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茶碗

茶碗とは、茶道において欠かせない道具で中心的存在です。単にお茶を飲むための道具ではなく観賞用の美術品としての役割や、茶をたてる側の品格や心意気などを表します。古くから茶人に好まれ、格が高いとされる茶碗の種類は楽焼、萩焼、唐津焼です。人間国宝や有名作家の作品は骨董市場で人気があります。

薄茶器(棗)

薄茶器とは薄茶用の抹茶入れです。代表的なものは形状が植物のナツメの実に似ていることから名づけられた、棗です。素材は木地をはじめ竹などが多いですが、稀に焼き物の場合もあります。表面は漆塗りで、柄は無地から季節の花など様々です。大きさは大棗・中棗・小棗・平棗の4種があります。

茶入れ

茶入れとは濃茶用の陶器製の抹茶入れです。茶碗とともに価値の高い重要な道具です。大きく分けて主に唐物と和物の2種です。和物は瀬戸茶入と、その他の国内で作られた国焼茶入の二つに分けられます。唐物は器形によって分類されますが、特に価値が高いものは漢作と呼ばれます。

茶筅

茶筅とはお茶を点てる際に使う道具です。濃茶の場合は練る際に使用します。ほとんどが竹製です。穂の数は様々で、荒穂、数穂、八十本立、百本立などがあります。主に数穂が使用します。茶筅の元となる道具を製作した宗砌が、その製法を奈良の高山の城主一族にだけ伝えていたことから現在も国内生産の9割が高山産です。

茶杓

茶杓とは茶器から抹茶をすくい出す道具です。抹茶をすくう先端部分は櫂先、櫂先の最先端は露、中央にある節の部分から櫂先に向かう筋を樋（ひ）、櫂先の反対側の端を切り止めといいます。主に竹製ですが、木や銀、象牙や獣角などでも作られることがあります。

茶巾

茶巾とは茶道の点前の際に、茶碗についた水滴などを拭いて清める道具です。白い麻布で、かつては朝鮮照布や近江上布を用いていましたが現在では奈良晒布が重宝されています。流派や用途により大きさは様々ですが、一尺（30.3cm）×五寸（15.2cm）の長方形であることが多いです。水に浸し、絞って使用します。

柄杓

柄杓とは点前の際に、お湯や水を汲むために使う道具です。お湯を汲む部分を「合」、持ち手の部分を「柄」といいます。大きく分けて月形と差通しの2種類がありますが、茶道では主に月形を用います。月形には炉用、風炉用、炉と風炉の兼用の3種類があります。炉用の合の方が大きく、風炉用は小さいのが特徴です。

釜

釜とは、茶会を開くことを「釜を掛ける」と表現するように、茶を点てる際に欠かせない道具です。炉用と風炉用の2種類があり、11月から4月は炉釜、5月から10月には風炉釜と季節によって使い分けます。茶人に人気のある釜の種類は下野国佐野庄天命（現在の栃木県）で生まれた天命釜と京都で生まれた京釜です。

棚

棚とは水指や茶器などを置いておく道具です。大きく分けると点前座に置く棚と、茶室に設置された仕付棚の2種類があります。材質は桐木や杉木などで多種多様な意匠の棚があります。武野紹鷗棚、利休袋棚、二重棚、梅型の透かし彫りが特徴の好文棚、蛤棚などがあります。

掛け軸

茶道における掛け軸とは、茶席の趣旨や主人の心構えを示す役割や、季節感を演出する役割を持っています。主に禅宗の教えである禅語が書かれている墨跡が用いられることが多いです。季節感を演出する際は春なら「松樹千年翠」、夏なら「一華開五葉」、秋なら「万里無片雲」、冬なら「吾心似秋月」などがあります。

花入れ

花入れとは茶道における花瓶のことを指します。掛け軸と合わせて飾られ、美術品としての役割もあります。また、茶事方式によって、飾られるタイミングが異なります。床に花入を置いて飾る置花入をはじめ、飾り方にも様々な種類があります。素材は格が高いとされる唐銅、青銅、白磁などが人気です。

水指

水指とは、釜に水を足したり、茶碗、茶筅などを清めたりするために水をためておく器です。鎌倉時代に宋より伝わり、金属、陶器、塗物、木地など多種多様な種類や意匠のものが存在しますが、現在では主に陶磁器製のものが用いられています。奥田頴川をはじめ多くの名工の和物の水指が存在します。

