碁石の骨董品としての価値は?碁石の種類と買取時のポイントもご紹介

茶道に使う茶器や華道に使う花器など、和の趣味に使う用具の中には、骨董品としても高い価値を認められるものは多いです。
そのような趣味に使われる用具の中で、意外な骨董的価値があるとして、骨董品買取市場で注目を集めているのが碁石です。
碁石の概要や種類に加えて、骨董品としてどれくらいの価値があるのか、碁石をより高く買取してもらうためのポイントなどをご紹介します。
目次
碁石とは

碁石は囲碁や五目並べの用具の1種で、白・黒2色の丸い石のことです。
白石180個・黒石181個の計361個でワンセットとされます。
囲碁と碁石の歴史はたいへん古く、中国で誕生したのは紀元前2000年頃まで遡るのではないかと言われています。
碁石の誕生の経緯には、皇帝の息子の教育のため、占いの道具など諸説あり、はっきりとしたことは分かっていません。
囲碁と碁石が日本に伝わったのは7世紀ごろ
そして、囲碁と碁石が中国から日本へ伝わったのは7世紀頃だったようです。
733年頃成立の『風土記』に「茨城県鹿島では蛤の碁石が名産となっている」「島根県の海岸から碁石に適した石が採れた」といったことを表す記述があることから、早い段階で国産碁石の生産は始まっていたと考えられます。
平安時代から碁石は白と黒だった
古い時代の碁石には一部、色が黒・白でないものも発見されていますが、平安時代成立の『源氏物語絵巻』に黒と白の碁石が描かれていることから、平安時代にはすでに黒と白の組み合わせが一般的だったようです。
ちなみに2種類の石の大きさは、白石が直径21.9mmに対して黒石が直径22.2mmと若干大きくなっています。
この差は白が膨張色であることを考慮したもので、実際の大きさに若干の差をつけることにより、人間の目にはほぼ同じ大きさに見えるのです。
碁石に骨董品としての価値はある?

骨董品買取市場において、碁石の価値はどのように考えられているのでしょうか。
趣味の用具として実用的な側面も強い碁石ですが、ものによっては高い骨董的価値が認められる場合もあります。
碁石の素材によって買取での価値が大きく変わる
具体的には、骨董品買取市場における価値は碁石の素材によって大きく左右されます。
白石なら蛤の貝殻、黒石なら那智黒石といった高級素材を使った碁石であれば、高く買取してもらえる可能性は高くなるでしょう。
碁石が厚く、大きいものは価値が高まりやすい
そのほか、碁石の買取相場を決める要素には石の厚み(号数)、模様による等級などがあります。
碁石は厚いもの(号数が大きいもの)ほど打った時の音が響き、価値が高いとされます。
買取市場で出会う碁石としては、25号(厚さ7.0mm)から40号(厚さ11.3mm)程度のものが多いでしょう。
中にはもっと号数の大きい碁石も存在しますが、多く用いられるのは持ちやすく扱いやすい32号(8.8mm)から34号(9.5mm)程度のものです。
高級素材が使われている碁石で号数や等級などの品質が良く、保存状態の良いものであれば非常に高い買取価格がつくことも珍しくありません。
ガラス製の碁石は骨董品の価値が低い
一方、ガラスなどの安価な素材で作られた碁石には買取価格がつかない場合もあります。
碁石はものによって価値の幅が大きい骨董品であると言えるでしょう。
保存状態の良い碁石は高く売れるかも!
保存状態が良くて本蛤製や那智黒石製、瑪瑙製(めのう)の碁石であれば、数万円から数十万円で売れる可能性があります。
使わなくなった碁石や碁盤はホコリをかぶっているかもしれませんが、拭き取ってから査定に出すと保存状態がきれいと見なされます。
バイセルは骨董品買取実績が多数あるので、使わない碁石や碁盤をぜひお売りください。
素材による碁石の種類について

