
遺品整理を行うにあたって、中には不用品回収の業者への依頼を考えている人もいるのではないでしょうか? しかし、不用品回収に作業を依頼してしまうと、大切な遺品までも廃棄されてしまうかもしれません。
ここでは、遺品整理と不用品回収の違いについて説明していきます。他にも、遺品整理の代行業者を利用する際の注意点などについても解説します。
既に遺品整理の対応をされている方も、今後のために事前知識を得たいという方もぜひ参考にしてみてください。
目次
遺品整理とは

「片付け」という視点で見ると非常に似ている遺品整理と不用品回収ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか? また、不用品回収として遺品整理を業者にお願いするとどうなるのでしょうか?
そもそも遺品とは、故人が生前使用していたものを指します。 遺族はその遺品を「残すもの」と「不要なもの」に仕分けていくのですが、あまりにも量が多く、どれを残して良いか分からなくなると作業が止まってしまいます。
「全部思い出だから」と考えて置いたままにしている遺族の方もいると思いますが、いつまでもそのままにしておくのも良くはないですよね。
故人が生前に愛用していた眼鏡や洋服など、見るたびに故人との思い出が蘇ってしまうような遺品は、遺族の負担になってしまうかもしれません。また、遺品の中に貴金属やアクセサリーがあると、万が一、空き巣が入った時などに盗まれてしまう可能性もあります。
そのため、遺品整理は本当に残しておきたいものを数個だけに絞るのが、賢い仕分け方になるのかもしれません。
故人の思い出をとっておくことも大切ですが、形ではなく思いとして胸の奥にしまっておくのも悪くないかと思います。
遺品整理と不要品回収の大きな違いとは

いらないものを片付けるという意味ではほぼ同じな「遺品整理」と「不用品回収」ですが、 ものの扱い方に大きな違いがあります。
遺品整理が目的なら、必要・不必要と一つひとつ仕分けを行うため、ものの扱いが丁寧になります。片や不用品回収は、廃棄が前提となるため、扱いは雑になってしまうことでしょう。
この考えは、遺品整理の代行業者、不用品回収業者の作業方法にも当てはまります。 ここからは、それぞれの業者の違いを通して、遺品整理と不用品回収を詳しく解説していきます。
遺品整理を検討している人にとって両方の業者の特徴を把握しておけば、荷物の量やお部屋に合わせた業者を選ぶことができ、なるべく費用を抑えることができるかもしれません。
いらない遺品が決まっているなら「不用品回収」に頼んでもOK
遺族での仕分けが済んでいて、いらない遺品が全て決まっているのであれば、そのまま不用品回収をお願いしても問題ないでしょう。
なぜなら「間違って捨てられたら困る!」というものは除けてあるので安心できるからです。
不用品回収業者は、きちんと不用品を運び出して回収していってくれるので、一人で行うよりもスムーズにお部屋が片付きます。しかし、業者によっては床などの清掃を行わない場合もありますので、その点は注意です。
ここで気を付けて欲しいのが「不用品回収業者は遺品整理を手伝ってはくれない」ということです。
不用品回収は、あくまで「回収依頼があったものだけを引き取る」業者です。 また、遺品は特に指示されていない第三者が気軽に触れて良いものではないので、仕分けは自分で行わなければいけません。
不用品回収サービスも、用途によって賢く利用すれば無駄なく遺品を片付けることができますが、自分で仕分けが進まない方には適していないと言えます。
遺品整理もやって欲しいなら「遺品整理の代行業者」を利用しよう
「不要な遺品の引き取りはもちろん、残りの遺品整理も手伝って欲しい!」 そんな時は不用品回収業者ではなく「遺品整理の代行業者」にお願いしてみてはいかがでしょうか。
遺品整理の代行サービスは、遺品の仕分けから清掃まで行ってくれるサービスです。不要な遺品を買取してくれ、形見分けとして残りの遺品を丁寧に梱包し、配送まで行います。
そして、遺品整理のプロが揃っているので、作業も丁寧でスムーズです。 予約や契約の流れもシンプルなので、初めての方でも安心して利用できるでしょう。
デメリットとしては、不用品回収よりも「費用がかかってしまうこと」です。 遺品整理を最初から最後まで徹底サポートしてくれるので、それなりの費用はかかってしまいます。
ワンルームほどの広さなら10万円以内で収まるかもしれませんが、一軒家だったり、整理する遺品が大量にある場合は見積りがグンと高くなることもあります。
遺品整理でトラブルにならないための注意点

