
日本の伝統文化である茶道は現在、海外でも人気が高まっています。
中でも精緻な技術と文化が詰まった茶碗は、芸術品としての高い価値が認められている茶道具の1つです。
骨董品買取市場においても茶碗は高い人気があり、高い価格で買取されるケースも多くあります。
茶碗の買取相場や高く売れやすい茶碗の特徴、高く売るためのポイントや買取業者の選び方などについてご紹介します。
目次
骨董品買取市場でも人気の高い「茶碗」とは

茶碗は茶道において欠かせない茶道具の一種で、お茶を飲むための器です。
主に陶器で作られます。
茶碗が日本で広まったのは奈良時代から平安時代、お茶の文化とともに中国から伝来したのがきっかけのようです。
お茶の世界には趣のある3種の焼物を称える言葉として「一楽二萩三唐津」という言葉があるように、現在では様々な種類・有名産地の茶碗が作られています。
茶碗は実用品でありながら、作家ごとの技術やシルエットの美しさ、デザイン(絵柄)の美しさが詰まっており、芸術品としての評価も高いです。
茶碗の形・釉薬による色や現れた景色・華やかな絵付・見込や高台の様子・手触りなど、一つとして同じものはなく、これらのあらゆる要素が重なり合って骨董品コレクターを魅了しています。
茶碗には有名作家も数多く、金粉があしらわれたものや翡翠などの宝石が使われる作品もあり、非常に高い価値がつくこともあります。
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最上級の茶碗「耀変天目茶碗」
南宋時代(12~13世紀)の中国福建省の建窯で作られたとされる最上級の茶碗が「曜変天目(ようへんてんもく)茶碗」です。
世界の陶芸史上最も美しく、そして最大の謎に包まれた幻の茶碗と言われています。
世界に4点しか現存していない耀変天目茶碗は現在すべてが日本にあり、うち3点が国宝に指定されているほど希少価値が高いです。
もしも値段を付けるとしたら、その額は数十億円にも上るとも言われています。
ちなみに、耀変天目茶碗よりもワンランク価値が落ちると言われている「油滴天目(ゆてきてんもく)茶碗」は、2016年のオークションで12億円という値が付けられました。
博物館でないとお目にかかる機会はありませんが、まさに最上級の茶碗といってもいいでしょう。
茶碗の買取相場はどれくらい?

骨董品買取市場における茶碗の買取相場はどれくらいになるでしょうか。
茶碗に限らず焼き物全般に言えることですが、それぞれが唯一無二の一点物である陶芸作品の買取においては、「買取相場はこれくらい」と一概に言うのは難しいものがあります。
買取金額の幅が非常に広く、明確な買取相場は存在しないと思って良いでしょう。
あくまで目安程度ですが、人間国宝などの有名作家の作品で、最も高く買い取られる茶碗であれば数百万円の買取価格がつくこともあるでしょう。
ただし、作品の保存状態などによっても買取価格は大きく変動しますので、あくまで参考程度ととらえてください。
買取相場が高くなりやすい茶碗の特徴

「こういう茶碗なら高く売れる」と一概に言えるわけではありませんが、高く買取されやすい茶碗には一定の特徴があります。
骨董品買取市場で高く買取されやすいのは、以下のような茶碗です。
・有名作家が手がけた茶碗
・美濃焼・萩焼・唐津焼など、有名産地ものの茶碗
・歴史上の有名人にゆかりのある茶碗
・天目茶碗などの唐物(中国で焼かれたもの)
・井戸茶碗などの高麗茶碗(朝鮮半島で焼かれたもの)
これらの茶碗にはコレクターが多く、買取市場での人気も高いです。
高く買取される可能性もありますので、お持ちであれば1度試しに査定に出して、価値を確かめてみても良いかもしれません。
茶碗の有名作家

