
陶芸品の買取を検討中の方の中には「どのような陶芸品が高額買取されるのか?」や「どこで売ればいいのか?」などの疑問を抱く方が多いようです。
本コラムでは、そのような疑問を解決するために、陶芸品の買取情報をご紹介します。
お持ちの陶芸品を、損せず買取に出すためのお手伝いができれば幸いです。
陶芸品の歴史

陶芸とは、陶磁器などを作る際に粘土を成形し、高温で焼成する技術を指しています。
陶芸によって作られるのは、釉薬(表面を覆うガラス質部分)を塗らない「土器」と、陶器・磁器を指す「陶磁器」の2種で、この分け方は地域や文化によって異なることがあります。
陶芸によって作られるものが陶芸品で、焼きものとも呼ばれます。
また、陶芸の造形方法はいくつかあり、紀元前より用いられていた手びねり(粘土を手でこねて形を作るなどの手法)や、型や轆轤(ろくろ)を用いる方法などです。
陶芸は人類最古の芸術形式で、日本最古の焼き物は、紀元前10,500年頃の縄文土器とされています。
日本の陶磁器の歴史に影響を与えたのは、中国陶磁器と言われています。
中国陶磁器は唐物(からもの)とも呼ばれ、安土桃山時代には織田信長が中国茶器を活用していたと言います。
陶芸品の種類
陶芸品には様々な種類があり、買取対象となっている陶芸品も多いです。
主な陶芸品の種類をご紹介します。
壺 | 花瓶 | 鉢 |
徳利 | お猪口 | ぐい呑み |
盃 | 急須 | 湯呑 |
茶碗 | 銘々皿 | 菓子器 |
箸置 | 置物 | 香合・香炉 |
陶芸品は日本だけでなく、海外からも人気です。
日本以外でも作られている、主な陶芸品についてご紹介します。
国名 | 陶芸品 |
---|---|
中国 | 唐三彩、景徳鎮 |
イタリア | マジョリカ焼 |
オランダ | デルフト焼 |
イスラーム圏、スペイン | ラスター焼 |
ドイツ | マイセン焼 |
フランス | セーヴル焼、リモージュ焼 |
韓国 | かいらぎ |
これらの表から、陶芸品は日本のみではなく世界中に数多くの種類があることが分かります。
お持ちの陶芸品がどの国のどのような作品なのか、詳細を知りたい方は、プロの査定員に見極めてもらうといいでしょう。
高額買取されやすい陶芸品の特徴

高額買取されやすい陶芸品には、いくつかの特徴があります。
特徴は、以下の通りです。
・人間国宝の作家が手掛けた陶磁器
・工芸技法が用いられている陶磁器
・有名産地の陶磁器
・展覧会図録に掲載されている陶磁器
上記の特徴に当てはまる陶芸品は高額査定が期待でき、中でも特に作家ものが買取相場を大きく左右します。
それぞれの特徴について詳しく紹介していきますので、お持ちの陶芸品が高額買取されやすい作品かどうか、買取に出す前に確認しておきましょう。
人間国宝の作家が手掛けた陶磁器
人間国宝に認定された作家が手掛けた陶磁器は、買取市場でも需要が高い傾向にあります。
具体的な人間国宝(重要無形文化財保持者)の陶芸家は、以下の通りです。
濱田庄司 | 島岡達三 | 伊藤赤水 |
金城次郎 | 田村耕一 | 山本陶秀 |
酒井田柿右衛門 | 徳田八十吉 | 藤原啓 |
井上萬二 | 加藤卓男 | 田村耕一 |
こちらに挙げた作家以外にも、人間国宝に認定された作家は多数います。
また人間国宝同様に、文化的功績のある人に授与される文化勲章や、芸術等で優れた功績を残した人が表彰される紫綬褒章等を受けている作家の作品も価値が高いとされます。
工芸技法が用いられている陶磁器
工芸技法が用いられている陶磁器も、高額買取されやすい陶芸品の1つです。
有名な工芸技法をいくつか挙げます。
・鉄絵
・染付
・色絵
・青白磁
・象嵌
・練上げ など
金粉模様などの金を使ったような見た目にも美しい工芸技法が施された陶磁器は、骨董品としての価値に加え、美術品としての価値も付加されるでしょう。
特に装飾品などの陶磁器は、自宅などに飾る目的で入手する人が多いため、目で見て美しいかどうかも評価基準となることが多いです。
有名産地の陶磁器
陶磁器の中には、有名産地ものがあり、伝統工芸品として価値が高いものとされています。
代表的な有名産地の陶磁器をいくつか挙げます。
・有田焼(佐賀県)
・瀬戸焼(愛知県)
・美濃焼(岐阜県)
