
陶磁器は、数ある骨董品の中でも種類が幅広くあります。
そのため、陶磁器を買取に出す際に「陶器と磁器は、どのように違うのか」「どのような種類が高く売れるのか」などの疑問が浮かぶでしょう。
陶器と磁器の違いや、それぞれの魅力、骨董的な価値が高い陶磁器とはどのようなものかをご説明します。
また陶磁器の買取を検討している方に向けて、産地別・作家別の買取相場や陶磁器の査定ポイント、高く売るコツなどについて詳しく解説します。
目次
陶器と磁器の違い

陶磁器とは、焼き物の総称です。
焼き物は陶器と磁器に大別できるので、まとめて陶磁器と呼ばれています。
陶磁器の魅力を理解するためには、まず陶器と磁器の違いを知る必要があります。
陶器と磁器では原料と焼き方が異なります。
陶器は、粘土を約800度~1,200度の比較的低い温度で焼くことで、透明度はなく質が粗い多孔性の焼き物になります。
それに対して磁器は、石を砕いた粉を用いて約1,200度~1,400度の高温で焼き上げ、透明度がある気孔が少ない焼き物になります。
その結果、陶器は和食器に多い素朴な風合いがある仕上がりになり、磁器は洋食器に多く見られる滑らかな印象のものが出来上がります。
また、陶器は保温性に優れており、容器の中に入れたものがなかなか冷めないという利点があります。
一方磁器はガラス質が多くて硬度が高いため、薄く作ることが可能であり、光にかざすと若干透けて見えるのが特徴です。
陶磁器の代表的な産地

陶器や磁器の産地には、それぞれ独自の作風や特徴があります。
日本の陶器を代表するのが愛知県の瀬戸焼です。
1000年以上の歴史があり、素朴な民芸調でありながら染付けには優美な趣を伴い、いつまでも飽きがこないデザインが秀逸です。
また、岡山県で古くから伝わる陶器に備前焼があります。
表面をコーティングする釉薬を全く使わず、土と火だけで作り上げた素朴な見た目が魅力です。
微細な気孔が無数にあるため通気性に優れており、風味に微妙な変化が加わって水をまろやかにするため、備前焼のおちょこを使うとお酒の味が高まるとも言われています。
一方で、日本の磁器を代表するのが佐賀県の有田焼で、同県内の伊万里港より輸出していたことから伊万里焼とも呼ばれます。
1590年代、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に磁器の技術が日本に伝わったと言われており、透き通るような白地に描かれた豪華絢爛な絵柄が目を引きます。
産地を代表する陶磁器は、伝統的な製法で作られていることが多く、骨董コレクターにも人気です。
買取市場でも需要があるので、名産品をお持ちの方は、一度買取査定に出すことをおすすめします。
有名産地の骨董品はコレクター需要があるため買取金額が高め!
有田焼や備前焼などの有名産地で作られた骨董品の中でも、コレクター需要のある壺や皿は驚きの価格になることが予想されます。
倉庫や部屋を片づけて高価そうな骨董品が出てきたら、保存状態が良いうちにぜひバイセルへお売りください。
陶磁器の価値を決める4つのポイント

色・形・技法も様々な陶磁器ですが、買取査定時にはどのようなポイントで価値が見極められるのでしょうか。
大きく分けて4つのポイントをお伝えします。
1:産地
2:希少性
3:作家・メーカー
4:形状
それでは、詳しく解説します。
産地
陶磁器の価値は、どのような産地で作られているかによって大きく変わってきます。
前述した瀬戸焼・備前焼・有田焼以外にも、陶磁器の有名な産地は多数あります。
伊賀焼 | 織部焼 | 京焼 |
唐津焼 | 九谷焼 | 薩摩焼 |
信楽焼 | 志野焼 | 丹波焼 |
萩焼 | 益子焼 | 深川製磁 |
このような陶磁器は、産地を代表する名産品として有名です。
瀬戸焼・備前焼・有田焼と同様に、名産品の陶器は骨董コレクターから人気があるため、買取市場での需要が高いとされています。
希少性
陶磁器の価値を決める2つ目のポイントは、希少性です。
1点ものであったり、限定的に生産された焼き物は、残存数が少ないため希少価値が高いとされています。
また、陶器の製作年代が古いものも残存数が減るため、価値が高くなる傾向にあります。
例えば、江戸時代に有田で作られた伊万里焼を「古伊万里」と呼び、明治以降に作られたものよりも骨董としての価値が増します。
江戸時代の1610~1630年代頃までの、白磁に青一色で模様を表した染付を「初期伊万里」と呼び、更なる流通量の少なさから高額買取が期待できるでしょう。
作家・メーカー
陶磁器の価値を決める3つ目のポイントは、「誰が手掛けた作品か」という点です。
陶磁器の世界では有名な作家やメーカーは多く、無名作品に比べて、名の知れた作家やメーカーが手掛けた作品の方が査定評価も良くなるでしょう。
代表的な作家は、以下の通りです。
・北大路魯山人
・青木木米
・中里太郎右衛門 など
代表的なメーカーは、以下の通りです。
・ロイヤルコペンハーゲン など
同じ時代の似たような陶器であっても、有名な陶芸家が作ったものと無名作家ものでは、価格に天と地ほどの開きが出てしまいます。
形状
陶器には様々な形状のものがあり、それぞれ価値が異なります。
陶器の主な形状の種類をご紹介します。
お皿 | おちょこ | 徳利 |
盃 | 湯呑 | ぐい呑 |
茶碗 | 壺 | 人形 |
花入 | 鉢 | 置物 |
こちらに当てはまらない形状の陶器についても、買取対象としている買取業者もあるため、まずは相談してみましょう。
【産地別】陶磁器の買取相場

