着物を長持ちさせるたとう紙とは?使い方・注意点や交換時期を解説!

2024.02.02

着物買取 コラム
着物を長持ちさせるたとう紙とは?使い方・注意点や交換時期を解説!

着物を美しく保管するために必要不可欠なアイテムの1つに「たとう紙」があります。

たとう紙とはどのような物で、どういう役割があり、どのように使うのでしょうか。

たとう紙の概要や種類に加えて、役割や正しい使い方、交換時期の目安や使用の際の注意点などについてもご紹介します。

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たとう紙とは

たとう紙とは

たとう紙とは、着物を収納する時に使う専用の包み紙です。

元々は貴族のような上流階級の人々が着物を贈り合う際に、プレゼントに包装紙を付けるような意味合いで紙に包んでいたことが由来とされます。

その文化が広まって、呉服屋が仕立て上がった着物をお客さんに渡す時にも同様の包み紙を付けるようになり、一般に広まったようです。

たとう紙の役割

たとう紙には、大きく分けて3つの役割があります。


・着物を除湿してカビの発生を防ぐ
・着物をホコリから守る
・着物にシワがつくことを防ぐ

着物を除湿してカビの発生を防ぐ

着物は湿気に弱く、たんすや収納ケースに入れて長く保管していると、湿気が溜まってカビが発生してしまう可能性があります。

定期的に風通しをするなどして除湿する必要がありますが、着物を頻繁に取り出して風通しをするのは時間も手間もかかりますよね。

そこで、通気性が高く除湿効果の高いたとう紙で着物を包んで保管することで、着物に湿気が溜まりにくくなるのです。

大切な着物を収納するときのカビ対策として、たとう紙は力を発揮します。

その他、着物のカビを防ぐ方法については以下の記事が詳しくなっています。

着物をホコリから守る

室内には、衣服・布団・カーテン・絨毯などから出る小さな繊維が見えないホコリとなって空気中に舞っています。

着物をタンスや収納ケースに入れたとしても、知らず知らずのうちにそのようなホコリが付いてしまうことは避けられません。

着物や帯を1枚ずつたとう紙に包んで保管することにより、ホコリから守ってくれるという役割を果たします。

着物にシワがつくことを防ぐ

着物同士を何枚も重ねて収納する際、着物同士の摩擦によって畳んだ際の折り目がズレてしまい、それがシワの原因となってしまう場合があります。

例えば本畳みの場合には右袖が外側に向くため、袖の部分はシワになりやすい箇所となってしまいます。

着物を一着ずつ丁寧にたとう紙に包んで収納すると、着物を保護してくれるのに加えて摩擦を軽減し、着物同士を重ねて保管してもシワがつきにくくなります。

たとう紙の素材

たとう紙は和紙で作られているものが多いのですが、代表的な素材としては楮(こうぞ)・雁皮(がんぴ)・三椏(みつまた)などの木が挙げられます。

これらの木から作られる和紙は繊維同士の結合が強く、張りが強いという特徴があります。

そして重要なのが、楮・雁皮・三俣からできた和紙は繊維同士に隙間が多く、通気性が高い紙質であるという点です。

この通気性が着物のカビを防ぐうえで重要であり、たとう紙に適した素材となっています。

たとう紙は地域によって呼び方が違う

この記事では「たとう紙」という表記で呼び名を統一していますが、じつはたとう紙は地域によって呼び方や表記の仕方が異なります。

呼び方としては「たとうし」「たとうがみ」「たとうかみ」「たたみがみ」などがあり、漢字表記としては「畳紙」「帖紙」「多当紙」などがあります。

また京都など近畿地方では「文庫紙」や「キモノ紙」と呼ばれることも多いです。