碁石は使われている素材によって、様々な種類に分けることができます。
ここでは、代表的な3つの種類についてご紹介します。
本蛤/那智黒石
碁石の素材で最も価値が高いとされるのは、白石では本蛤の貝殻、黒石では那智黒石です。
白石に使われる本蛤は、現在ではメキシコ産のものが多くなっています。
近年、数は少なくなっていますが、宮崎県日向市産のものは最高級品として高い人気を誇ります。
黒石に使われる那智黒石は三重県熊野市で産出され、硯や装飾品などにも用いられる石材です。
高級な碁石では、本蛤の白石と那智黒石の黒石をセットにしているものが多く見られます。
本蛤の貝殻で作られた白石には、素材である貝殻そのものが持つ縞模様が入っています。
この縞は蛤の成長線で、縞模様が細かいほど価値が高く、耐久性にも優れているとされます。
縞模様が細かい順に「雪印」「月印」「実用」と3つの等級に分けられ、最も高く評価されるのは「雪印」です。
ただし、素材の品質や等級の見極めは難しいため、詳しい価値を知りたい場合には骨董品専門の買取業者に査定を依頼してみると良いでしょう。
瑪瑙
碁石の素材の中で、本蛤・那智黒石に次ぐ高級品とされているのが瑪瑙(めのう)です。
瑪瑙とは石英の細かい結晶が集まってできた鉱物のことで、碁石のほかに彫刻の材料やアクセサリーとしても用いられます。
瑪瑙製の碁石は、つるつるとした表面に強い光沢があるのが特徴です。
瑪瑙の白石は真っ白というよりは半透明で、碁盤に置くと石の奥に碁盤の目が透けて見えます。
瑪瑙性の碁石は高価なため、高品質な瑪瑙製碁石に混じって、瑪瑙製と謳ったガラス製などの贋作も多く出回っています。
瑪瑙製の碁石を購入する際には注意してください。
お持ちの瑪瑙製碁石の真贋を見極めてもらいたいなら、骨董品専門の買取業者の査定を利用するのがおすすめです。
ガラス・合成樹脂
碁石の高級素材の代表格が本蛤・那智黒石・瑪瑙なら、安価な碁石に使われる素材の代表格がガラスです。
他に、碁石の安価な素材としてはプラスチックなどの合成樹脂もあります。
ガラスや合成樹脂でできた碁石の場合には、高い買取価格がつくことはほとんどないでしょう。
買取価格が全くつかないというケースも多いかもしれません。
ガラスや合成樹脂は買取価格がつかない可能性がある
ガラスや合成樹脂でできた碁石の中には、蛤碁石や瑪瑙碁石に似せて作られたフェイク品も多くあります。
碁石を購入する際には見た目の美しさだけでなく、使われている素材にも注意してください。
お持ちのガラス製・合成樹脂製碁石に買取価格がつくかどうかは、骨董品専門の買取業者に問い合わせてみましょう。
ここまでご紹介した以外に、本格的な碁石というよりはおもちゃというイメージになりますが、マグネットの碁石も存在します。
ただし、マグネットの碁石もガラスや合成樹脂同様、高い買取価格がつくことはほとんど期待できないでしょう。
碁石の買取価格が気になる方は、こちらからすぐに査定のお申し込みができます。
碁石と一緒に買取に出されることが多い碁盤と碁笥

碁石の買取の際には、同じ囲碁用具である碁盤や碁笥(ごけ)も一緒に買取に出されるケースも多いです。
買取市場でも碁石と関連の深い品物として、ここでご紹介しておきます。
碁盤
碁盤とは、碁石を打つ板のことです。
卓上で使う薄い板状の碁盤もあれば、分厚い板に足が付いていて自立するものもあります。
素材には桂・イチョウ・ヒノキなどの様々な木材が使われますが、中でも買取市場において価値が高いとされるのが榧(カヤ)製の碁盤です。
碁笥
碁笥とは、碁石を入れる容器のことです。
碁笥の形状には、丸い筒状の「本因坊型」と、玉のような形の「安井型」があります。
素材には柿・紫檀・黒檀などの様々な木材や合成樹脂なども使われますが、買取市場で最も価値が高いとされるのが桑の木を使った碁笥です。
将棋用具も一緒に買取に出されるケースがある
囲碁とともに将棋も趣味としている人が多いことから、将棋盤や将棋駒といった将棋用具も、碁石と一緒に買取に出されるケースがあります。
将棋盤も碁盤と同じく榧材が最高級とされ、買取市場においても高い価値が付くことが多いです。
将棋駒はものによって買取価格に幅が出やすい品物ですが、黄楊(つげ)製のもの・木を彫った溝に漆を盛った「盛り上げ駒」と呼ばれるもの・有名な駒師が作ったものなら買取相場は高くなりやすい。
碁石の買取相場はどれくらい?

骨董品買取市場における碁石の買取相場はどれくらいになるでしょうか。
碁石の買取相場は、素材によって異なります。
本蛤製・那智黒石製の碁石であれば、高いもので20万円前後の買取価格がつく場合もあるでしょう。
瑪瑙性の碁石でも、高いものであれば5万円程度の買取価格がつくことがあります。
ただし、これらは号数や等級が優れており、保存状態が良かった場合の買取相場です。
実際の買取価格とは異なる場合がありますので、あくまで目安程度と考えてください。
碁石を高く買取してもらうための3つのポイント