産地別で陶磁器の買取相場をご紹介します。
実際にお手元の陶磁器を低い価格で買い叩かれないためにも、買取に出す前に、おおよその買取相場を把握しておくと良いでしょう。
ただし陶磁器の正しい買取額は、実際に本体を見て査定しなければ分からないため、こちらでご紹介する相場金額は参考までに留めておいてください。
産地 | 買取相場 |
---|---|
瀬戸焼 | ~500万円前後 |
有田焼 | ~100万円前後 |
織部焼 | ~100万円前後 |
信楽焼 | ~100万円前後 |
萩焼 | ~100万円前後 |
九谷焼 | ~50万円前後 |
伊万里焼 | ~50万円前後 |
志野焼 | ~50万円前後 |
備前焼 | ~50万円前後 |
益子焼 | ~50万円前後 |
京焼 | ~30万円前後 |
唐津焼 | ~20万円前後 |
古伊万里焼 | ~20万円前後 |
伊賀焼 | ~10万円前後 |
薩摩焼 | ~10万円前後 |
丹波焼 | ~10万円前後 |
※上記の相場表は、あくまで目安です。あくまで作家の中でもっとも人気のある作品の相場を記載しております。骨董品の状態によってはお値段が付かない場合もございます。
※査定させて頂く骨董品などの状態次第では、買取相場は上記に比べて大きく変動しますのでご了承ください。
※骨董品に汚れや傷などがある場合には、額面を下回る買取価格となる場合もございます。
※弊社基準により一部の骨董品は査定対象外となります。
産地ものの陶磁器の中では、瀬戸焼の買取相場が高いとされています。
瀬戸焼の歴史は古く、室町時代末頃までに作られた「古瀬戸」と呼ばれる瀬戸焼であれば、特に高額買取が望めるかもしれません。
陶器は、有名な産地ものであるほど作品の資料などで見た目が確認しやすいため贋作も増えますので、素人では見極めるのが難しくなります。
プロの査定員の査定を受けて、正確な価値を見極めてもらうのがおすすめです。
【作家別】陶磁器の買取相場

作家別で陶磁器の買取相場をご紹介します。
こちらの相場表も、作品の出来や保存状態によって大きく買取額が異なりますので、あくまでも目安としてご覧ください。
作家 | 作品例 | 買取相場 |
---|---|---|
河井寛次郎 | 三色打薬茶碗など | ~200万円前後 |
酒井田柿右衛門 | 濁手花文花瓶など | ~100万円前後 |
徳田八十吉 | 彩釉花器など | ~50万円前後 |
今泉今右衛門 | 色絵薄墨墨はじき時計草文鉢など | ~50万円前後 |
井上萬二 | 白磁丸形壺など | ~10万円前後 |
※上記の相場表は、あくまで目安です。あくまで作家の中でもっとも人気のある作品の相場を記載しております。骨董品の状態によってはお値段が付かない場合もございます。
※査定させて頂く骨董品などの状態次第では、買取相場は上記に比べて大きく変動しますのでご了承ください。
※骨董品に汚れや傷などがある場合には、額面を下回る買取価格となる場合もございます。
※弊社基準により一部の骨董品は査定対象外となります。
作家ものの陶器の中では、河井寛次郎・酒井田柿右衛門などが手掛けた作品の買取相場が高いとされています。
有名作家ものであれば、それほど希少性が高くないような作品でも、状態が良ければ上記のような買取額になる可能性もあります。
また、加藤卓男・荒川豊蔵など、陶芸作家として活躍中に人間国宝に認定されている場合、人間国宝認定後の作品の方が高く売れる傾向にあります。
陶磁器を高く買取ってもらうコツ

