郡上紬を高い値段で買い取りしてもらうには?高価買取が期待できる状態や相場を解説!
郡上紬(ぐじょうつむぎ)は渋い色合いや光沢感、飽きの来ないデザインが人気の高級着物です。
ですが、いくら上質な着物でも着ないのであれば持っているだけではもったいないですし、せっかくなら着たいと思っている人の手に渡って欲しいですよね。
かといって、いざ郡上紬をリサイクルショップや着物専門の買取業者に出そうと思っても、買取価格の相場がどのくらいか気になると思います。
そこで今回は郡上紬の歴史や特徴、高価買取が期待できる郡上紬の状態や相場をまとめました。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
郡上紬とは
郡上紬のはじまりと歴史的背景
郡上紬は岐阜県郡上市八幡町で織られる紬織物のことで、郡上の農家では古くから絹糸に出来ない不良なクズ繭を溜めて紡ぎ、手機で織って自家用の着物として作られていました。
明治時代に入ると生産は急速に衰えて庶民の普段着として細々と技術が伝わっていき、一時期は存続が危ぶまれましたが、第二次大戦後、郡上市出身の工芸家・宗廣カ三(むねひろりきぞう・1914~1989年)が、「紬織物を郡上市の地場産業にしよう」「どの時代にも通用できるものを作ろう」と志し、独自に技法を生み出して「郡上紬」と名付けて再興を目指しました。
宗廣氏は、エリ蚕(インドのアッサム・ベンガル地方〜中国南部が原産の野蚕)と羊を飼育し、自ら糸を取って紬の質を改良、さらに染料は郡上に自生している草木を使って、味わい深い色味を出すことにこだわりました。
全工程を丹念に行って出来上がった着物は、やがて高い評価を受けるようになり、1982年にはその類まれなる着物の美しさや技術が賞賛され、宗廣氏は国の重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に認定されました。
比較的、歴史の浅い着物ではあるものの、素朴な雰囲気があって根強い人気を誇ります。
郡上紬は他の紬にはない落ち着きがある渋い味わいが特徴
群上紬は、独特の色の深みや味わいのあるつや感が人気で、「どぼんこ染め」「初音絣(はつねがすり)」「絣織(かすりおり)」などの染め方や紬で有名です。
すべての工程が手作業で行われており、工房で一着ずつ丹念に作られるため、独特な深みのある色合いと光沢が特徴です。
柄は格子、縞、幾何学模様、無地が主で、染料は赤色は茜(あかね)・黒色や茶色は阿仙薬(あせんやく)・黄色は苅安(かりやす)・藍など郡上で生育している植物を使います。
良質な国産の春繭から採取される本真綿を使って丁寧に紡がれ、天然の草木で何十回も時間をかけて染めるため、簡単に色落ちせず、三世代に渡って着られるとも言われています。
また、宗廣氏は「泣いて染めても笑って織れ」という言葉を残しました。
染める作業は地味で辛くても織るときは織り子自身が楽しみながら、心を躍らせて織らないと美しい仕上がりにならないという意味が込められています。
丹精込めて織られているからこそ、着れば着るほど色に深みが出たり、生地の表面につやが出たりして、落ち着きがある渋い味わいがあります。
良質な繭を使うので着ていて温かさを感じられ、また着心地はなめらかで柔らかく、肌触りの良さで他に引けを取らない着物です。
郡上紬が持つ4つの特徴
郡上紬は独自の技法や品質の高い素材を用いることで多くの方に愛されている着物になります。ここでは郡上紬が持つ4つの特徴を確認していきましょう。
郡上紬の製作工程
繭を紡いだ糸を、灰汁などを使って精錬します。その後、藍などの植物由来の染料で染め上げます。その後は高機(たかはた)と呼ばれる織機で反物を織り上げていきます。縞織と絣織という技法を繰り返し、独特の郡上紬の風合いを作り上げていきます。
