軍事切手とは?高値買取が期待できる種類について

軍事切手とは、戦時中に軍隊が軍事郵便に使用するために発行された切手のことです。
「遺品整理をしたら軍事切手が大量に出てきたので処分したい」「どんな軍事切手だと高額で買い取ってもらえる可能性があるのだろう」と悩んだり疑問に思ったりする方のために、軍事切手の種類や価値についてご紹介します。
軍事切手を売りたいとお考えであれば、是非ともご一読ください。
軍事切手の価値

軍事切手にはどんな種類があり、どのくらいの価値があるのか気になりますよね。
まずは軍事切手の概要や価値のある軍事切手についてまとめましたので、確認していきましょう。
軍事切手とは
軍事切手とは、日本においては1910年~1944年(一説には1910年~1931年とも)までに発行・使用されていた軍事用の切手です。
軍事切手は18世紀のヨーロッパが起源とされ、イギリス・フランス・ドイツなどが自国軍のために発行しており、日本が真似た形になります。
現代で切手というと郵便物の送料を支払うために使われますが、戦時中は差出通数を管理することを目的に使用されていました。
主に日本から海外の戦地へ、戦地から日本国内へ向けて郵便物(封書が原則)を送る際に貼り付けられ、大衆向けではないので発行枚数が少なく希少性が高いことが特徴です。
戦時中は軍事専用の切手を製造する時間や予算がなかったので、当時流通していた普通切手に「軍事」という文字を中央に印刷して発行されました。
ちなみに大日本帝国軍では、軍隊の指揮を執る将校より下、兵より上の階級に当たる下士官(かしかん)には毎月2枚ずつ無料で支給されたようです。
希少価値の高い軍事切手とは

歴史が激動した年や時代に発行されたものは、軍事切手の中でも発行枚数がより少ないため特に希少価値が高いと言えます。
例えば中央に菊の模様がある「菊切手加刷軍事切手」は、日韓併合(韓国併合)が行われた1910年に発行されました。
100年以上前に発行されたため、ほとんど現存していないと言われるほどのプレミア切手で、たった1枚で高額で取引されることがあります。
また、大正デモクラシーの真っ只中で第一次世界大戦が勃発する前年に当たる1913年には、「大正白紙軍事切手」が異なるサイズで3種類発行されました。
「大正白紙軍事切手」は軍事切手に精通していない人ではほとんど区別がつけず、すべて揃った状態かつ美品であれば高価買取が期待できます。
一口に軍事切手と言っても、僅かなデザインやサイズの違いで買取価格が格段に変動する種類がありますので、鑑定する際にはプロの目利きが必要です。
貴重なデザインの切手も!軍事切手にはどんな種類がある?

「菊切手加刷軍事切手」や「大正白紙軍事切手」以外にも、まだまだ軍事切手の種類はあります。
どれも保存状態が良ければ数千円~数万円で売れる可能性があるので、お持ちの軍事切手がどの種類に当たるか確認してみてください。
軍事加刷
「軍事加刷」は日本の軍事切手として最初に製造されたもので、1910年に中国に駐屯している部隊から日本へ手紙を送る目的で発行されました。
「軍事加刷」は切手の種類の名称ではなく、同じ種類の切手自体を区別するための名称で、Ⅰ型とⅡ型の2種類があります。
1910年~1914年に発行されたⅠ型は「軍」と「事」の間に約4ミリの間隔が空いており、1924年~1933年に発行されたⅡ型は文字の間隔が約2ミリです。
旧大正毛紙軍事

「旧大正毛紙軍事」は、軍事加刷と同様にⅠ型とⅡ型があり、さらに縦横の違うサイズもあります。
全部で7種類も存在し、正方形サイズのⅠ型の方が価値が高いとされています。
中古買取市場にほとんど出回ることがないため、非常に希少価値が高いです。
新大正毛紙軍事
「新大正毛紙軍事」は、平面印刷されたものが3種類、輪転印刷されたものが1種類の計4種類が発行されました。
印字された「軍」と「事」の間隔が1ミリ・2ミリ・2.3ミリと分かれており、間隔の違いによって買取価格がそれぞれ異なります。
また、「旧大正毛紙軍事」と見た目にほとんど違いはありませんが、「新大正毛紙軍事」の方が買取価値が高いとされています。
青島軍事切手
青島(チンタオ)は中国の山東(サントン)半島にある地名で、1914年に日本がドイツとの戦争に勝って占領した土地です。
「青島軍事切手」は、1921年に中国の青島郵便局で発行された軍事切手になります。
青島の駐屯兵士に配布する予定だった切手の到着が遅れたため、現地で急遽印刷されました。
臨時に発行されたために粗悪な状態ものが多いですが、正式な切手が到着すると使用不可になったことも相まって、他の軍事切手に比べると極端に数が少なく高価買取が期待できます。
軍隊の日切手

