
自宅で眠っていた版画を買取に出そうと検討する方もいるかと思います。
版画を買取に出す際に、事前に基本情報を押さえておけば、買取額で損することを防げるかもしれません。
まずは版画の定義や技法の種類などを知り、お持ちの版画はどの種類に当てはまるかを知りましょう。
また、高く売れる版画の種類と買取相場、版画の買取額が決まるポイントについても詳しく解説します。
版画の買取について
バイセルでは版画の買取が難しい場合がございますので、詳しくはオペレーターまでお問い合わせください。
目次
版画の定義とは?複製との違いを解説

「版画と複製は同じなの?」という疑問を良く耳にしますが、これらは「別物」です。
一般的に複製画とは、原画が存在し、それを複製した作品を指します。
それに対して版画は、油絵・水彩画などと同様に、絵画の表現方法を指します。
版画は版を用いて紙にインクを重ねることで出来上がり、「描く」ではなく「刷る」「写す」などと表現します。
そのため「複製」というイメージをもたれがちですが、版画は独立した絵画形式であるため、油絵・水彩画などと同じように芸術価値があります。
また、日本最古の版画は、8世紀前半に制作された「無垢浄光大陀羅経」だと言われています。
奈良にある法隆寺に伝わり、木版か銅版かわかっていないと言います。
版画の技術は年々進化していき、様々な技法・素材で版が作られていくようになりました。
版画の技法の種類

版画の技法は、大きく分けて以下の4つの種類があります。
・凸版(とつ版)
・凹版(おうはん)
・平版(へいはん)
・孔版(こうはん)
お持ちの版画は、どの技法に分類されるものか、気になりますよね。
それぞれの技法の特徴や、さらに細分化した技法についてなど、詳しくご紹介します。
技法は素人では見分けづらいケースが多いので、種類が不明な作品をお持ちであれば、プロの目で見極めてもらいましょう。
凸版
凸版は、版上の凸部分にインクを塗り、その上に乗せた紙に圧力をかけていくことでインクを写す技法です。
版の材料は、木材やゴムなどの加工しやすいものが好まれています。
凸版に当てはまる技法は、木版画やリノカットなどが挙げられます。
木版画は、写したい面を残して削り取った木の板に紙を載せ、凸部のインクを、バレンやプレス機で刷り移す技法です。
一方でリノカットは、リノリウムの板を使って、木版画と同じ原理で写す技法です。
凸版を用いた代表的なアートには、浮世絵などがあります。
凹版
凹版は、大きく間接法と直接法に分けられます。
まず「間接凹版」は、版上の凹部分のみにインクを入れ、その上に乗せた紙に圧力をかけていくことでインクを写す技法です。
間接凹版の1種であるエッチングという技法は、磨いた銅板や亜鉛板などを削り、版を酸で腐蝕させることにより線が出来ていくというものです。
次に「直接凹版」は、銅や亜鉛などを鋭利な刃物で直接彫るという技法です。
直接凹版の1種であるドライポイントという技法は、銅板にニードルという先のとがった鉄筆で直接描写するものです。
凸版を用いた代表的なアートには、銅版を使った西洋絵画などがあります。
平版
平版は、平らな版に特別な画材を用いて転写する技法です。
平版に当てはまる技法は、リトグラフやコロタイプなどが挙げらます。
リトグラフは、油性の画材で石灰石に直接描画します。
硝酸を加えたアラビアゴムを塗ることで化学反応が起き、描画したものがそのまま表現される技法です。
一方でコロタイプは、写真製法のうちの1つで、ガラス板を原板に用いる技法です。
平版は、古文書や日本画の複製に適しているとされています。
孔版
孔版は、用紙の上に孔(あな)を開けた版を置き、孔にインクを通過させて刷る技法です。
凸版・凹版・平版は複製した際に反転しますが、孔版の場合は反転しないのが特徴です。
孔版に当てはまる技法は、シルクスクリーンやポショワールなどが挙げらます。
シルクスクリーンは、木枠に張った絹を版とし、色ごとにインクを何層にも重ねる技法です。
一方でポショワールはステンシルのことで、色を載せたい部分を色数だけ型を作り、鮮やかな彩色が特徴の技法です。
孔版は現代アートに用いられることが多く、アメリカのロバート・ラウシェンバーグとアンディー・ウォーホルはその先駆者だったと言います。
高額買取が期待できる版画と相場

