは付属していません。アニメではフリーダム団に所属し、ライダー(パイロット)はオニギリという人物です。デカールにもフリーダム団のマークとオニギリの文字があります。

ガノンタスのボーン

ボーン(骨組み)のみだと、まさに恐竜の化石のような雰囲気になります。ボーンの状態でも通常通りに動かすことができます。頭部と尻尾を上下に動かしながら歩行します。ゴムキャップは半透明なタイプです。前脚と後脚をつなぐパーツにはアクチュエータ(動力シリンダー)があります。

ガノンタスのボーン(後部) ガノンタスのボーン(上から) ガノンタスのボーン(頭部)

まさに頭蓋骨のような雰囲気の頭部は、口を手動で開閉させることができ、前方に大きめの歯が4本、奥歯には6本歯があります。目は光沢のあるブルーで独特の形状をしています。

ガノンタスの頭部 尻尾

尻尾の上部には、防御用のバンパーのようなものがありますが、これが動力スイッチになります。説明書には起動骨と記述されています。尻尾もしっかりと化石のような形状をしています。

ワイルドブラスト(本能解放)

ワイルドブラスト(本能解放)状態になると、ガノンキャノンという巨大な主砲が出現し、亀光砲発射形態になります。甲羅の前部を手動で前方にスライドさせ、甲羅の後部を同じく前方にスライドさせます。側面も前方に開きます。スイッチを入れて動かすと主砲を激しく伸縮させながら歩きます。

ワイルドブラスト(本能解放) 前方から パイロットとハッチから見たコックピット

ライダー(パイロット)は未塗装で透明です。前かがみの状態で甲羅内部にセットします。甲羅全体を開けることもできますが、上部ハッチ(換気弁)のみを開けることもできます。まさに戦車のようですね。

ガノンタスのコックピット ガノンタスと1/35の兵士

ガノンタスは1/35スケールなので、各メーカーから発売されている1/35のAFVモデル(戦車などのミリタリーモデル)とぴったりです。写真は童友社の塗装済み1/35の兵士です。

童友社の兵士 上から 後方から 裏面 側面

ワイルドブラスト(本能解放)形態の際、側面を前方に開けますが、側面装甲の裏面には2段のステップ(階段)があります。ライダー(パイロット)が搭乗する際に使用すると思われます。

コックピットハッチ

先にも述べたように、ガノンタスは1/35スケールなので、各メーカーから発売されている1/35の兵士を配置しても違和感がありません。写真は戦車兵を上部ハッチに配置してみました。

メルカバ・ガノンタス

同じく1/35スケールの現用戦車・メルカバ(タミヤ製のプラモデル)と比較して見ました。メルカバは戦車の中では大型ですが、こうしてみるとガノンタスはかなりの大型兵器であることが分かります。

メルカバ・ガノンタス 1/35メルカバとガノンタス

古代の巨大ワニ、ガブリゲーター(サルコスクス種)を徹底解剖!

ガブリゲーター Sarcosuchus

ガブリゲーターは2018年に新たに展開されたゾイドワイルドの中で、古代の巨大ワニであるサルコスクス種をモチーフとした機体です。実際に存在したサルコスクスは白亜紀(約1億4500万年前〜6600万年前)の前期にアフリカに生息し、全長は12メートル前後でした。現在知られている中では最大級のワニです。ガブリゲーターの全長も10.2メートルですのでほぼ同じぐらいです。

さらに1980年代に発売された1/72スケールのワニ型ゾイド、バリゲーターの全長は14.5メートルであるため、ガブリゲーターはバリゲーターよりやや小さ目です。しかしキットとしては、ガブリゲーターは1/35スケールであるためかなりのボリュームを感じます。

バリゲーター(再販版) 沼でたたずむバリゲーター AAV-7A1

現用兵器の中で水陸両用車というとAAV-7という装甲兵員輸送車でしょう。地上のみならず、水上を浮上航行する能力を持つ水陸両用装軌車両で、水上での推進力は主にウォータージェット推進を使用しています。水上を浮上航行している姿はまさにワニです。アメリカ合衆国の海兵隊をはじめ、日本の自衛隊等世界各国で採用されています。

ガブリゲーターのパッケージ 開封すると ガブリゲーターのデカール

アニメではデスメタル帝国に所属し、ライダー(パイロット)はキャビアという人物です。デカールにもデスメタル帝国のマークとキャビアの文字があります。

ガブリゲーターのボーン

ガブリゲーターのボーンは、頭部から胴体、尻尾の先までまるで骨格標本のような雰囲気です。ゴムキャップは落ち着いた色のイエローです。

ガブリゲーターのボーン(頭部)

頭部は歯が上下に複雑に絡み合い、目は光沢のある赤色の独特な形状です。上あごから突き抜けている歯はシクスキラーファングです。

ガブリゲーターのボーン(上から)

足の指は、実際のワニと同じく前脚が5本、後脚が4本です。キットの足の指は動きませんが、指の関節もしっかりと再現されており、ディテールも申し分ありません。中指上の吸水口から水を取り込み、噴射しながら泳ぎます。

ガブリゲーターのボーン(尻尾)

尻尾は歩行の際に左右に動きますが、突起が多くまさに骨です。キットは関節が3つあり、しなやかな動きを実現しています。

ガブリゲーターのボーン(頭部)