茶碗の長い歴史の中には、有名作家が多数存在します。
その中でも、特に骨董品買取市場で人気が高い作家をご紹介します。
楽吉左衛門
楽吉左衛門(らくきちざえもん)は、楽焼の茶碗を作る茶碗師の名跡です。
千家十職(茶道に関わり、三千家に出入りする十の職家)の一つに数えられます。
楽焼とは、轆轤を使用せず手とへらだけで成形する「手捏ね(てづくね)」と呼ばれる方法で成形する陶器のことです。
楽吉左衛門は戦国時代から続く大名跡で、現在まで16代も続いています。
骨董品買取市場では15代の茶碗に出会うことが多いですが、非常に人気が高く、買取相場も高くなりやすいです。
酒井田柿右衛門
酒井田柿右衛門(さかいだかきえもん)は、江戸時代初期から続く有田焼の大名跡です。
現在は第15代が伝統を守り続けています。
乳白色の素地に色鮮やかな花鳥図などの上絵を焼き付ける「柿右衛門様式」は、ドイツのマイセン窯やハンガリーの高級食器ブランド・ヘレンドにも大きな影響を与えました。
骨董品買取市場で特に人気が高いのは、人間国宝にも認定された14代酒井田柿右衛門の作品でしょう。
需要は非常に高く、高価買取が期待できる作品も多いです。
三輪休雪
三輪休雪(みわ きゅうせつ)は、山口県萩市の萩焼窯元・三輪窯の当主が代々襲名している名跡です。
現代は第13代が、江戸時代初期から続く伝統を受け継いでいます。
人間国宝でもある10代三輪休雪が生み出した、「休雪白」という厚塗りの白い釉薬は三輪休雪作品の大きな特徴となっています。
骨董品買取市場でも人間国宝である10代三輪休雪・11代三輪休雪の作品は特に人気で、高く買取される可能性は高いでしょう。
中村宗哲
中村宗哲(なかむらそうてつ)は江戸時代初期から400年近く続く、千家十職の一つにも数えられる塗師の名跡です。
当初蒔絵を施した家具などを制作していましたが、明治以降に茶道具を中心とした作品を手掛けるようになり、現在では茶道具の塗師が専業となっています。
中村宗哲作品の特徴は、なんと言っても緻密で華麗な蒔絵(金粉・銀粉などで漆器の表面につけられる絵模様)でしょう。
女性として初めて正式に千家十職当主として認められた12代、その娘である13代の作品は骨董品買取市場でも人気が増しており、高価買取の可能性がある注目作家となっています。
濱田庄司
濱田庄司(はまだしょうじ 1894-1978)は、大正から昭和に活躍した益子焼の作家です。
第1回の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されたほか、紫綬褒章・文化勲章を受章するなど、絶大な評価を得ています。
濱田庄司作品の特徴は、ほとんど手轆轤のみを使用したシンプルな造形と、釉薬の流描による大胆な模様です。
骨董品買取市場においても濱田庄司作品の人気が高く、売りに出されれば高い価格がつく可能性は高いでしょう。
荒川豊蔵
荒川豊蔵(あらかわとよぞう 1894-1985)は、昭和を代表する美濃焼の作家です。
人間国宝に認定され、文化勲章を受章するなど、絶大な評価を得ています。
漆黒の瀬戸黒釉を使った荒川豊蔵の瀬戸黒茶碗には何とも言えない深みと存在感があります。
骨董品買取市場においても荒川豊蔵作品の人気は高く、最も高く買取されやすい作家の1人となっています。
その他の茶道具にはどんなものがある?
茶碗のほかにも、茶道に使われる茶道具には様々な種類があります。
茶道具の種類や買取相場などは以下のページが詳しくなっていますので、ぜひご参照ください。
骨董買取におすすめな業者の選び方

