陶磁器とは?焼き物の素材別の特徴や高値がつきやすい作品を見分けるコツを解説

陶磁器とは?焼き物の素材別の特徴や高値がつきやすい作品を見分けるコツを解説

陶磁器は、私たちの日常生活に欠かせない存在です。

食器や花瓶、オブジェなど、さまざまな形で私たちの生活を彩っています。

しかし、「陶器」と「磁器」の違いや、各地の伝統的な焼き物の特徴については、意外と知られていないかもしれません。

本記事では、陶磁器の基本的な知識から「陶器」と「磁器」の違い、高値がつきやすい作品の見分け方まで、幅広く解説します。

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※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

陶磁器(とうじき)とは

陶磁器とは、粘土や長石、珪石を成形して高温で焼成した工芸品の総称です。

日本では古くから焼き物文化が発達し、各地域で独自の特徴を持つ陶磁器が生み出されてきました。

陶磁器は陶器、磁器、土器、炻器、半磁器など焼き物の素材で分類されますが、それぞれに異なる特徴があります。

陶磁器の中でも代表的な「陶器」と「磁器」の特徴を、わかりやすく以下の表にまとめました。

陶器 磁器
原料 主に粘土を原料としている 白色粘土に長石や珪石を加えたもの
焼成温度 通常、1,000〜1,200℃の比較的低い温度 1,200〜1,400℃の高温で焼かれる
熱伝導率 熱伝導率が低く、ゆっくりと熱が伝わる 熱伝導率が高く、速く熱が伝わる
仕上がり 厚みがあり、素朴で温かみのある仕上がり 薄くて軽く、白く硬い質感
保温性 保温性が高く、温かい飲み物や料理を長時間保温できる 保温性は陶器ほど高くないものの、見た目の美しさを際立たせる
耐熱性 耐熱性が高く、オーブンや直火にも耐えることができる 耐熱性は陶器ほど高くないものの、電子レンジや食洗機での使用に向いている

陶器と磁器では、原料から焼成温度、仕上がり、性能が異なることがわかります。

それではそれぞれ詳しく解説します。

陶器

陶器は粘土を主原料とし、1,000℃から1,300℃程度の比較的低い温度で焼成された焼き物です。 土の風合いを生かした素朴な味わいが特徴で、自然のままの土の質感や色合いがそのまま表現されるため、温かみと親しみやすさを感じることができます。 陶器の代表的な種類としては、益子焼、瀬戸焼、信楽焼などが挙げられます。 陶器の高く売れやすい種類や高く売るコツは、以下の記事にて詳しく解説していますので参考にご覧ください。 関連記事: 陶器(陶芸品)を高く売るコツとおすすめの買取方法をご紹介!

