上布を買取に出す際の注意点は?相場が高い種類を解説!
上布(じょうふ)とは名前の通り「上等な布」という意味で、正絹の着物が登場する以前の時代に着用されていた着物のなかでは、この上布こそ高級品とされていました。
上布は麻素材で織られていますが、厳密なチェックを通過した麻糸の中でも細い糸を用いて織られており、薄手ながら丈夫な造りが特徴です。
着物買取において上布は、多種多様な着物の中でも、とても高い価値を誇る種類の着物とされていて、有名な上布としては、新潟県発祥の「越後上布」、上布の中でも最高級品とされる「宮古上布」、薄くて軽いのが特徴の「能登上布」などがあります。
着物がお好きな方やたくさんの和装品をお持ちの方の中には、上布をお持ちの方もいらっしゃると思います。
上布は、高級品が多く存在するため、着物買取において比較的高値が期待できる種類の着物です。
ここではそんな上布を買取に出すにあたって、相場が高い種類と、価値の低下を防ぐ方法を紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
夏物着尺として最高級品の
越後上布
越後上布(えちごじょうふ)とは、現在の新潟県南魚沼市、小千谷市を中心に生産されている平織の麻織物です。
縮織(ちぢみおり)のものは小千谷縮、越後縮と呼ばれ、1955年には重要無形文化財に指定されました。
ユネスコの無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」にも2009年に登録されています。
越後上布は優れた通気性、さらりとした着心地で夏物着尺として最高級とされ、麻織物では「東の越後、西の宮古」と呼ばれる日本を代表する織物です。
その歴史は古く、上布の最高級品として、1200年前の「越布」が、今も奈良正倉院に保存されています。
この素晴らしい織物を語る上で外せないのが「雪さらし」です。
平らでまっさらな雪の上に織り上がった反物を広げるのは、麻織物だからこそできる、南魚沼の春先の風物詩として親しまれています。
生産量が少なく希少価値の高い
宮古上布
宮古上布(みやこじょうふ)とは、一反織るのに2ヶ月以上かかる、上布の最高級品です。
沖縄県宮古島で生産される麻織物の一種であり、「東の越後、西の宮古」と呼ばれる日本を代表する織物です。
宮古上布の原料となる糸は、苧麻(ちょま)と呼ばれる、いらくさ科の多年生低木から取り出されます。
宮古上布の成り立ちは15世紀頃とされており、琉球国王に献上された「綾錆布(あやさびふ)」と同じ技術で作られた織物が「宮古上布」、ひと頃は琉球が薩摩の属領であったため、「薩摩上布」と呼ばれた時期もあったようです。
国の重要無形文化財に指定されている一方で、4人いた通商産業省認定の伝統工芸士はすでに亡くなり、近年では目立って生産量が減ったことから大変希少な品となりました。
そのため、仮に中古であっても高額で買い取られることは珍しくありません。
薄くて軽く着心地の良い
能登上布
能登上布(のとじょうふ)は、石川県の能登・羽咋地方で織られる麻の織物です。
能登上布に使用されていた麻糸は、元々、江戸時代初頭までは滋賀県の近江上布を織るために作られていましたが、地元でもその麻糸を生かした布を織ろうという機運が高まり、近江の職人から技術を学ぶことで、能登独自の織物「能登縮(のとちぢみ)」が誕生します。
能登縮の評判は大変良く、明治時代に皇太子殿下への献上品にも選出されるなど知名度が高くなり、のちに「能登上布」と呼ばれるようになります。
能登上布の特徴としては、紺や白地の絣(かすり)模様が多いこと、また、盛夏に着用してもさらりとした肌触りを感じるほど薄くて軽いことから、「蝉の羽」とも形容されますが、それだけではなく布質も大変丈夫とされています。
能登上布は、今では織元が数件しかないため、その希少価値から、古い能登上布でも着物買取で高額が付く可能性があるのです。
上布は状態と証紙の有無が
とても大切
上布の買取は状態と証紙がとても大切です。
上布に限らず多くの着物はこの状態というのが大切なポイントなのですが、買取市場に出された際にどの程度の状態であるのかが重要になってきます。
上布は夏用の着物になりますので、比較的湿気に強い麻素材が使われているものの、気を抜くと汚れやシミがついてしまわないように注意したいところです。
次に証紙の有無ですが、上布の多くは伝統工芸品が多く、上項で紹介した越後上布や宮古上布が重要無形文化財に指定されており、高価買取が十分に期待できます。
あくまでも価値が証明できればの話ですから、もし査定に出した際に証紙がない場合、本来付けられるべき買取価格が下回ってしまう原因になりかねませんので、買取に出す前にまずは証紙の有無を確認しましょう。
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