本場黄八丈を守り続けた山下百八子の着物の買取相場は?高く買取してもらうコツも紹介

2024.02.01

着物買取 コラム
山下百八子の着物の買取
山下八百子の本場黄八丈を持っています。いくらになりますか?
保存状態や種類により買取価格が変わりますので一度拝見いたしますので、お電話・メールよりお問合せ下さい。
亡くなった祖母の部屋から黄八丈などの着物が見つかりました。価値ってありますか?

山下八百子(やましたやおこ)は、東京・八丈島の伝統工芸品である本場黄八丈の伝統と技術を守り続けた染織作家です。1986年には東京都指定無形文化財工芸技術の保持者に認定され、2002年には名誉都民表彰を受けています。

山下八百子が作り続けた本場黄八丈は、八丈島で受け継がれてきた草木染の絹織物で、1977年に国の伝統工芸品に指定されています。八丈島に自生する植物染料を使い、中でも八丈刈安(はちじょうかりやす)を使うことで出る独特な黄色から「黄八丈」と呼ばれます。

この記事では、本場黄八丈と山下八百子の着物の特徴について、また山下八百子作品の買取相場や高く買取してもらうために押さえておきたいポイントについてもご紹介します。

まずは無料査定しませんか?

お問合せ・ご相談はこちら

0120-612-773

24時間365日受付中・携帯からも通話料無料

※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

東京都無形文化財技術保持者・山下八百子とは?

山下百八子の着物の買取

山下八百子は、東京・八丈島で代々本場黄八丈を作り続けてきた山下家に生まれました。母で同じく本場黄八丈作家の山下め由(やましためゆ)から本場黄八丈の伝統技術を学んでいた山下八百子でしたが、1945年に第2次世界大戦が終わると、本場黄八丈に大きな転換期が訪れます。

戦争が終わり、洋装がより一般的なものとなったことを受けて、時の政府は八丈島に対して「草木染の黄八丈は近代的ではないため、化学染料を使うように」と通達を行ったのです。これをきっかけに八丈島にあった染め元は次々と伝統的な草木染を捨ててしまいます。

それでも山下八百子の母・め由だけは頑なに草木染を貫きましたが、結局、八丈島で伝統的な草木染による黄八丈を作るのは山下家ただ1軒だけとなってしまいました。

若くして黄八丈の危機を経験し、「自分が辞めれば本場黄八丈が消滅する」という状況の中で伝統を守り続けた山下八百子は、母・め由に続いて1986年に東京都無形文化財技術保持者の認定を受けます。また、2002年には名誉都民表彰を受けるなど、その功績は高く評価されています。

山下八百子は2009年に亡くなるまで本場黄八丈の制作を続け、その伝統を娘である山下芙美子に引き継いでいます。山下芙美子は祖母の名をとった「黄八丈めゆ工房」を立ち上げ、祖母・山下め由と母・山下八百子がつないできた本場黄八丈の伝統を今も守り続けています。

貴重な絹織物・本場黄八丈とはどんな織物?

山下百八子の着物の買取

続いて、山下八百子がその伝統を守り続けた本場黄八丈とはどのような織物かについてご紹介したいと思います。

本場黄八丈の概要

本場黄八丈は東京・八丈島で作られる草木染の絹織物で、国の伝統工芸品に指定されています。秋田県特産の草木染の絹織物(秋田八丈)と区別するため、八丈島産のものは特に本場黄八丈と呼ばれます。

八丈島の特産であるため「黄八丈」と名付けられた、と考えがちですが、実は因果関係が逆です。八丈島は古来より絹織物が盛んな島で、かつては綜嶼(いとしま 「糸の島」の意)と呼ばれました。

綜嶼で織られる絹織物は長さ八丈(約24m=2反)を1単位として作られていることから「八丈絹」と呼ばれ、幕府に献上されていました。

この八丈絹が有名になったことから、島自体が八丈島と呼ばれるようになったのです。本居宣長の随筆の中に「八丈という島の名はかの八丈絹より出ずるらむかし」という記述を確認することができます。

本場黄八丈の特徴

本場黄八丈の特徴は、八丈島に自生している植物を使って染色を行っている点です。中でも八丈刈安を使って染め上げられる美しい黄色は本場黄八丈の代名詞と言っても良いでしょう。

「八丈刈安の染液に糸を一晩浸し、翌朝絞って干す」という工程を60日間にもわたって繰り返す、この手間と時間をかけることによって、まるで黄金のような輝く黄色を実現できるのです。

しかし、この八丈刈安の染料は色を均一に染めるのが難しく、無地の黄八丈を織りあげると色ムラが目立ってしまうことがあります。黄八丈には縞模様や格子模様が多く、無地のものが少ないのはこのためで、無地の黄八丈は市場に出回っている数が少ないために希少価値があります。

本場黄八丈が「貴重な絹織物」と言われる理由はこれだけではありません。第2次世界大戦後の政府の通達によって多くの染め元が化学染料を使うようになり、八丈島に自生する植物染料を使うのが、島内で山下家ただ1軒になってしまったからです。

八丈島で草木染の黄八丈を作っているのは、つまり厳密な意味で本場黄八丈を作っているのは、現在では山下家の「黄八丈めゆ工房」たった1軒だけです。これが、本場黄八丈が「貴重な絹織物」と言われる所以です。