版画は充分に芸術価値をもつので、高額買取が期待できるものも多いです。
有名作家が手掛けた作品などの、絵画コレクターに需要があるものほど、買取額も上がりやすいです。
特に世界的に有名なピカソ・ゴッホらが手掛けた作品であれば、さらに需要が高まります。
保存状態や市場での需要によりけりですが、ヒロ・ヤマガタが手掛けた版画の買取相場は1万円前後とされています。
棟方志功や草間彌生など、世界的に有名な作家の版画であれば100~300万円もの買取額になる可能性があります。
買取業者にて、買取対象とされていることの多い版画の作家名をいくつかご紹介します。
日本人作家 | |
---|---|
草間彌生 | 棟方志功 |
東山魁夷 | 片岡球子 |
平山郁夫 | 加山又造 |
奈良美智 | 浜田知明 |
千住博 | 藤田嗣治 |
池田満寿夫 | 村上隆 |
絹谷幸二 | 小倉遊亀 |
山下清 | 駒井哲郎 |
外国人作家 | |
---|---|
アンディ・ウォーホル | クリスチャン・ラッセン |
ジェームス・リジィ | ジャン・ピエール・カシニョール |
パブロ・ピカソ | ポール・アイズ・ピリ |
ロイ・リキテンスタイン | マルク・シャガール |
買取対象とされていることの多い作家は外国人より日本人の方が多めですが、業者によっては、こちらに紹介のない作家ものも買取対象としていることがあります。
無名作家ものに比べ、作家ものの版画の方が、買取額が期待できる傾向にあります。
また、「無名作品かと思いきや、実は有名作家の作品だった」ということもありうるので、まずは買取業者に相談してみると良いでしょう。
版画の買取額が決まるポイント

版画の買取相場は幅広く、作品によって様々です。
版画の買取額が決まる重要なポイントは、前述した「どの作家が手掛けたか」という部分です。
需要のある作家ものであるほど、高額買取に繋がるでしょう。
また、それ以外にも買取額に大きく影響するポイントがいくつかあります。
・版画のコンディションは良好かどうか
・付属品が揃っているかどうか
・版画の種類は何か
それでは、詳しくご紹介します。
版画のコンディションは良好かどうか
版画を含む絵画の買取において、本体のコンディションは大切な査定ポイントになります。
版画は芸術作品なので、ほとんどの次の買い手は、飾るために購入するでしょう。
そのため買取に出す版画に、汚れ・破れ・劣化などが見られる場合は、買取額に影響してしまう恐れがあります。
版画は極端な湿度・温度変化を嫌うので、風通しが良く、なるべく湿度・温度の低い所で飾ったり保管したりしましょう。
付属品が揃っているかどうか
版画には、購入時に箱や額縁などが付属品として付いてくることがあります。
買取に出す際、お持ちの付属品を全て揃えておくことで、査定評価が高くなるでしょう。
付属品が揃っている版画のほうが、再販時の需要が高く、買取業者も再販しやすいと言えます。
版画の付属品は、捨てずに全部とっておきましょう。
版画の種類は何か
木版画・リトグラフ・シルクスクリーンなど、版画の種類は多岐に渡りますが、お持ちの版画がどの種類なのかも買取額に関係してきます。
しかし、版画の各種類には色彩や緻密さなどそれぞれの良さがあり、「この種類が最も高額になる」と一概には言えません。
買取業者によって強化している種類があるかもしれないので、複数個所で査定依頼をし、査定額を比べてみると良いでしょう。
版画を高く買い取ってくれる業者の特徴は?