茶碗はたいへん価値の高いものも多いですから、買取に出す際には安心して利用できる買取業者を選びたいところです。
では、具体的にはどのような観点から利用する買取業者を選べば良いのでしょうか。
「こんな買取業者ならおすすめできる」というポイントをご紹介します。
・骨董品専門の買取業者
・出張買取サービスを選べる買取業者
・買取実績が豊富な買取業者
・無料サービスが充実している買取業者
骨董品専門の買取業者
茶碗に代表される陶器や磁器は、正しく価値を見極めるのが難しい品物です。
少ない情報から作者・産地・作られた年代などを見極められる専門知識を持った鑑定士でなければ、茶碗の価値を正確に見極めるのは難しいでしょう。
そこでやはり、茶碗の買取では骨董品専門の買取業者を利用するのがおすすめです。
リサイクルショップや質屋などでも茶碗を取り扱っている店舗はあるかもしれませんが、そのような骨董品を専門としない買取店には、茶碗に関する専門知識を持った査定スタッフが常駐していない場合も多いです。
茶碗の価値を正しく見極めてくれるかどうか不安が残ります。
査定の信頼性に関しては、やはり骨董品専門の買取業者が最も安心できるでしょう。
出張買取サービスを選べる買取業者
買取業者が提供している買取方法には大きく分けて、店頭に品物を持ち込む「持ち込み買取」、品物を買取業者に送付する「宅配買取」、査定員が利用者の自宅まで来て査定・買取する「出張買取」の3つがあります。
このうち、茶碗の買取でおすすめしたいのは「出張買取」です。
茶碗の買取では、「出張買取」を選べる買取業者を利用するのが良いでしょう。
茶碗は主に陶器や磁器でできていますから、どうしても割れやすいです。
買取店の店頭まで持ち運ぶ際に、あるいは買取業者への配送の際に割れたり傷がついたりという可能性は否定できません。
出張買取なら利用者の自宅で査定してもらえますから、割れやすい茶碗でも安心して買取に出すことができるでしょう。
買取実績が豊富な買取業者
骨董品専門の買取業者といっても数多くありますから、その中からどう選べば良いか迷ってしまうかもしれません。
そういう時、買取実績が豊富、つまり「多くの人から選ばれている」というのは1つの安心材料になるのではないでしょうか。
問い合わせ件数が多い・全国規模で出張買取を行っているなどの買取業者は、多くの人から選ばれており、それに対応できるだけの豊富な人材がいるということでしょう。
安心して利用できる買取業者である可能性が高いと言えます。
無料サービスが充実している買取業者
買取サービスを利用する際、業者によっては査定料やキャンセル料、出張買取の出張費といった手数料が必要になる場合があります。
せっかく茶碗を買取に出したのに、そのような手数料がかかっては実際に手にできる買取金額は目減りしてしまいますよね。
また、いちいち手数料がかかっては、「試しに査定だけ」と思っても安心して利用できません。
茶碗に限らずですが、気軽に利用するには手数料無料のサービスが充実している買取業者の利用がおすすめです。
茶碗を高く売るためのポイントとは?査定時のチェックポイント

価値の高いものも多い茶碗ですが、より高く買取してもらうためにはどのような点に注意すれば良いでしょうか。
買取価格を左右する、「茶碗の査定で必ずチェックされるポイント」をご紹介します。
骨董品買取市場で重要視される「保存状態」
茶碗に限らず、骨董品の買取では、作品の保存状態は必ずチェックされる重要な査定ポイントです。
欠けやヒビ、かんにゅう、修繕痕などがあると、買取価格が下がってしまう原因となることがあります。
日ごろから箱に入れて保管するなど、保存状態を損なわないように注意しておきましょう。
また査定を受ける前には表面のホコリや小さな汚れを取り除くなど、なるべくキレイな状態にしておくと、査定時の印象が良いかもしれません。
ただし、欠けや割れの修繕は、専門家でない人が行うとかえって価値を損ねる結果になってしまうので注意しましょう。
茶碗の産地(ブランド)や作家
茶碗をはじめとした焼き物の買取では、有名作家や有名産地の作品の方が高く買取されやすいです。
そのため、茶碗の産地や作家は必ずチェックされます。
ただし、「有名作家・有名産地の作品でないものは高く買取してもらえない」というわけではありません。
無銘の作品でも品質が良ければ高い価値がつく可能性もありますので、まずは試しに骨董品専門の買取業者に査定を依頼してみてください。
付属品の有無も買取価格に影響する
茶碗を含む骨董品の買取では、付属品の有無が買取価格に大きな影響を与える場合があります。
中でも茶碗の買取で重要とされるのは、
・共箱(ともばこ)・・・作者が作品を制作しみずから箱書きして納めた箱が,そのまま作品とともに残っているもの
・仕覆(しふく)・・・茶入や薄茶器、茶碗、挽家などの道具類を入れる袋
の2つです。
これらの付属品は作者を示すなど、作品の価値を証明する役割をしてくれるため、査定の際には必ずチェックされます。
買取業者としても再販時に共箱・仕覆が有るのと無いのとでは売りやすさが全く違うため、付属品があることでより高い買取価格をつけることができます。