
家の掃除をしていたら、1銭硬貨などの古い硬貨が出てきたことはありませんか?
円未満の単位の硬貨は、現在では使用できませんが、これらを古銭として買い取ってもらえることはできるのでしょうか。
今回は近代貨幣である1銭硬貨について、種類別の買取価値や高く買取ってもらえる方法をご紹介しましょう。
古銭買取市場における1銭について
1銭は、戦後まもなく廃止された日本の貨幣単位です。
日本は戦後、激しいインフレに見舞われたため、1銭の使用価値が事実上失われてしまいました。
それを受け、1953年に「銭」が廃止され、「円」単位のみが使われるようになりました。
100円紙幣など、古い円単位の貨幣については現在でも利用可能ですが、銭単位の貨幣は店頭で使うことも、銀行で交換してもらうこともできません。
以上のように1銭硬貨など銭単位の貨幣は、現在は流通しておらず使用もできませんが、希少性や歴史的価値があるとして古銭買取市場においては需要があります。
特に希少性の高いものは、額面(1銭)以上の高い値段がつくケースも見られます。
古い1銭硬貨を見つけたら、まずは買取専門業者の査定に出してみるのがおすすめです。
1銭にはどんな種類がある?
1銭硬貨には以下の種類があります。
発行年の古い順にご紹介しましょう。
竜1銭銅貨
直径27.87ミリの銅貨で、1873年~1888年(明治6年~21年)に発行されました(ただし明治11、12年は発行されていません)。
その呼称のとおり、竜の絵柄があしらわれているのが特徴です。
なお、明治10年のものまでは竜のうろこが「角ウロコ」、明治13年以降のものは「波ウロコ」になっています。
稲1銭青銅貨
直径27.87ミリの銅貨で、1898年~1915年(明治31年~大正4年)に発行されました。
明治31年~35年のもの、明治39年のもの、大正2年~4年のものがあります。
表には「一銭」の文字と稲穂が、裏には旭日が描かれています。
桐1銭青銅貨
直径23.03ミリの銅貨です。
1916年~1938年(大正5年~昭和13年)の間に発行され、大正5年~13年と昭和2年、昭和4~13年のものがあります。
表は「一銭」の文字と唐草模様が、裏は桐の図柄があしらわれています。
カラス1銭黄銅貨
直径23.03ミリの、黄銅(銅に亜鉛加えたもの)でできた硬貨です。
発行年は1938年(昭和13年)のみとなっています。
表には海の波、桐、八稜鏡の図柄が、裏にはヤタガラスと瑞雲の図柄が描かれています。
カラス1銭アルミ貨
直径17.60ミリのアルミ硬貨です。
1938年~1940年(昭和13年~15年)に発行されました。
戦中、戦局の悪化により、銅や亜鉛が軍用に供出されたことから、アルミが使われています。
図柄はカラス1銭黄銅貨と同様、表には海の波、桐、八稜鏡が、裏にはヤタガラスと瑞雲が描かれています。
富士1銭アルミ貨
直径16.00ミリのアルミ硬貨です。
1941年~1943年(昭和16年~18年)に発行されました。
表には富士山の絵柄と「一銭」の文字が、裏には「一」の文字が描かれています。
1銭錫貨
直径15.00ミリの、錫(すず)でできた硬貨です。
1944年~1945年(昭和19年~20年)に発行されました。
銅や亜鉛が使えず、アルミニウムも枯渇したことにより、大日本帝国占領下にあった東南アジアで豊富に産出する錫を用いました。
錫は熱に弱くやわらかいため、本来は貨幣として使うにはふさわしくない金属ですが、当時の日本にはこの選択肢しかなかったとされています。
表には菊花紋章と唐草模様が、裏には「大日本」の文字が刻まれています。
1銭陶貨
直径15.00ミリの粘土でできた硬貨です。
未発行ですが、コレクター市場には出回っていることがあります。
大戦末期、東南アジアから本土への輸送が困難になった結果、錫も貨幣に使用できなくなったために造幣されました。
有田焼で有名な佐賀県、瀬戸焼で有名な愛知県などの陶器メーカーが造幣したといわれています。
1銭陶貨は造幣中に終戦を迎えたため、発行されないままほとんどが粉砕されてしまいました。
1銭という単位の硬貨は、この1銭陶貨が最後の造幣になります。
表には富士山が、裏には桜の花が描かれているものが一般的ですが、複数のバリエーションがあります。
1銭の買取相場はいくらくらい?