「軍隊の日切手」は、1943年にドイツで発行された軍事切手です。
ドイツが制定している「ドイツの日」に、戦没者慰霊の意味を込めて発行されました。
砲兵隊・急降下爆撃機・落下傘部隊など戦争をテーマにした図柄が描かれ、全部で12種類あります。
日本ではほとんど出回っていないので、希少性が高く価値があるとされています。
南方占領地切手
「南方占領地切手」は、第二次世界大戦中に日本が東南アジア諸国を占拠した際、現地で発行された切手の総称です。
ビルマ・香港・フィリピン・スマトラ・マライ(現在のマレー半島の一部)などの地域で発行され、新しい切手の図柄が採用されているものが多いです。
現在のミャンマーであるビルマでは「南方占領地切手」として最初に発行された「矢野切手」は有名で、同国では「牛耕図案切手」や「独立記念切手」なども発行されました。
他にもインドネシアで発行された「ジャワ『大東亜共栄圏』3銭切手」、フィリピンで発行された「比島郵便切手」などが挙げられます。
南方占領地切手の図柄は現地民がゴムの木からゴムを採取していたり、田植えをしていたり、象が丸太を運んでいたりする様子が描かれているものが多く、戦争を感じさせない平和なデザインが特徴的です。
また、言語は日本語の他、ビルマ文字やタガログ語(フィリピンの言語の一つ)など現地の言語が記載されているものもあります。
軍事切手を高く買い取ってもらうためのコツ

軍事切手を売りたいと考えた場合、どのような点に注意すれば高く買い取ってもらえる可能性があるのでしょうか。
今お手持ちの切手の価値を落とさず、お得に査定してもらうためのコツをご紹介しますので、是非ともご確認ください。
なるべく劣化しないように厳重に保管する
軍事切手は古いものは100年以上前に製造されたので、ほとんどが経年劣化によりかなり脆い状態になっているでしょう。
保管する際は細心の注意を払い、現状より劣化しないように徹底的に良い環境で保管しなければ、査定時に価値が下がってしまいます。
何といっても切手の大敵は湿気です。
切手が湿気を吸うとカビが生えたり変色したりしますので、水気があったり湿気がこもりやすかったりするところで保管するのは厳禁です。
切手を保管するためのスタンプブックに挟み、風通しの良い清潔な部屋や場所に置いておきましょう。
切手に触れる際はピンセットを使う

切手は僅かな環境の変化で劣化してしまいます。
湿気は当然のことながら、指についている油や汚れが切手に移ると、裏面の糊が剥がれたりシミができたりすることが危惧されます。
また、切手を指先で扱うとふとした瞬間に折れたり破れたりしてしまう可能性があり、取り返しのつかない状態になるかもしれません。
そのため切手を取り扱う際は、ピンセットを使うことが望ましいです。
切手専用でなくても、ピンセットの柄が長く先端が丸い形状のものであれば、切手が持ちやすく且つ傷つけにくいためおすすめです。
インターネットやホームセンターなどで数百円で販売されていますので、貴重な切手に触れる際には是非使ってみましょう。
専門家のいる買取業者で査定してもらう

軍事切手は同じ種類でありながら、「軍事」の文字間隔や切手自体のサイズが違うだけで買取価格に差が生まれるケースがあります。
専門的な知識がないと見分けがつけづらいので、査定に出す際は切手を専門的に扱っている買取業者を選ぶようにしましょう。
軍事切手は希少価値があり買取需要が高いため、価値に見合わない安価で買い取られると損をしてしまいます。
町の金券ショップに査定に出すと、普通切手ではないので「使い道がなく需要がない」と判断される恐れがあり、買取を断れたり、二束三文で買い取られたりする可能性があります。
切手の専門家に査定を依頼し、どのくらいの価値があるかをしっかり見抜いてもらった上で、その軍事切手の価値に見合う買取額を算出してもらいましょう。
出張買取サービスを利用する
出張買取とは、買取業者の査定員が利用者の家まで訪問し、その場で品物の査定や買取を行うサービス形態です。
利用者は品物を買取店舗まで持ち運ぶ必要がなく、在宅で買取を済ませられる点がメリットとして挙げられます。
「切手を大量に所有していて持ち運ぶことが難しい」「自宅で楽して査定・買取してもらいたい」という方に向いています。
特に軍事切手はコレクション性が高く、少し傷がついたり折れたりしただけで買取額が一気に下がってしまう恐れがあります。
もし持ち運んでいる際に切手の状態が悪くなると損をしてしまうので、現状のまま査定してもらった方が買取額が下がる心配がなくおすすめです。
また出張買取サービスを実施している買取業者では、買取額がついたら現金でその場で支払ってくれるところが多く、安心して軍事切手を査定に出せる点も嬉しいですね。
出張買取サービスを利用して、軍事切手を簡単に、価値を下げずに買い取ってもらいましょう。
まとめ

軍事切手は歴史的に価値がある遺物で、現存している数がとても少なく大変貴重なものです。
捨ててしまうのは本当にもったいないので、不要であれば売りに出すことが堅実です。
軍事切手の真贋を確かめたり、価値相応の査定額を出したりするには、専門知識が必要になります。
もし売る際は、切手を専門的に扱っている買取のプロに任せるようにしましょう。
また、軍事切手は慎重に取り扱い、可能な限り欠損や劣化させないように注意してくださいね。