・益子焼(栃木県)
・萩焼(山口県)
・九谷焼(石川県)
・中国陶磁器 など
上から1~3番目は「日本の三大陶磁器」と総称され、日本の焼き物の中でも、記念品や大切な人への贈り物としても大変重宝されています。
展覧会図録に掲載されている陶磁器
展覧会図録に掲載されている陶磁器は、そうでないものより高く売れる傾向にあります。
展覧会図録とは、美術展や展覧会の出品作を記録した図録です。
美術展や展覧会に出品されている作品であれば、または出品されたことによって知名度が高くなり、人気も出るということになります。
そのため、展覧会図録に掲載されている陶磁器は、高額買取が期待できます。
高額買取されやすい陶芸品:その他の特徴
有名産地・作家以外の高額買取されやすい陶芸品の特徴として、技巧の高い傑作や作者のサインとなる銘や花押が入っているものなどであれば、価値が高いとされやすいです。
銘や花押が入る一般的な場所は、作品の側面や耳の下側、裏底などです。
もちろん、陶芸品は割れ物であるために、割れ・欠けのない保存状態の良い無傷な作品は買取額が上がりやすいです。
陶芸品の買取相場
陶芸品の買取相場を種類別でご紹介します。
お持ちの種類や作家ものに該当するかどうか確認して、参考にしてみてください。
種類 | 作家 | 買取相場 |
---|---|---|
壺 | 河井寛次郎、酒井田柿右衛門など | ~200万円前後 |
花瓶 | 酒井田柿右衛門、金重陶陽、近藤悠三など | ~100万円前後 |
鉢 | 濱田 庄司、酒井田柿右衛門など | ~100万円前後 |
茶碗 | 荒川豊蔵、河井寛次郎など | ~500万円前後 |
※上記の相場表は、あくまで目安です。あくまでブランドの中でもっとも人気のある作品の相場を記載しております。骨董品の状態によってはお値段が付かない場合もございます。
※査定させて頂く骨董品の保存状態次第では、買取相場は上記に比べて大きく変動しますのでご了承ください。
※骨董品に汚れや傷などがある場合には、額面を下回る買取価格となる場合もございます。
※弊社基準により一部の骨董品は査定対象外となります。
瀬戸焼を手掛けていた荒川豊蔵は人間国宝にも認定され、文化勲章も受章しているので、彼の手掛けた瀬戸黒茶碗は価値が高いものとされています。
陶芸品を高く売るコツ

お持ちの陶芸品が高額買取されやすい特徴に当てはまる場合も、そうでない場合も、より価値を活かして売るためにこちらのコツを念頭に置いておきましょう。
・付属品を揃えておく
・保証書や鑑定書を用意する
・直射日光を避け湿気の少ないところで保存しておく
・壊れていても自分で修理しない
・出張買取サービスを利用する
・手数料が無料の業者を選ぶ
それでは、詳しくご紹介していきます。
付属品を揃えておく
陶芸品の付属品は、共箱・外箱・栞・緩衝材などがあります。
共箱とは、作者本人の直筆の署名がある箱を指し、桐などで出来ています。
骨董コレクターであれば、新品に近い状態で手に入れたいと考える人が多いでしょう。
買取業者も再販しやすくなるため、お持ちの付属品を全て揃えて買取に出すのが好ましいです。
保証書や鑑定書を用意する
陶芸品の中でも特に有名産地・作家ものである場合は、保証書や鑑定書などがあると、査定員がそれを参考にスムーズに査定が進められます。
保証書や鑑定書などは「本物である証」となり、高額買取に繋がりやすいため査定員に提出すると良いでしょう。
直射日光を避け湿気の少ないところで保存しておく
陶磁器は長期間、直射日光に当てておくと変色してしまう恐れがあります。
さらに陶磁器の中でも特に陶器は土で出来ているため、水分を含みやすく、カビが発生しやすいです。
買取査定の際、作品に変色・カビが見られると評価が下がってしまいます。
作品の状態を良好に保つためには、直射日光を避け、湿気の少ないところで保存しておくのが良いでしょう。
また、陶磁器をしっかりと乾燥させてからしまうのがポイントです。
壊れていても自分で修理しない
陶磁器にヒビ・欠けなどが見られると、価値が下がってしまいやすいです。
そのため、査定評価を上げたいがために自分で修理しようと考える方もいるかと思いますが、これはおすすめできません。