ここからは、遺品整理でトラブルにならないための3つの注意点をご紹介していきます。
・遺言書があるかどうか確認する
・親族全員で遺品整理を行う
・親族全員で形見分けを行う
中でも遺品整理に伴ってよくトラブルになりやすいのが、遺産相続を巡る相続人の間での金銭面でのトラブルです。
相続する遺産を整理するために、遺品整理中に出てきた通帳や現金、貴金属などの価値がある品をリスト化しておく必要があります。 それでは、詳しくみていきましょう。
遺言書があるかどうか確認する
遺産の相続に関して記されている故人の遺言書は、遺産相続では重要な意味を持っています。
故人から生前に遺言書を渡されていない場合でも、後から故人の部屋で遺言書が見つかるケースもあります。そのため、遺品整理をする際は遺言書があるかを確認しましょう。
また、仮に遺言書が見つかったとしても、書かれている内容によっては法律的に無効になる場合があります。例えば、以下の項目に当てはまると無効になる可能性があります。
・遺言書を書いた日付が載っていない
・修正/加筆方法が間違っている
・パソコンで作成した遺言書
・遺産の情報が不明確
・本人以外の意思が介入している遺言書
遺言書の有効性が分からない場合は、遺産相続に詳しい弁護士に相談するのが、遺産相続でトラブルにならない方法です。
親族全員で遺品整理を行う
故人が住んでいた家の広さや遺された遺品の量によって、一人で遺品整理するのは現実的ではないこともあるでしょう。
無理はせずに親族にも協力をしてもらって、遺品整理を進めていきましょう。
また、特定の親族だけが遺品整理をすることで、遺品整理をしない他の親族へ不満が募ってしまうことでしょう。小さなストレスも蓄積していったら、何かの拍子に爆発してしまうかもしれません。
さらに、遺品を親族一人の判断でとっておくか、捨てるかを判断するのも難しいかと思います。不要と思って捨ててしまったことで、後に親族間でトラブルになる可能性もあります。
自分の身を守る目的でも、遺品整理は出来れば親族全員で進めたいものです。例えば、四十九日や一周忌などの法要で親族が集まる機会を利用して、遺品整理を進めてみてはいかがでしょうか。
親族全員で形見分けを行う
遺品を親族内で分け合うことを「形見分け」といいます。この形見分けも、親族全員で話し合う機会に行うのがいいでしょう。
遺品整理と同様に、形見分けは親族一人ではできませんし、勝手な判断で引きとったり、捨てたりしてはトラブルのもとになるからです。
また、形見分けをする遺品が高価なものだった場合は、贈与税が発生することがあります。宝石類や貴金属も相続税の対象となるので、不用意に形見分けをするのは避けた方が無難です。
見積り依頼時の注意点