磁器

磁器は、白色粘土に長石や珪石を加え、1,200〜1,400℃の高温で焼いたもので、白く硬い質感が特徴です。

薄くて軽く、繊細で美しい器に仕上がります。

磁器の代表的な種類としては、有田焼、伊万里焼、波佐見焼などが挙げられます。

【生産地別】陶磁器の代表的な種類

日本各地で作られている陶磁器について、代表的な種類は以下のとおりです。

瀬戸焼 常滑焼 信楽焼
備前焼 伊万里焼 有田焼
九谷焼 京焼 波佐見焼

それでは、それぞれの特徴を紹介していきます。

瀬戸焼

瀬戸焼は、愛知県瀬戸市とその周辺で生産される陶磁器です。

日本で最も古い歴史を持つ陶器の一つで、多様な釉薬や技法が使われます。

日常使いの器から芸術作品まで幅広く作られています。

瀬戸焼の特徴や高く売れる種類は、以下の記事にて詳しく解説していますので参考にご覧ください。

常滑焼

常滑焼は、愛知県常滑市で生産される陶器です。

中でも赤土を使った焼き物、特に急須や土瓶が有名です。

耐久性が高く、使い込むほどに味わいが増します。

常滑焼の特徴や人気の種類は、以下の記事にて詳しく解説していますので参考にご覧ください。

信楽焼

信楽焼は、滋賀県信楽町で生産される陶器です。

粗い土の質感と自然な釉薬の色合いが特徴で、特にたぬきの置物が有名です。

他にも食器や花器など様々なものが作られています。

信楽焼の特徴や高く売れる種類は、以下の記事にて詳しく解説していますので参考にご覧ください。

備前焼

備前焼は、岡山県備前市で生産される陶器です。

釉薬を使わず、素焼きのまま焼成するため、独特の赤褐色の色合いが特徴です。

耐久性が高く、使い込むほどに味わいが増します。

備前焼の特徴や高く売れる種類は、以下の記事にて詳しく解説していますので参考にご覧ください。

伊万里焼

伊万里焼は、佐賀県伊万里市を中心に生産される磁器です。

有田焼と同じく華やかな絵付けが特徴で、伊万里港から輸出されたことからこの名前がつきました。

豪華な絵付けと高い技術が特徴です。

有田焼

有田焼は、佐賀県有田町で生産される磁器です。

白磁に染付や色絵で施される華やかな絵付けが特徴で、特に青花(染付)や赤絵が有名です。

食器や装飾品として広く愛用されています。

有田焼・伊万里焼の特徴や高く売れる種類は、以下の記事にて詳しく解説していますので参考にご覧ください。

九谷焼

九谷焼は、石川県金沢市を中心に生産される磁器です。

鮮やかな色彩と豪華な絵付けが特徴で、特に五彩(赤、青、黄、紫、緑)の色使いが有名です。

金箔や銀箔を使った作品も多く、装飾性が高いことから芸術作品としても評価されています。

九谷焼の特徴や高く売れる種類は、以下の記事にて詳しく解説していますので参考にご覧ください。

京焼

京焼は、京都市で生産される磁器です。

繊細で上品な絵付けが特徴で、茶道具や食器として広く使われています。

特定の技法がないため、伝統的な技法と現代的なデザインが融合されています。

波佐見焼

波佐見焼は、長崎県波佐見町で作られる磁器です。

シンプルで実用的なデザインが多く、日常使いの食器として親しまれています。

手頃な価格で高品質なものが手に入ると好評です。

陶磁器の歴史

日本で陶磁器が大きく発展したのは、安土桃山時代に中国や朝鮮半島から陶磁器の技術が伝えられたことがきっかけです。

この頃には陶磁器の茶道具を集めることが武士や貴族のステータスになるなど、陶磁器の美術品としての側面が特に注目されるようになりました。

現在では日本各地に有名なご当地焼き物がたくさんあり、特に日本六古窯(にほんろっこよう)と呼ばれる瀬戸焼・有田焼・美濃焼・信楽焼・九谷焼・備前焼・益子焼・丹波焼がコレクターに人気です。

高値がつきやすい陶磁器を見分けるコツ

高値がつきやすい陶磁器を見分けるコツとして、「著名な作家の作品かどうか」「人気メーカー(ブランド)の製品かどうか」といったポイントを押さえておくべきでしょう。

それぞれ中古市場で価値がつきやすい種類をご紹介します。

著名な作家の作品かどうか

まずは、お持ちの陶磁器が著名な作家の作品かどうかを見極めましょう。

作家別に、価値が高くなりやすい作品を以下表にピックアップしましたので参考にご覧ください。

作家名 価値が高くなりやすい作品
酒井田柿右衛門 濁手花文花瓶など
今泉今右衛門 色絵薄墨墨はじき時計草文鉢など
金城次郎 線彫魚紋大皿、海老魚紋花瓶
島岡達三 象嵌刷毛目皿など
河井寛次郎 三色打薬茶碗など
徳田八十吉 彩釉花器など
井上萬二 白磁丸形壺など
藤原雄 備前水指、備前茶入、備前大壺
板谷波山 葆光彩磁、青磁鳳耳花瓶
荒川豊蔵 瀬戸黒水指、黄瀬戸茶碗
三輪休雪 鬼萩茶碗、シルクロード碗
濱田庄司 柿釉青流描角鉢など
金重陶陽 耳付水指、備前徳利
高橋道八 大黒徳利、染付色絵紅葉散文鉢
山田宝生 常滑急須、朱泥、急須
近藤悠三 梅釉裡紅金彩花瓶など

人気メーカー(ブランド)の製品かどうか

人気メーカーの陶磁器も高値がつきやすいです。

具体的には、以下表のようなブランドの製品は高い価格で取引されることが多いです。

メーカー名
マイセン アラビア
リヤドロ ノリタケ
ウェッジウッド 大倉陶園
ロイヤルコペンハーゲン 香蘭社
ヘレンド ナルミ
エルメス イッタラ

陶磁器を高価買取してもらうためのポイント

陶磁器を高価買取してもらうために押さえておきたいおもなポイントは、以下の3つです。

  1. 作品の状態は良好か
  2. 作品の情報は把握しているか
  3. 査定に出す業者を厳選できるか

それではそれぞれ詳しく解説します。

作品の状態は良好か

陶磁器の買取において、作品の状態が査定金額を大きく左右します。

基本的には陶磁器の状態が良好であるほど、高い金額がつくことが多いです。

状態に関しては、具体的に以下のポイントをチェックされます。

  1. 割れ、カケ、ヒビなどの傷がないこと
  2. 汚れやシミがないこと
  3. 金箔や銀箔などの装飾が剥げていないこと
  4. 共箱や付属品があること

陶磁器は素材に土を使っており、吸水性が高いです。

隙間の多い構造なので劣化すると隙間が広くなって水分が入り込み、カビが生えてしまうことがあります。

さらに、陶磁器は日光が当たり続けると色焼けや退色するおそれもあります。

そのため陶磁器を飾る・保管する際には、劣化が進まないように湿度が低く、直射日光が当たらない場所に置いてください。

作品の情報は把握しているか

  1. 作者が分かっていること
  2. 作品の名前が分かっていること
  3. 制作年代が分かっていること
  4. 作品の来歴が分かっていること

・作者や作品名、制作年代などが分かれば、作品の価値をより正確に査定することができる

・作品の来歴が分かれば、希少価値が高くなる場合もある

査定に出す業者を厳選できるか

陶磁器を買取に出す際は、骨董品を扱う買取業者を選ぶことをおすすめします。

「割れ物を店舗まで持ち運ぶのが面倒」という方は、出張買取サービスを利用しましょう。

買取業者を利用する前に、以下のポイントを頭に入れておきましょう。

  1. 陶磁器の買取に力を入れている業者を選ぶ
  2. 複数の業者から査定を受ける
  3. 事前に査定方法や手数料を確認しておく

まとめ

陶磁器は日常生活に欠かせない存在ですが、その種類や特徴は意外と知られていません。

本記事では、陶器と磁器の違い、各地の伝統的な焼き物の特徴、高値がつきやすい作品の見分け方などを幅広く解説しました。

骨董品買取バイセルでは、陶磁器も積極的にお買い取りしております。

本記事でも紹介したように、陶磁器とひと口に言っても種類はさまざまで、作家やメーカー、保存状態など複数のポイントによって価値は変わってきます。

ご自宅に持て余している陶磁器がある方は、価値を知っておくためにも、ぜひ一度無料査定に出してみてはいかがでしょうか。