本蛤製や那智黒石製など、高い価値のあるものも多い碁石ですが、より高く買取してもらうためにはどのような点に注意すれば良いでしょうか。
碁石を高くより買取してもらうために押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
付属品を揃えておく
碁石を購入する際、販売店によっては品質保証書がついていることがあります。
この保証書は「信頼できるメーカーが作った、品質の良い碁石である」という証になるため、保証書がついていれば高く買取してもらえる可能性は高くなるでしょう。
ただし、保証書がついていないものの中にも、骨董的価値の高い碁石は存在します。
そういう場合には購入時の箱に素材・製作年代・メーカーなどの情報が書いていることもありますから、買取の際には碁石と一緒に査定に出しましょう。
また、碁盤や碁石にも骨董品としての価値がつく場合があります。
碁石と一緒に査定に出してみると良いでしょう。
特に、榧材の碁盤・桑の木の碁笥などであれば、より高い買取価格がつく可能性があるでしょう。
碁石の素材をチェックする
碁石の買取価格を左右する最も大きな要素は、なんと言っても碁石の素材です。
特に、宮崎県日向市産の本蛤で作られた白石・三重県熊野市産の那智黒石でつくられた黒石は最高級品とされます。
その中でも、厚さや模様による等級によって、買取相場は変わってきます。
ところが碁石の中には、ガラスや合成樹脂といった安価な素材を使いながら、高級碁石の色・厚み・模様に似せたフェイク品も存在します。
安価でありながら高級碁石に近い雰囲気が楽しめるという点でフェイク品は有用なのですが、買取の際には注意が必要です。
見た目と実際の価値に大きな差が出てしまうことがあります。
お持ちの碁石を買取に出す前に、使われている素材が何であるかを確認しておきましょう。
碁石の状態や個数を確認する
碁石の保存状態も、高く買取してもらうためには重要なポイントです。
碁石は長年使っている間に欠け・割れ・ヒビや黄ばみなどが発生してしまうと、買取価格が下がってしまう可能性が高いです。
また、通常碁石は白石180個・黒石181個の計361個でワンセットとなっていますが、紛失するなどして個数が足りない場合には、買取価格が減額となってしまう場合があります。
碁石の汚れ対策としては、年に1~2回、柔らかい布で乾拭きしてあげるのがおすすめです。
白石の汚れが特に気になる場合には、水に少量の中性洗剤を入れたもので洗っても差支えありません。
汚れを落としただけでも、印象は随分違ってくるでしょう。
碁石の買取でよくある質問

碁石は買取市場で取り扱われる品物の中でも、素材や用途が特有で類似商品も少ないため、買取サービスを利用するときには分かりにくいことや疑問点も多いかもしれません。
ここでは、碁石の買取でよくある質問をご紹介し、解説します。
碁石はどこに買取に出せば良い?
碁石はゲーム用品として総合リサイクルショップなどで買取に対応している場合もありますし、碁石などの囲碁用具を取り扱っている質屋もあるでしょう。
しかしながら、特に本蛤や那智黒石などの高級素材が使われている碁石、アンティークもの(作られてからおおよそ100年以上経つ古いもの)の碁石の場合にはこれらの買取方法はおすすめできません。
高級素材が使われている碁石・アンティークものの碁石の場合には特にですが、囲碁用具や骨董品を専門としない業者では、碁石の本来の価値を正しく見極めることができない可能性があります。
お持ちの碁石を本来の価値に即した価格で買取してもらいたいなら、骨董品専門の買取業者を利用するのがおすすめです。
近くに骨董品専門の買取業者が無い場合はどうすれば良い?
骨董専門の買取業者はリサイクルショップなどに比べて店舗数が少なく、思い当たる店舗が自宅の近くに無いという人も多いかもしれません。
その場合は、骨董品専門の大手買取業者が提供していることの多い出張買取サービスを利用するのがおすすめです。
出張買取とは、買取業者の査定員が利用者の自宅等まで来て、査定・買取してくれるサービスです。
近くに店舗がなくても碁石の専門知識を持った業者の査定・買取サービスが受けられます。
気になる買取業者があれば、出張買取の対応エリアを確認してみてください。
割れている碁石や数が足りない碁石でも買取してもらえる?
碁石を高く買取してもらうためには保存状態も重要で、割れていたり数が足りなかったりすると買取価格が下がってしまうことも多いです。
しかしながら、割れていたり数が足りなかったりする碁石であっても、買取不可というわけではありません。
その碁石の希少性や、保存状態の程度によっては買取価格がつく可能性も十分あります。
割れていたり数が足りなかったりする碁石でも、試しに買取業者の査定に出してみる価値はあるでしょう。
箱などの付属品がない碁石でも買取してもらえる?
箱や保証書などの付属品は碁石買取の際に重要で、付属品がないと碁石の買取価格が下がってしまうというケースも多いです。
ただし、付属品がないからといって買取してもらえないというわけではありません。
箱や保証書が無い場合でも、ものによっては高い買取価格がつく可能性もあります。
付属品がない碁石をどう評価するかについては、買取業者ごとに多少の差があります。
気になる買取業者があれば、詳しく問い合わせてみましょう。
碁盤や将棋盤にヒビが入っていても買取してもらえる?
碁石と一緒に碁盤や将棋用具を買取に出す際に、碁盤や将棋盤のヒビを気にする人も多いようです。
しかし、特にアンティークの碁盤や将棋盤には多少の傷やヒビはつきものであり、それほど決定的な査定上のマイナス要素にならないことも多いです。
価値の高い碁盤や将棋盤であれば、多少のヒビがあっても買取してもらえるケースは多いでしょう。
また、ヒビがあるからといって自分で無理に修復しようとすると、かえってヒビが広がってしまうこともあります。
ヒビが入っている碁盤や将棋盤は、まずはそのままの状態で買取業者の査定に出してみるのがおすすめです。
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