京都では「たとう紙」というと着物を着替える時に下に敷く「衣裳敷」のことを指す場合もあるようです。

たとう紙の種類

たとう紙の種類

たとう紙には、紙質や用途などの違いによっていくつかの種類があります。

ここでは、「紙質」「サイズ」という観点からたとう紙の種類についてご紹介します。

たとう紙の紙質の種類

たとう紙の紙質の代表的なのはやはり和紙ですが、その他にも中性紙・クラフト紙などのたとう紙もあります。

和紙のたとう紙

着物の保管用に昔から用いられてきたのが、美濃和紙など日本の伝統的な製紙方法で作られた和紙のたとう紙です。

素材は楮・雁皮などの天然の原料として作られるものが一般的で、1枚で数千円という値段がつくこともある高級品です。

吸湿性や耐久性が高いため、大切な着物を保管するときや、礼服など着る機会が少ない着物を長期間保管するのにも適しています。

中性紙のたとう紙

中性紙は中性か弱アルカリ性域で工業的に作られた紙です。

和紙よりも安価で耐久性と通気性もあり、使い勝手のよいたとう紙だと言えるでしょう。

和紙に比べれば除湿効果は低いため、定期的に風通しをするなどの工夫をしてあげる必要はありますが、「たとう紙を使いたいが価格が抑えたい」という場合におすすめです。

クラフト紙のたとう紙

クラフト紙は、パルプ紙と呼ばれる非常に安価な洋紙です。

着物を大量に持っていて、たとう紙の費用をできるだけ抑えたいという人に向いたたとう紙だと言えるでしょう。

クラフト紙のたとう紙はコストの面では非常に魅力的ですが、和紙や中性紙に比べて除湿効果は低いです。

クラフト紙のたとう紙を使うのであれば、別途除湿剤などのアイテムを併用するのがおすすめです。

たとう紙のサイズの種類

たとう紙は、用途に応じて様々なサイズのものが販売されています。

種類サイズ用途
着物用(二つ折り)約83cm×約36cm身丈を半分に畳んで保管するのに最適
着物用長尺(二つ折り)約87cm×約36cm身丈が長い着物を半分に畳んで保管するのに最適
着物用(三つ折り)約64cm×約36cm身丈を1/3に畳んで保管するのに最適
羽織や袴の保管にも使える
帯用約56cm×約36cm帯の保管に最適

最も一般的な着物用たとう紙のサイズは約83cm×約36cmです。

この表を基準に、サイズや畳み方などからご自身に合ったたとう紙を選ぶと良いでしょう。

また、着物の他にも羽織や帯などを包むのに適したサイズのたとう紙もありますので、用途によって選んでみてください。

たとう紙の使い方:保管の手順

たとう紙の使い方:保管の手順

たとう紙を用いた正しい着物の保管方法を紹介します。

たとう紙で保管する前に着物のケアを行ってから、たとう紙で保管するようにしましょう。

着物用ブラシでホコリを払う

着物を保管する前に、表面についたホコリを着物用ブラシで落としましょう。

固いブラシですと着物を傷める原因にもなり、ホコリが残っているとたとう紙に包んでも虫食いの原因になってしまいます。

ハンガーに吊るして一晩干す

たとう紙に包む前に湿気が残らないようにするため、ハンガーに吊るして一晩ほど着物を干してください。

袷の着物の場合、一晩以上干してしまうと表の生地と裏の生地がズレてしまうこともあるので、注意が必要です。

干す際は着物を裏返して干すこともお忘れなく。

たとう紙に着物を包む

たとう紙を用いた正しい着物の包み方は以下の通りです。

着物のサイズにはあまり左右されないので正しい包み方を覚えておきましょう。


手順1:着物をたとう紙の中央に置く
手順2:たとう紙の左右を内側に折り、内紐を結ぶ
手順3:たとう紙の下側を折り上げる
手順4:たとう紙の上側をかぶせる
手順5:たとう紙の紐を結ぶ

