ゾイド(ZOIDS)で体現する戦闘機械獣の熱気と鼓動
2024.06.20
コラムゾイド(ZOIDS)はトミー(現タカラトミー)から1980年代より発売されている可動ギミックを持った玩具ですが、玩具という枠を超えた秀逸な機能性も熟慮されています。
実際に戦闘機械獣として存在した場合、どのような機能により可動しているか、という点まで考え抜かれているわけです。
そういった機械としてのゾイドを独自の見解で分析してみたいと思います。
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目次
生命体の核であるゾイドコア
ゾイドコアとは、ゾイドの脳・心臓(エネルギー源)・脊髄(神経系中枢)という三つの機能を備えた、戦闘機械獣としての軍用ゾイドが唯一残す「生身」の部分です。
ゾイドコアの中には基本生体(内臓等)が凝縮されており、生命体の核となっています。ゾイドはゾイドコアが生きている限り体が傷ついても再生することができます。
戦闘機械獣としての軍用ゾイドは野性ゾイドを改造したものですが、サイボーグのように一部を機械化したわけではなく、コア以外はほぼすべてのボディを人工のものに置き換えています。
機械化する際に、まったく別のゾイドに置き換えるとコアが機能しなくなるため、元の姿に近い姿にする必要があります。
ZAC1900年以降になるとさらに技術が発達し、コアに制御システムを組み込むことによりコアに簡単な電気信号を送ることでゾイドをコントロール出来るようになりました。
さらにゾイドコアを通して自律神経やホルモンバランス、体温調節や筋力の増強といった生物の本質的なコントロールまでもが可能となりました。
参照元:ゾイド
航空母艦としてのウルトラザウルス
ウルトラザウルスは陸上においては50km/hで走行でき、水上では47ノット(約87km/h)で走行できますが、その機体にはあらゆる機能が備えられています。
水中におけるウルトラザウルスは過去のバトルストーリーなどから、前足(前脚)の上から2つ目のポリキャップよりやや下あたりまで水中につかります。
その姿はまさに現用空母のような雄姿で、ウルトラザウルスのファンが多い理由の一つです。
現用空母であればスクリューで進みますが、ウルトラザウルスの場合、後ろ足(後脚)に装備されているハイドロジェットにより、水流を噴出し水中行動時の推進器となっています。
さらに下腹部と脚部下(くるぶしの部分)、尻尾の上にも推進用もしくは方向転換用とみられるスクリューが装備されています。
頭部や砲塔にあるキャノピーは、パイロットや搭乗員の頭が少し出るような造りになっていますが、さすがに水中に入ってしまう尻尾の後方警戒用兵装のある座席は密閉されたキャノピーとなっています。
ちなみにウルトラザウルスの長い首部と尻尾の両サイド、蹄(ひづめ)の付け根にアクチュエータ(動力シリンダー)があります。これらは複雑な動きを支えている要といえます。
そして空母としてのウルトラザウルスにおいて、忘れてはならないのが背部のカタパルトです。
玩具としては2車線の両方(内1つは立ち上がった状態)にブラスト・デフレクター(噴射を遮る板)がついており、機能としては現用空母のカタパルトと同じです。
カタパルトの中心にビークル発進時の管制、離着陸の指示等に使用される通信アンテナがあり、首部の付け根にビークル収納用の背部格納庫があります。
背部格納庫の両サイドに装備されているAAZ90mm3連装パルスレーザーガンや、ウルトラキャノン砲と呼ばれる360mmリニアキャノンは、まさに空母や戦艦の武装といった雰囲気です。
さらに首部には全方位レーダーと、そのための乗務員コックピットがあり、あらゆる方向から敵機を補足可能なほか、妨害電波の発生も可能です。
このように空母を意識しつつ、大型戦闘機械獣として現実に存在した場合のギミックの再現は玩具の域を超えているといっても過言ではないですね。
参照元:ウルトラザウルス
高速走行を実現したシールドライガーとセイバータイガー
シールドライガーの最高速度は250km/hで、セイバータイガーの最高速度は240km/hです。
シールドライガーやセイバータイガーは、高速走行を実現するために脚部に様々な機能を装備しています。
まずシールドライガーの外観を見ると、脚部下の部分にスプリングを備えたシリンダー、いわゆるショックアブソーバー(シリンダーダンパー)が見て取れます。
これはアクチュエータ(動力シリンダー)としての機能も有していると思われます。さらに四肢に装備されるヒートシンク状のパーツであるインタークーラー(冷却用ラジエーター)により、高速走行を保持するために機体の動力機関を冷却しています。
そのインタークーラーの真上に設置されているハイパーチャージャーにより、補助エンジンで得られたパワーを増幅させ、機体の加速力を支えています。
そして前脚部前面と、後脚部の関節に見られるアクチュエータ(動力シリンダー)とあいまって高速走行を実現しているのです。