費用の面を考えた場合、遺品整理よりも不用品回収の方が安く済む場合があります。
しかし不用品回収業者の場合、遺品の整理は行わずに全て「不用品」として扱ってしまうので、貴重品があったとしても問答無用で破棄してしまいます。
そのため、遺品整理を業者に依頼する際は、遺品整理の代行業者を選びましょう。しかし、そんな代行業者の中には、不当な金額を請求する所も存在します。
悪質な業者と契約をしないためには、依頼者側も代行業者から渡される見積書の内容に関して知識を付けておく必要があるでしょう。
ここからは、悪質な代行業者と契約しないための、見積書の注意点について解説します。
見積書の詳細を出してもらう
遺品整理の代行業者は、遺品整理を行う現場を下見してから、見積りを出すのが一般的です。もしも仮に、現場を見ないで見積りを出すような業者に遭った場合は、その場で依頼するのはお断りしましょう。
また、代行業者に見積書の詳細を見せてもらうよう、お願いし、書かれている項目と概算について質問をしましょう。
遺品整理にかかる費用は、大きく分けて4つあります。
・荷物の量や部屋の大きさ
・荷物の仕分け作業(作業日数や人数)
・大型家電や家具の搬出
・その他の手数料(清掃費や出張費)
見積書に書かれている数字は、主に上の内容を加味した金額になっているのが一般的です。しかし、各項目の名前は代行業者によっても異なるので、業者以外の人間が見積書をみても、何にどのくらいの費用がかかっているか把握するのは難しいです。
代行業者に提示してきた見積書について質問をする際は、遺品整理で費用がかかるそれぞれの項目を理解してからにしましょう。
追加項目の請求書を確認する
代行業者によって最初は低めに見積り、契約後に追加項目を請求することがあります。そのため、見積りが安くとも容易に契約はせずに、追加費用が発生しないか契約前に確認しましょう。
後から「想定以上に作業時間がかかった」「荷物の量が多かった」といった理由で追加費用が発生するケースはなるべく避けたいところです。
複数の遺品整理業者で相見積もりをとる
少しでも費用を抑えたいと思っている人は、複数の遺品整理代行業者で見積りをとり、それぞれの提示してもらった金額を比較しましょう。
また、その際に思っていたよりも安い見積もりがあったとしても、追加請求をする業者もいるかもしれません。
そのため、複数の代行業者から相見積もりをとる際は、金額だけではなく、各業者の「見積りをとりに来た従業員の態度」「追加請求などの細かなお金に関する契約内容」なども加味して決めるようにしましょう。
不用品の活用方法

遺品整理を進めていると、ブランド品のバッグや時計、着物といった貴重な品が出てくることもあるかと思います。
「形見分けをしても使う機会がない」「処分するのは忍びない」など、扱いにも困ってしまいます。
ここでは、そういった扱いに困る遺品の活用方法についてご紹介します。
ネットオークションを利用する
ブランド品のバッグや時計など、形見分けをしても誰も身に着ける機会がなさそうな遺品は、ネットオークションに出品して現金に変えるのも一つの手です。
「遺品を現金に変えるのは罰当たりだ」と考える人もいるかと思いますが、親族に誰も使う人がいないなら、ネットオークションを通してでも利用したいと思っている人に使ってもらった方が良いのではないでしょうか。
リサイクルショップを利用する
書籍や衣類などは、大量に遺っていると処分するのも一苦労かと思います。
その場合、リサイクルショップに買い取ってもらえば、一括で不用品を処分できるうえに現金も手にできるので一石二鳥の方法です。
また、大型の家具は、粗大ごみで処分するとなると費用がかかってしまいます。リサイクルショップの中には家具を扱っている所もあるので、積極的に利用しましょう。
知人や友人に譲る
親族で誰も使う人がいないうえに、売りに出しても少額になりそうなものは、知人や友人に譲る方法もあります。 例えば、読書が好きな人には本を譲ったりできるでしょう。
処分に困っているものがある場合は、気楽な気持ちで知人や友人に話してみるのもいいかもしれません。
費用を抑えて遺品整理したいなら「買取」という方法もある

数ある遺品の中には、高額査定に繋がるような希少価値の高いものも隠れている場合があります。
そういった場合、不用品回収で処分してもらうのも、遺品整理の代行サービスに引き取ってもらうのも、勿体無いと感じてしまいます。 そこでオススメしたいのが「買取」です。
専門知識がないとその商品の価値は分からないので、気になる遺品があれば、まずはまとめて査定を依頼してみると良いでしょう。
ブランド物の場合、プレミアがつくと数十万円以上の買取額がつくこともあります。 整理もできてお金にも変えることができれば一石二鳥なので、興味のある方は買取サービス業者をチェックしてみてください。
自宅まで訪問してくれる出張買取を利用する際は、サービスが充実している所を選ぶようにしましょう。
似ているようで違う遺品整理と不用品回収。 賢く利用して無駄なく遺品整理を進めましょう。