山下八百子がつくる黄八丈の特徴とは

山下百八子の着物の買取

では、そんな本場黄八丈の中でも、山下八百子が作る着物にはどのような特徴があるでしょうか。山下八百子の着物作品は、自身の工房で一貫生産されています。

本場黄八丈の工房が1軒しかないのですから当然と言えば当然なのですが、制作のすべての工程・素材に山下八百子本人が徹底的なこだわりを持って作られているのです。

長年の経験からたどり着いた染め技術と、皇居から譲り受けた「小石丸」という日本古来の品種の蚕が吐き出す糸を織り込んだ繊維によって、山下八百子の黄八丈には特有の発色の鮮やかさと艶があります。光の当たり方によって輝きを変える山下八百子の着物は、まるで生きているようだと言われます。

そして、山下八百子が最も評価されている点が、織りの技術です。他の人には真似できない山下八百子の織り技術によって織り上げられた黄八丈は、極上の柔らかな肌触りでありながら非常に丈夫です。

柔らかくしなやかな生地は繰り返し着ても傷みにくく、染めも堅牢なため複数世代にわたって着ても美しさが損なわれにくいと言われます。むしろ着れば着るほど身体になじんで、袖を通すたびに愛着が増していくような着心地が、山下八百子作品の魅力でしょう。

本場黄八丈は非常に手間と時間がかかる織物であるうえに自身の工房のみで一貫生産を行っているため、生産量は少ないです。また、山下八百子はすでに亡くなっていて今後新作が出ることは無いため、希少価値も相まって中古着物市場での需要も高まっています。

山下八百子の買取相場とは?

山下八百子の買取相場とは?

山下八百子の着物の買取相場は、近年の着物買取市場の傾向では高いもので100,000円前後になっています。

ただし、傷やシミ・カビ・シワがあるなど、保存状態によっては買取価格が下がってしまうことがあります。着用後の手入れや普段の保管方法など、着物の保存状態には十分注意してください。

今回ご紹介したのはあくまで相場ですので、お持ちの着物の正確な価値が知りたい場合は着物買取のバイセルへ査定に出してみましょう。

山下八百子の着物を高く買取してもらうための注意点とは

山下百八子の着物の買取

山下八百子の着物は、品質の素晴らしさと希少価値から中古着物市場でも高値で取引される傾向があります。しかし、実際の買取において高値で買取してもらうためには、いくつか押さえておきたい注意点があります。ここでは、代表的な3つのポイントについてご紹介します。

保存状態は買取価格に大きく影響する

非常に価値の高い山下八百子の黄八丈ですが、傷やシミ・カビがあるなど保存状態が良くないと、思うような買取価格をつけてもらえない可能性があります。山下八百子の美しい黄八丈でも、カビが生えてしまっては台無しですよね。

実は、山下八百子の黄八丈の素材である絹は湿気に弱く、カビや虫食いが発生しやすいため、保管時には湿気に十分注意する必要があります。具体的には、湿気の多い場所を避ける・たとう紙に包んで保管する・除湿剤を利用するなどが有効です。

除湿剤は直接着物に触れると変色の原因になることがあるため、たとう紙の上から使用するようにしてください。また、定期的に虫干しをして風を通してあげると、湿気が溜まるのを防ぐことができるでしょう。

買取査定時には証紙も一緒に提示する

山下八百子の着物を新品で購入したときには「草木染黄八丈 無形文化財 山下八百子作」と書かれた証紙がつけられています。着物に精通した査定士がこの証紙を見れば「間違いなく山下八百子の作品だ」と確認できるため、査定時にこの証紙を着物と一緒に提示することで、山下八百子作品本来の価値に即した価格での買取が期待できるでしょう。証紙は着物の端切れに貼り付けられている場合が多いですが、間違って捨ててしまうことのないように大切に保管しておきましょう。

着物買取のバイセルに査定を依頼する

着物は正確な価値を見極めるのに専門の知識や技術が必要な商材であり、買い手の知識の有無によって買取価格に差が出てしまうことがあります。山下八百子の黄八丈のように価値の高い着物であれば、買い手の知識の有無による買取価格の差も非常に大きくなることが予想されます。買取業者の選び方を間違えたために思わぬ損をしてしまう、という危険があるのです。

着物専門でないリサイクルショップや、不特定多数の買い手を相手にするネットオークション等では着物の専門知識を持った買い手に出会えるとは限りません。山下八百子の黄八丈のように価値の高い着物を買取に出すなら、必ず着物の買取業者に査定を依頼しましょう。

また、複数の着物買取業者の査定を見比べることでより正確な相場を知ることができ、より良い査定内容を提示してくれた業者を選ぶことができるのでおすすめです。その際は、査定料などの手数料が無料の業者を選ぶようにしましょう。

山下百八子の着物の買取:まとめ

山下百八子の着物の買取

本場黄八丈の伝統を守り続けた染色作家・山下八百子と、山下八百子が作る黄八丈についてご紹介してきました。八丈島に自生する植物を染料として使う草木染で本場黄八丈を作っているのは現在では山下家ただ1軒のみであり、山下八百子の着物は品質の素晴らしさと希少性から高い人気があります。

山下八百子がすでに亡くなっていて今後新作が出ることも無いことから中古着物市場での需要も高く、非常に高値で取引される傾向があります。山下八百子の着物を買取に出す際には、保存状態に留意のうえ着物買取のバイセルの査定では、山下八百子作品本来の価値に即した買取価格での買取が期待できます。

山下八百子の黄八丈は非常に価値の高い着物ですから、買取に出すなら今回ご紹介した注意点を押さえて、後悔の無い買取にしてくださいね。