さらに各所に備えられているパイプは、恐らく各所にエネルギーを送るためのパイプ・各所で発生する熱冷却用の循環液が流れているパイプ・動力パイプの大きく分けて3つに分かれていると推察されます。
セイバータイガーは帝国らしく装甲で覆われている部分が多いため、外観からは脚部のふくらはぎの上部にショックアブソーバーがある以外は脚部にシリンダー等が見て取れません。
内部に装備されていることがうかがえます。ただし脚部以外ですとHMMセイバータイガーに見られるように、前脚と胴体の関節、首部にアクチュエータ(動力シリンダー)が見て取れます。
シールドライガーの各種兵装は空気抵抗を考慮し格納式となっており、機体の軽量化やインタークーラーの効果によって最高速度ではライバル機であるゼネバス帝国のサーベルタイガーを凌駕していました。
しかしその後、サーベルタイガーはガイロス帝国による更なるアップデートが行われ、動力機関、冷却装置の改良が施された結果、最高速度は240km/hにまで向上、機体名をセイバータイガーへと変更しています。
大きなパワーを発揮するアイアンコングの構造
アイアンコングはゼネバス帝国軍が開発したゴリラ型のゾイドです。そのため人体に近い構造、大きな力を発揮できる構造になっています。
肩部側面に大きな排気口がありますが、これは大型の機体を動かすことや格闘戦などで大きな腕を動かすこともあり、かなりの圧力と熱が発生するために装備されているのでしょう。
現用戦車(陸上自衛隊の10式戦車など)の後部中央にあるラジエータ用排気口、その横にあるエンジン排気口、APU用排気口と同じような役割を担っている可能性があります。
ちなみにアイアンコングの鼻は吸気口です。
アイアンコングはその機動力とパワーが有名ですが、上腕の後ろ側(上腕三頭筋)と太ももの後ろ側(大腿二頭筋)にアクチュエータ(動力シリンダー)があります。
HMMアイアンコングにはアキレス腱にもアクチュエータ(動力シリンダー)が見て取れます。実際の人間においてもこれらの部分は、大きな力を発揮する際に重要な部分です。
さらにアイアンコングの拳部であるアイアンハンマーナックルのある両腕は補助エンジンが内蔵されており、接近戦で威力を発揮できるようになっています。
コクピットは、パイロットとガンナーが二人で操る事により操縦性と対応性を高めるため他のゾイドには見られない複座式になっています。
誘導装置によって射程は200kmに達する背部に装備されるTVM地対地2連装戦術ミサイルは、現用の移動式大陸間弾道ミサイルといわれています。
参照元:アイアンコング
サラマンダーは現用戦闘機を彷彿とさせる
サラマンダーはヘリック共和国軍が開発した翼竜型ゾイドで、マッハ2.0の最高飛行速度・1万5000kmの航続距離・高度3万m以上の上昇能力を持っています。
戦闘爆撃機としての位置づけですが、現用戦闘機のF-22ラプターの全長18.92mよりやや大きい全長24.1mであり、爆撃機というより戦闘機に近い大きさです。
しかし現用戦闘機よりも厚みのあるボディや大きな翼、航続距離は戦闘爆撃機と呼ぶにふさわしいです。
主翼であるマグネッサーファルコンウィングは、マグネッサーシステムを用いて機体を飛行させるため、現用航空機や戦闘機における航空力学的に揚力を得るという概念が100%当てはまるとはいえません。
なぜならマグネッサーシステムとは、磁気風を発生させることでゾイドを飛行させるテクノロジーで、ゾイドに普遍的に備わっているマグネッサー効果(ゾイドコアから発する電力を惑星Zi地表と反発させ駆動をアシストする)とあいまって広く普及しています。
さらにバトルストーリーでは骨組み(枠)だけの翼に膜を取り付けた状態の機体が描かれていますが、一般的には膜を取り付けたタイプは強化タイプです。
翼を上下にはばたかせる機能も有しているため、胴体のちょうど真ん中にある翼を上下させるパーツに2本のアクチュエータ(動力シリンダー)が、翼の付け根の両脇にもアクチュエータ(動力シリンダー)があります。
尻尾の先は現用航空機の垂直尾翼と水平尾翼に似た形状となっており、頭部コックピットには現用戦闘機のようなキャノピーを備えています。
頭部両頬にあるマルチブレードレーダーは飛行位置の把握や敵機補足に用いられ、現用戦闘機の機首レドーム内に装備されるレーダーと同じく機首に装備されています。
リアルメカ、戦闘機械獣としてのゾイド
ゾイドの機械的なギミックを分析してみましたが、突き詰めていけばまだまだ奥深くまで見ていくことができるでしょう。
このようにゾイドは物理的、工学的な側面から見ても機械を可動させるに違和感のないつくりとなっています。
実際に存在したとしても、おそらくほとんど形を変えずに戦闘メカとして存在しうると思われます。
上記に記述した以外のゾイドもそれぞれ特徴的なギミックを有し、まるでオイルまみれのシリンダーの音が聞こえてきそうな雰囲気です。
ゾイドは玩具や模型の域を超えた芸術作品といえるでしょう。是非、リアルメカ、戦闘機械獣としてのゾイドの熱気と鼓動を感じてください。