版画の売却を決めたら、買取業者を決めなくてはいけません。
版画を取り扱う買取業者は多く存在し、インターネットで探すと候補がたくさん表示されるでしょう。
その中から1つの買取業者に絞る際は、以下で紹介する高く買い取ってくれる業者の特徴を押さえておけば、買取額で損をする可能性が少なくなります。
・再販ルートを多くもっている
・買取実績を公表している
・査定料、キャンセル料などの手数料を無料としている
それぞれの特徴について、詳しく説明します。
再販ルートを多くもっている
版画は、絵画の再販ルートを多くもつ買取業者で売るのが得策です。
再販ルートを多くもつ買取業者に売ることで、その版画の価値を最大限に活かせるルートで再販してくれます。
よって、買取する際にも最大限の価格で買い取ってくれる可能性が高いです。
また、基本的には骨董品専門の買取業者であれば、絵画の再販ルートを多くもっているでしょう。
少しでも高く売りたいと考える方は、骨董品専門の買取業者に版画を売ることをおすすめします。
買取実績を公表している
買取業者の中には、自身のホームページに買取実績を公表しているところがあります。
そのような業者には、公表していないところよりも、安心して買取について相談できるでしょう。
また、査定方法や買取に関する知識は、買取業者によってまちまちです。
そのため、何箇所か買取業者のホームページを見て、買取実績を見比べてみると良いかもしれません。
作品や本体の状態によって版画の価値は異なりますが、「同じ作家の同じ作品なのに、業者ごとで買取額が異なっている」などのケースがあれば、高い買取実績をもつほうに依頼してみましょう。
自分が買取に出したい作品と同じ作品、または作家ものの買取実績が掲載されていれば、大よその買取額の目安になるかもしれません。
査定料、キャンセル料などの手数料を無料としている
買取業者によって、査定に関する手数料が発生する場合があります。
「なるべく余計な費用をかけずに版画を売りたい」「相見積もりをとって買取額を比べてから業者を決めたい」などと考える人も多いでしょう。
その場合は、査定料、キャンセル料などの手数料を無料としている買取業者を利用しましょう。
手数料の有無は買取業者のホームページに明記されていることが多いですが、直接電話で問い合わせてみるのが確実でしょう。
版画の買取なら出張買取を利用しよう!

版画を買取に出すなら、出張買取の利用がおすすめです。
出張買取は、査定員が利用者の自宅まで来てくれて、その場で査定・買取してくれる買取方法です。
店舗買取のように、自分で版画を外へ持ち出す手間もなく、自宅にある状態のままで査定してもらえます。
また出張買取であれば、査定当日にお持ちの他の絵画についても「売りたい」「現在の価値を知りたい」と思い立ったら、品物を追加できるところが多いので便利です。
査定額に納得した場合は、ほぼその場で現金化してくれるため、無駄な時間を要しないのも利点です。
特に「版画が重くて持ち運びづらい」「近くに買取店がない」などという方は、出張買取を利用してみると良いでしょう。
版画の買取によくあるQ&A

版画を買取に出す際に、いくつか疑問が浮かぶ方もいるかと思います。
よくある疑問にQ&A形式でお答えしますので、参考にしてみてください。
Q.どの地域でも出張してくれるの?
A.買取業者によっては全国の市区町村に対応しているところもあります。
ホームページから調べるか、直接電話して聞いてみましょう。
Q.サインはあったほうがいいの?
A.画家の中には版画にサインをしない人もいるようなので、サインは必須ではありません。
しかし、作家の直筆で書かれたサインがあれば、付加価値として査定評価が上がることもあります。
サインが直筆なのか、刷り込みなのか、見極めてもらいたい方は骨董専門の買取業者に見てもらいましょう。
Q.作品の詳細が分からないけど査定してくれる?
A.作品名や作家が分からないという版画は、絵画を熟知している査定員がいる骨董専門の買取業者に査定依頼しましょう。
プロの査定員によって、お持ちの版画の価値を見定めてもらいましょう。
また、版画の入手経路などが分かれば査定の手助けにもなるので、出来る限り情報を集めておくと良いでしょう。
Q.変色や汚れが見られる版画も買取してくれる?
A.版画の状態によって買取額が左右されますが、変色や汚れが見られても査定はしてくれるでしょう。
極端に汚れている場合は、減額または買取不可とされてしまう恐れがありますが、一度買取業者に相談してみることをおすすめします。