鉄瓶

鉄瓶とは、点前において重要なお湯を沸かす道具の一つです。鉄瓶でお湯を沸かすと、二価鉄が溶けだすため、鉄分が多く含まれお湯がまろやかになります。もともとは鉄釜が使用されていましたが、江戸時代中期頃に取っ手や注ぎ口がついた鉄瓶が誕生しました。青森県盛岡市で製造される南部鉄瓶が有名です。

銀瓶

銀瓶とは鉄瓶と同じく湯を沸かす銀製の茶道具です。高価な銀を使用し、高度な加工技術を用いているため、ステータスとして富裕層や権力者たちに好まれました。鉄瓶に対して銀瓶はお湯の味を変えないため銀瓶を愛用する茶道愛好家も多いです。龍文堂、尚美堂、亀文堂などの人気工房の物は骨董市場で人気があります。

香炉

香炉とは香を焚き、空気を清めるための道具です。香炉は元々、仏具の一つですが、室町時代に茶道でも用いられるようになりました。茶道においてはお香をたく実用的な面だけでなく、床の間に飾る観賞用としての役割もあります。酒井田柿右衛門、田美統、諏訪蘇山などの香道具が有名です。

急須

急須とは、茶葉を入れ湯をそそぎ煎茶を作るために用いられる煎茶道具です。取っ手が横についている「横手」が主に使われています。恵孟臣、葛明祥、人間国宝の三代目山田常山、片岡二光などの作品が有名です。また、萬古焼の紫泥急須や、常滑焼の朱泥急須は骨董市場で人気があります。

香合

香合とは香炉を焚く際の香料を保管する容器です。香炉と共に鑑賞される美術品としての役割もあります。大きく分けて木製や竹製などの「風炉用」と、青磁、楽焼、国焼などの陶磁器を使用した「炉用」の2種類があります。人間国宝の作品は骨董市場で人気があります。

茶托

茶托とは、湯呑茶碗の下に敷く煎茶道具です。お茶を提供する際は、飲み口に触れずに済み、更には火傷や机が汚れるのを防ぐ役割があります。素材は錫製、銅製、竹製、木製のもの、形は小判形や丸形などさまざまな種類があります。

煎茶道具

伝統的な作法や様式を用いてお茶を振る舞う茶道に対抗し、江戸時代中期頃から当時の文化人の間で、よりカジュアルに煎茶を楽しむ煎茶道が人気となり、発展しました。粉状の抹茶を使用する茶道に対し、煎茶道は玉露や煎茶などの茶葉でお茶を淹れます。「茶壷」、「急須」、「茶托」などが代表的な煎茶道具です。

表千家

「表千家」とは千利休を祖とする流派で、茶道の教えを広めた有名な流派で知られています。

千利休の孫である江岑宗左により受け継がれた茶室「不審庵」が、またその子孫によって代々引き継がれ現在にいたります。

千利休は戦国時代の茶道の大家であり表千家はその伝統を大事にしており、現在でも作法をほとんど変更せずに継承し続けています。

裏千家

「裏千家」は千利休の孫で、千宗旦の四男である仙叟宗室（せんそうそうしつ）が立ち上げた流派です。

江岑宗左が「不審菴」を受け継いだ際に、父の千宗旦は屋敷の裏で四男と暮らしていました。

そこには元々「今日庵」と呼ばれる茶室があり、それを四男の仙叟宗室が受け継いだことで「裏千家」が誕生しました。

古き良き伝統を守り続ける表千家とは違い、裏千家は伝統を守りつつも茶道の新たな発展のために、新しいスタイルを取り入れていく形式です。

現在では弟子数が流派の中で最も多く、茶道教室の多くは裏千家です。

武者小路千家

「武者小路千家」は千宗旦の次男である一翁宗守（いちおうそうしゅ）が立ち上げた流派です。

京都の武者小路通りに「官休庵」の茶室を建てたのが武者小路千家の始まりといわれています。

表千家と同じく伝統を重んじるスタイルであり、無駄のないシンプルな作法で茶を喫することが特徴です。

書付箱

書付箱は権威のある家元や宗匠などが、品物の価値を認めたことを示し書付した箱のことを指します。

共箱

共箱は最も一般的な箱で、作者が署名捺印した箱のことを指します。

基本的に表側に作者の名前が記されており、裏側に作品名が記載されています。

極箱

極箱は作家本人ではなく親族や後継者などが、その作品を本人の作品であると認定し箱書をした箱のことを指します。