ワイルドブラスト(本能解放)状態の時の構造がよくわかります。口を閉じている際に上あごから突き抜ける歯はシクスキラーファングですが、かなり長いことがわかります。

パイロット

ライダー(パイロット)は背中にまたがるように搭乗します。キットは穴がありしっかりと固定できますが、座席のようなモールドは見て取れません。 ライダー(パイロット)の前方には現用戦車に煙幕を張るための装置として装備されている、発煙弾発射筒(スモーク・ディスチャージャー)のようなものが見えます。説明書には、ガブリゲーターは自ら霧を発生させ、相手の視界を奪うことができるため、体内にため込んだ水分を使って霧を発生させることのできるミストディスチャージャーと記述されています。

ガブリゲーター

ガノンタスと同じ小型化された動力ユニットにより、頭部と尻尾を左右に振りながら歩行します。歩行の際、胴体の下部にあるあばら骨が前後に動くため本物のワニと同じようにリアルな動きです。外装の数は最小限に抑えられています。

ガブリゲーターの頭部

外装を装着すると、より堅牢なウロコを持つ雰囲気になり生命体のようです。

ガブリゲーターの胴体

歩行の際、胴体の下部にあるあばら骨が前後に動き、動物的な雰囲気になります。折りたたまった前後の脚にはアクチュエータ(動力シリンダー)が見えます。

ガブリゲーターの尻尾

尻尾に装着する外装は1つですが、骨格的外観を残した状態はまたリアリティーを感じさせます。

ガブリゲーター(上から) ワイルドブラスト(本能解放)

手動で前頭部を伸ばすとワイルドブラスト(本能解放)状態になり、口を開閉させながら歩行します。口のみならず胸まで開いたように見えるため違和感がややありますが、強力な武器であることがよくわかります。

ワイルドブラスト(本能解放)状態の口

強力な顎であるクランブルジョー。口内部に敵ゾイドを粉々にするメタルミキサーが見えます。ちなみに本能解放の技は、「顎関節地獄噛(がくかんせつじごくかみ)」と呼びます。

赤いスナイパー、スコーピア(サソリ種)を徹底解剖!

スコーピア

ゾイドワイルドの機体の中でも小型の部類に入るスコーピアはサソリ種のゾイドです。スコーピアもライダー(パイロット)が馬にまたがるような搭乗の仕方です。ライダー(パイロット)との対比においては1/35スケールならではの臨場感があります。

過去には同じサソリ型ゾイドがいくつか発売されています。1/72スケールでガイサック、デススティンガー、1/24でデスピオンです。

スコーピアの全長は3.9メートル、ガイサックの全長は10.0メートル、デススティンガーの全長は19.4メートル、デスピオンの全長は4.9メートルなので、スケール的にはデスピオンと同じくらいの大きさです。

現実の世界において、約3億9000万年前の川や湖に生息していたジェケロプテルスは、全長2.5メートルにもなる古代のミズサソリでした。ちなみに現在においての最大種はダイオウサソリで全長20cmです。

スコーピアにはゾイドを溶かす毒が備わっています。スコーピアは本能解放の際、槍状の武器である「ポイズンスピア」を前方に開放し、本物のサソリが威嚇するような雰囲気になります。

ダイオウサソリ ガイサック(初期版) デスピオン 沼地のガイサック 日立建機の双腕仕様機アスタコNEO

実際の世界では、日立建機の重機、双腕仕様機アスタコNEOのように、主腕と補助用副腕を装備した重機があります。アスタコNEOもそうですが、最近の双腕仕様機は人間の腕のように複雑な動きができる重機が多くなってきています。

スコーピア スコーピアのデカール

アニメではフリーダム団に所属し、ライダー(パイロット)はペンネという人物です。フリーダム団のマークとペンネの文字がデカールにもあります。

スコーピアのボーン(上から) スコーピアのボーン(前方)

胴体の横にあばら骨が見えます。目は昆虫の複眼のように丸い形状をしており光沢のある薄い色のブルーです。

スコーピアのボーン(横から)

一つ一つの足には各関節にアクチュエータ(動力シリンダー)が見えます。ゴムキャップは半透明なグリーンのタイプです。

スコーピア

外装は前方と両脇のみであり、ライダー(パイロット)は背中にまたがるように搭乗します。

スコーピアの尻尾

尻尾の前方に突き出た黒い突起はポイズンテイルであり、両サイドに折りたたまれている爪のような突起はポイズンスピアです。

ワイルドブラスト(本能解放)状態

本能を解放するとポイズンスピアを前方に開放し、敵に突き刺し毒を注入します。必殺技の名称はヒット&デスと呼びます。

ワイルドブラスト(本能解放)状態

最後尾にある突起はポイズンタンクですが、キットは取り外しができ、ゼンマイをまくためのツールになります。

ゾイドワイルドのポテンシャルに期待大!

ワイルドライガーのボーン

ゾイドワイルドは、スケールやコンセプト等々において新たな領域に踏み込み、世界観も今までとは違った方向性となっています。 しかし、キットは昔ながらのギミックやディテールを受け継いでおり、昔からのゾイダーも満足できる出来だと思います。 今後も様々な機体が発表、モデル化されていくと思われますが、非常に楽しみですね。

昔のゾイド写真館

夜間偵察中のゾイドマンモス ゾイド基地 ゴジュラス 砂漠を進軍するレッドホーン