たとう紙の紐は着物に跡をつけてしまうこともあるので結ばなくても問題なく、着物の折り目が気になる場合は、綿棒を入れるようにするときれいに保管できるでしょう。

たとう紙を使う上での注意点とは

たとう紙を使う上での注意点とは

着物を良い状態のまま保管するための強い味方であるたとう紙ですが、使用の際にはいくつか注意したいポイントもあります。

たとう紙を使ってより綺麗に着物を保管するために、知っておきたいポイントについてご紹介します。

1枚の着物に対して1枚のたとう紙

着物と長襦袢や帯などをセットで購入した場合など、セットで着用するためにまとめて保管しておきたくなるところです。

ですが、1枚のたとう紙の中に複数のアイテムを入れて保管するのはおすすめできません。

例えば長襦袢にカビや虫食いなどのトラブルが発生した場合、同じたとう紙の中に保管していると、そのトラブルが着物や帯にもうつってしまうという危険があります。

1枚ずつ別々のたとう紙に入れて保管しておけば、たとう紙が壁となって着物や帯の被害を食い止めてくれるでしょう。

費用もかかるのですが、やはり着物の保存状態のことを考えるならば、惜しまずに「1枚の着物に対して1枚のたとう紙」というのがおすすめです。

たとう紙の薄紙は捨てる

着物を保管する上で湿気と同じく注意しなければならないのは虫食いです。

たとう紙は虫食いの予防にも高い効果を発揮しますが、たとう紙に保管しているのにも関わらず虫に食われてしまったという場合があります。

この原因はたとう紙の中についている糊が原因と言われ、虫にとって大好物なのです。

この糊は、たとう紙の中で着物を包んでいる薄紙に付いていることが多いです。

その糊に虫が誘引されてやってくるのを防ぐためにも、たとう紙の薄紙は外してしまうのがおすすめです。

たとう紙はいつ交換すれば良い?

たとう紙はいつ交換すれば良い?

長く使っているたとう紙が、茶色く変色してしまっているような様子を見たことがある方も多いかもしれません。

たとう紙が劣化してしまうと着物を保護する力も落ちてしまいますから、定期的に交換してあげることが必要です。

では、たとう紙はどのようなタイミングで交換すれば良いのでしょうか。

たとう紙の効力は1~2年

たとう紙の吸湿性は、一般的な使用環境下では2年ほどで失われると言われています。

そのため、十分な吸湿効果をキープしたいなら、たとう紙は1~2年ほどで交換してあげるのが良いでしょう。

たとう紙を交換する際に、着物や帯をたとう紙に収める前にたとう紙の表面に日付を記入しておけば、交換のタイミングの目安を確認することが出来ます。

たとう紙にシミが出たら交換のサイン

たとう紙の効力が続く期間は使用環境などによっても異なりますので、期間だけでなく状態を見ながら交換をすることも重要です。

たとう紙が茶色に変色していたり、斑点状のシミができていたりするのは、たとう紙の性能が落ちているというサインになります。

これらのサインが確認出来たら、たとう紙の替え時と言えるでしょう。

湿気の多い季節を避けて交換を

たとう紙を交換する際には、同時に虫干しを行って溜まった湿気を飛ばしてあげることも重要です。

そのため、たとう紙の交換のタイミングとしては、「春や秋の湿度が低い時期の晴れた日」が良いと言われています。

そうすることによって、「たとう紙の効力が高い状態で梅雨の時期を迎える」「梅雨や台風の時期を乗り越えたたとう紙を交換してあげる」ということができ、十分な吸湿効果を発揮してくれるでしょう。

例えば「毎年5月(または10月)に交換する」という風に決めておけば、たとう紙の経年劣化も防ぐことができるでしょう。

たとう紙は着物買取でも重要?!価値のつくたとう紙とは

たとう紙は着物買取でも重要?!価値のつくたとう紙とは

着物の買取では、着物の保存状態は買取価格を大きく左右するポイントになります。

たとう紙は着物の保存状態を綺麗に保つのに役立つため、着物の買取ということを考えた時にも、非常に重要な役割を果たすと言えるでしょう。

そして実は、たとう紙自体が」、着物の価値を証明するのに役立つようなケースもあるのです。

ブランドによりオリジナルのたとう紙がある

たとう紙によって、お手持ちの着物の品質を証明することが可能です。

実は有名な着物ブランドであれば偽物も流通すると言われており、なかにはプロでも見分けが困難なほどクオリティが高いものがあります。

このような事態を防ぐために有名呉服店がオリジナルの刻印をつけた、たとう紙を使用し始めました。

たとう紙にオリジナルの刻印をつけておくことでこの着物が本物なのか偽物なのかの証明手段の一つとなったのです。

オリジナルのたとう紙の代表格 志ま亀

着物のブランドの証明となるようにと、たとう紙に独自のデザインを施している店で最も有名なのは志ま亀でしょう。

志ま亀ブルーという言葉もあるくらい有名かつ、一度見たら忘れられないようなデザインで非常に有名な志ま亀ですが、その歴史はとても長く200年以上の長い歴史があります。

1810年頃京都に初の店舗を構えてからは高級呉服の基礎と呼ばれるものを確立し、牡丹を使用したデザインで有名になってからは老舗としての風格を出しつつも人気を高めていきました。

日本の伝統衣装である着物が多くの方に愛される社会を目指して着物業界を牽引していますが、やはりこれほど有名になると、贋作の量も徐々に増えていきます。

それを防ぐために志ま亀独自のたとう紙を作ったと言われています。

このように落款や証紙を確認することができない場合、たとう紙は価値を判別する上でとても参考になります。

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