これまで大切に保管していたり飾っていた陶器であれば、なるべく高く売りたいと考えますよね。
陶器を高く買い取ってもらうコツを3つご紹介しますので、売却前に押さえておきましょう。
・付属品を揃える
・湿気の少ない場所で保管しておく
・骨董専門の買取業者に査定依頼する
それでは、詳しくご紹介します。
付属品を揃える
陶磁器の買取には、箱をはじめとする付属品の存在が非常に重要です。
何故なら陶器を入手した際に付いてくる箱には、作者のサインや作品の由来が書かれていることもあり、そのような場合は箱自体に価値が付いてくるからです。
また、箱付きであれば「保管しやすい」などの理由で、次の買い手が付きやすいということもあります。
そのため、陶器を買取に出すまで、箱はなくさないように大切に保管しておきましょう。
湿気の少ない場所で保管しておく
陶磁器の買取において、本体の状態は買取額を左右し、良好であるほど高い値が付きやすくなります。
陶器は土で出来ているため、吸水性があります。
そのため、湿度の高いところに置いておくと、カビが生えてしまう恐れがあります。
陶器は、なるべく清潔な状態にして、自宅の中でも風通しの良い湿気の少ない場所で保管しましょう。
自宅にそのような場所が無い方は、除湿剤を使ったり、トランクルームを借りたりするなどの対策法がおすすめです。
骨董専門の買取業者に査定依頼する
陶磁器を買取に出す際は、骨董専門の買取業者に査定依頼することをおすすめします。
陶磁器の査定ポイントは、希少性や作家ものかどうかなどの他、骨董品としての価値や美術品としての価値も大きく影響します。
陶磁器の正しい価値を見極めてもらうためにも、骨董品に関する専門知識をもつ査定員がいる業者に売ると良いでしょう。
また、骨董専門の買取業者であれば、出張買取サービスを行っているところが多いです。
「陶磁器などの割れ物を店舗まで持ち運ぶのが面倒」という方や「売りたい陶磁器が複数あって、全て持ち歩くと重くてかさばる」などという場合は、出張買取サービスを利用しましょう。
出張買取は、査定依頼をすれば査定員が自宅まで来てくれ、その場で査定・買取してくれる買取方法です。
利用者には手間・時間などの負担が少なく、陶磁器を売るのに適している買取方法と言えます。
骨董専門の買取業者の選び方

骨董専門の買取業者は多数あるので、選ぶ際に迷ってしまうかと思います。
陶器を売る業者を決めるときのポイントを4つご紹介します。
・オペレーターや査定員の対応が丁寧
・手数料をすべて無料としている
・買取実績が豊富
・広告を打ち出している
これらを押さえている買取業者であれば、より買取に満足できるでしょう。
それでは、それぞれ詳しく解説していきます。
オペレーターや査定員の対応が丁寧
買取査定を申し込んだ際や問い合わせた際のオペレーターや、実際に査定してくれる査定員の対応が丁寧であれば、安心して買取に出せますよね。
実際に買取について電話相談した際に、オペレーターが迅速且つ丁寧に対応してくれるかどうかや、買取契約後のフォローがしっかりしているかなどを確認してみるのも良いかもしれません。
査定員の対応については、実際に査定を受けた人しか分からないので、インターネット等で口コミを調べてみましょう。
良い口コミが多い業者を売り先に選べば、買取時の対応に満足できる傾向にあります。
手数料をすべて無料としている
買取業者の中には、査定料や出張料を請求してくるところもあります。
買取に出す際の出費はなるべく抑えたいですよね。
業者の公式サイトなどで、手数料をすべて無料としているかどうか、しっかり確認しておくことをおすすめします。
また、手数料の注意事項が小さく書かれているなどで記載を見つけられない場合もあるかもしれないので、電話などで事前に聞いておいても良いかもしれません。
買取実績が豊富
陶器を買取に出す場合、同じような作品や作家ものを買い取っている実績がある業者であれば、安心して買取に出せるうえに大体の買取額が予想できます。
実際の買取実績などは、買取業者の公式ホームページに掲載していることが多いので、お持ちの作品の買取実績があるかどうか事前にチェックしておきましょう。
広告を打ち出している
骨董専門の買取業者によっては、TVCMやインターネット・新聞などを利用した広告を打ち出しているところもあります。
広告を打ち出している買取業者であれば、多少は知名度があるでしょう。
知名度がある業者は、利用者の評価を大きく考慮し、インターネット等で悪い口コミが拡散されるのを避けるため、悪質な対応をすることは少ないと言えます。
優良な対応をしてくれる傾向にあるので、広告を打ち出している骨董専門の買取業者を選んでみましょう。