それぞれの1銭硬貨は、状態や発行年によって買取相場は大きく異なるだけでなく、オークションや古銭買取業者で出す場合にでは値段に開きがあるので注意しましょう。
そこで次の項目で買取価格や高く買い取ってもらう方法を紹介します。
1銭のなかで買取価値の高くなるものは?高く買取ってもらえる方法は?
先ほどの項目で、同じ1銭硬貨でも買取価格に幅があることがおわかりいただけたかと思います。
では、買取価格はどのような要素によって変わってくるのでしょうか。
以下で買取価格の高くなる要素と、高く買取ってもらう方法について解説しましょう。
発行枚数が少ない年銘のものは高く売れる
その年の発行枚数が少ない硬貨は、希少性から他の年銘のものよりも高く買取ってもらえます。
たとえば明治6年の竜1銭銅貨、明治35年の稲1銭青銅貨、昭和4年の桐1銭青銅貨などは、高額査定される可能性が高いものです。
保存状態のよいものは高く売れる
未使用品や美品であるほど、高額買取してもらえる可能性が高まります。
1銭硬貨などの古い硬貨を見つけたら、査定に出すまでのあいだだけでも正しい方法で保存しておきましょう。
まず、硬貨は直射日光を避けて保存しましょう。日光は硬貨が変色してしまう原因になるためです。またサビの原因となる湿気もできるだけ避けましょう。
乾燥剤を使う必要はありませんが、適宜、箱などから出して、保存状態を確認するためにも鑑賞し、風通しをよくするのがおすすめです。
さらに硬貨を手で触れる際には、側面を持つようにしましょう。
表裏面に指紋による油がつかないように注意します。もっとも理想的な保管方法は、直接コインホルダーに入れるやり方です。
ビニール袋や紙袋に入れると、それらに含まれる化学物質がしみ出て硬貨を傷める危険性があります。
コインホルダーがない場合は、木の箱など、硬貨へのダメージが少ない容器に入れましょう。
なお、汚れた硬貨をきれいにしようと、洗ったり磨いたりするのはNGです。
製造当初の状態から遠ざかってしまうため、歴史的価値が下がり、買取価格も下がってしまう可能性があります。
古銭の買取専門業者に依頼する
1銭硬貨など古い貨幣の買取は、古銭専門の買取業者に依頼しましょう。
古銭の価値を適切に評価できない業者に査定を依頼した場合、買取価格が下がってしまう可能性があります。
本来の価値に見合った価格をつけてもらうためにも、古銭の買取に実績のある買取専門業者に査定してもらうのがおすすめです。
複数枚まとめて査定に出す
古銭を査定に出す場合は、少ない枚数よりも多い枚数のほうが、買取価格を上乗せしてもらえる傾向にあります。
1枚からでも査定してもらえる買取専門業者はありますが、種類が違っても、できるだけ複数枚をまとめて査定してもらうようにしましょう。
おわりに
今回は、近代貨幣として買取価値のある1銭について、種類や相場、高く買取ってもらう方法などについてまとめて解説しました。
額面では1円のたった100分の1の価値しかない1銭硬貨ですが、専門的に査定してもらえば、それ以上の価値が期待できることもあります。
多少汚れていても、年銘などによっては希少価値のあるコインかもしれません。
自宅の奥深くから1銭硬貨が見つかったという人は、ぜひ一度、査定に出してみてはいかがでしょうか。