自分で修復しようとすると反対に状態を悪くしてしまったり、作者以外の手が入ったとされて買取額が下がってしまうことがあります。
多少壊れてしまっている陶磁器でも、そのまま買取に出しましょう。
出張買取サービスを利用する
骨董に特化している大手の買取業者であれば、店頭買取・宅配買取・出張買取の3つの買取方法を実施しているところが多いでしょう。
陶芸品の買取方法で一番おすすめなのは、出張買取です。
出張買取とは利用者が査定依頼をすると、自宅まで査定員が訪問し、その場で査定・買取を行ってくれる買取方法です。
もし、陶芸品を店頭買取に出すとしたら、自分で店舗まで品物を持ち運ばなくてはいけません。
その場合、かさばったり、重かったり、さらには「持ち歩いている途中で壊してしまうかもしれない…」という心配までつきまといます。
出張買取を利用すれば、自宅で品物を用意しておけばいいだけなので、その他の手間がかかりません。
自宅にある状態で査定をしてもらえるため、陶芸品は出張買取の利用が好ましいでしょう。
手数料が無料の業者を選ぶ
出張買取サービスを行っている骨董の買取業者を選ぶ際は、手数料を無料としているかどうかがポイントです。
買取業者の中には、査定料・出張料・キャンセル料を請求してくるところがあります。
そのため、これらの手数料を無料としている業者であれば、そうでない業者に比べて優良とも言えます。
万が一買取額に納得できなくてキャンセルすることを考えても、手数料が無料の買取業者であれば、査定依頼もしやすいです。
陶芸品の買取でよくある質問

陶芸品の買取についてご説明してきましたが、これら以外にも悩みはいくつかあるでしょう。
その中でも比較的よくある質問において解決していきますので、参考にしていただければと思います。
Q.骨董品かどうか分からないのですが、査定してもらえますか?
A.大掃除などの機会に「押し入れから骨董品が多数出てきた」などというケースも多いようです。
買取業者によっては、整理しきれていない場合や、骨董品かどうか不明という場合でも見分けてくれるところがあります。
使っていない骨董品が自宅で見つかったら査定依頼をしてみましょう。
Q.状態が悪い骨董品は?
A.劣化していたり、汚れている骨董品でも、買取査定をしてくれる買取業者が多いです。
反対に悪化してしまうこともあるので、無理に自分で状態を整えようとせずに、そのままの状態で査定してもらうのが良いでしょう。
Q.付属品や証明書が無い骨董品は?
A.付属品や証明書がお手元になくても、骨董専門の買取業者であれば査定してくれるでしょう。
骨董専門の買取業者には、陶芸品の専門知識や買取経験が豊富な査定員がいます。
付属品や証明書が無い場合でも、お持ちの陶芸品に適した価値を見極めてくれます。
Q.箱と中身がバラバラになっていますが、査定に出しても良いですか?
A.プロの査定員が在籍している買取業者であれば、箱と中身がバラバラになっていても、査定時に区別がつけられるでしょう。
自分で区別がつけられないような箱と中身でも、そのまま買取業者に持っていきましょう。
Q.売りたい陶芸品が大量にありますが、1つずつ丁寧に見てもらえますか?
A.骨董に特化している買取業者であれば、査定員が専門知識を活かして1点ずつ丁寧に精査してくれます。
また、買取業者へ一度に大量の陶磁器を売ることは、むしろ数回に渡っての買取より歓迎されるでしょう。
1回の査定ごとにかかるコストも軽減される分、買取額が高くなる可能性もあります。
Q.本物か贋作か見分けがつきませんが、査定してくれますか?
A.買い取ってくれるかどうかは査定結果によりますが、自分で見分けがつかない作品であっても、ほとんどの業者で査定はしてくれるでしょう。
骨董の専門知識を有している査定員に査定を依頼すれば、本物か贋作かをしっかり判別してくれます。
Q.出張料や査定料、キャンセル料はかかりますか?
A.買取業者にもよりますが、かからないところもあります。
インターネットなどで調べるか、電話で直接聞くなどして、出張料や査定料、キャンセル料を無料としている優良な買取業者に査定依頼をしましょう。
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