郡上紬の染色技法
郡上紬では、「どぼんこ染め」という技法を用います。また、ヤマモモや藍、茜といった天然染料を使った草木染であることも特徴です。
染め上げのときには、はっきりとした色合いを表現するために時間と回数を重ね、繰り返し染料につけて染め上げます。しっかりと染め上げた結果、親子三代に至るまで受け継がれるほど、丈夫な生地と色合いが保てるのです。
郡上紬の糸
郡上紬に使用する糸は、国産の春に孵化した蚕から取った繭(春繭)のみを使います。春繭は、夏や秋に孵化した蚕より糸が上質であるとされています。経糸には、クズ繭として扱われることが多い玉繭を用い、緯糸には、春繭から紡いだ本真綿を用いるのも特徴です。
玉繭を縦糸に使うと若干の織りにくさはありますが、反物に仕上がった際の風合いが良いとされています。
郡上紬の織
郡上紬は、縞織と絣織という織り方を繰り返す「ぼかし織り」という技法を用います。糸の色合いから作られるグラデーションもそうですが、経糸と緯糸が織りなす反物自体の織の風合いも表現されています。
郡上紬の紬や染め方の種類
どぼんこ染め
染料液に紬糸を垂直に入れ、繊維に染料を吸い上げさせる染め方です。
染料液の量を調整したり、糸を少しずつ引き上げたりすることで、美しいぼかしを作ることができます。
初音絣(はつねがすり)
絣とは、細い線をかすったように見える柄のことです。
ぼかし染めなどの技法を使って複雑に織り、独特で複雑な柄を織り出します。
紬縞織(つむぎしまおり)
染色した糸を縦と横に組み合わせ、縞や格子などの柄を織り出す技法です。
鮮やかな縞模様が特徴的で、シンプルで飽きの来ない万人受けする柄になります。
絣織(かすりおり)
あらかじめくくって染めた糸で絣模様を出す柄のことで、織り上げたときに柄が合うよう緻密に計算してくくるため高い技術力が必要になります。
紬縞織と組み合わせることで、より複雑で独特な柄を織り出したり、繊細で絶妙なグラデーションを表したりすることもできます。
郡上紬の買取相場とは
郡上紬の買取相場は過去の着物買取市場の事例を見ると8万円を超える価格となっています。
また、郡上紬の買取相場を決める上で欠かせないポイントは「宗広力三が手掛けた郡上紬かどうか」ではないでしょうか。
基本的に郡上紬は希少性の高い伝統工芸品ですから他の着物に比べて買取相場は高い傾向にありますが、宗広力三が手掛けた郡上紬ならば買取相場はさらに高くなり、10万円を超える価格帯となります。
郡上紬の価値を決める上で必要となる証紙に宗広力三の名前が入っているものならば本人が手掛けた品であるという証明になります。
ただし証紙に宗広力三の名前がない場合は宗広力三の郡上紬と比べて価値が下がりますので忘れずに覚えておきましょう。
※上記は参考価格であり、実際の買取価格を保証するものではありません
※ご査定時の市場状況、在庫状況により買取価格が変動する場合ございます。
※お買取相場の価格は未開封の未使用品を想定しています。お品物の状態によって価格が大きく変わる場合がございますのでご了承ください。
郡上紬を高い値段で買い取りしてもらうには:まとめ
厳選された繭や草木を使用してすべて手作業で作られたり、落ち着きがある渋い味わいや生地のなめらかさなど、郡上紬の仕上がりは他に類を見ない魅力があります。
作者でもある宗廣氏の「郡上に自生している草木の色味を活かそう」「情熱をこめて丁寧に織ろう」という想いが詰まっており、亡くなった今尚ファンが絶えないのも想像できます。
「自宅に郡上紬があるけれど着ないしたんすに眠ったまま・・・」という方、そのままにするのではなくぜひ着物買取に出してみてはいかがでしょうか。
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